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在宅ホームレス

家の中に居場所がない

かぞくはどこかの宇宙人

何言ってるのか言いたいのか

ちっともさっぱりわからない

突然現れ突然消える、これは私。

たぶん私。ほとんど私。

よしこれこそ私、と思える事が少ない私はいつも私っぽい。

家どころか生まれた頃から一番身近なこの体にも私の居場所はない感じ。

って案外私だけじゃないかもって突然思い出した創作大賞。けれど別に応募しなくても構わない。思い出したけれど、実は、どちらかと言えば積極的にしたくない。なんだか物欲しげで媚びるようになりそうだから。創作大賞の審査員に受けたい、何らかの結果を手に入れたいとの思いが強くなったら、これまでの私が全滅しそうでおそろしい。だからやはり応募はやめようと決めたけれど生活がある。

創作大賞応募をきっかけにして、生活が続けばいいと思い直した。私らしく生きるためにこの機会を活用しようと。

他人からみれば、ばかばかしい生活だとしても、続けたい。生活を続けるにはお金が必要。お金は人から人へと流れるもの。ならば人との接点を持たねば話にならない。創作大賞があることは知っていた。随分と多くの人が関わっているようなので、人に私を知っていただくにはもってこいの機会だ。今回2024年にようやく、創作大賞は私の目的を達成するための一つのいい機会であるとの認識に至れた。
人との関わりに置いた、私のつたない表現が、それに接したみなさまの喜びにつながることが出来たら、その結果、みなさまにも私にも無理のないお金の循環が生じたら、もう、宇宙人かぞくも文句を言って来ないだろう。私の体の私の居場所ももう少し安定するだろう。在宅ホームレスを充実させることができるだろう。

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にしても、在宅ホームレスって。家にいるけど、ほっとしないとか。なんでここにいるんだろって不思議に思い出したら止まらなくなる。今寝起きを繰り返している場所。外からここを目指して戻る場所。あそこでもない、隣でもない、なぜかここが私の家。長いといえば長いかもしれない。生まれた頃から、ここがずっと私の家で、それで、だから、世界のどこよりも知っている場所だ。家は新しいとは言えない。私も新しい人とは言いがたい。だったら古い家と言えるのかもしれない。歩くたびに床がミシミシ言う。床に置いた4本足のテーブルはいつもガタガタしている。テーブルに肘をつくと肘から遠いテーブルの脚が浮く。あっと突然テーブルから肘が離れると離れていたテーブルの脚が床を叩く。要するにこの家の中で少しでも動くと、うるさい。いちいちミシミシコツコツギーギー音がする。宇宙人かぞくがいなくても、音がする。

古い家の中で古い家の音を聞き続けていたら、とうとう私はこの家で、つまり宇宙人かぞくのような人ではなくて、物質そのもの、生まれたりなどの妙に小刻みな鼓動はないとはっきりしてしまったか。

まず、ただ単に、私は、人って言うより家ですって主張してしまった。その後、恥ずかしい主張をしてしまったと思い始めた。と同時に、とてつもない解放感に襲われた。久々に、ガブッと眠り、帽子が飛ばされて髪の毛にスーッと風が通り抜けた時のようにパカッと起きられるようになった。

要するに私は人ではなく家で、家自体なので家でゆっくりすることは出来ず、家に家はないのでホームレスで、けれども家の中は私の一部なので、私は在宅していないとも言えず、在宅ホームレスだ私は、と書いたのだった。

それに加えて、都合の良いことに、私は、宇宙人かぞくのように人としているようなこともあるのかもしれない。人として宇宙人かぞくと一緒にテーブル周りに集まったりして。しかしいつの間にか、かぞくはいなくなっていることがある。

ある日、宇宙人かぞくがいる時に、私はどこと尋ねて、鏡に写っているやつだよと言われたことがある。鏡に写ってる?何が?って言っても返事がない。返事がないなと周囲を見ると誰もいない。そして床がミシッと言う。このような環境で、一人でつくづく考えた。

そう、私は、家。家自体なのだから、家の中の鏡に全身が写ることはなさそうだ、と。

それにしても宇宙人かぞくって。

改めて、宇宙人かぞくと私がいつから知り合いというか近くなったのか、思い出すことにした。

あのずっと知っているような顔の宇宙人かぞくを知っているような気になったのはいつからだろう。宇宙人かぞくは私を人だと言うのか。なぜ。

確かに、あのテーブルの周りにいる。人のような気がすることもある。人のような声を、宇宙人かぞくの声より近くで聞いていることもあるようだ。あの、人のような声は、私の声と言えなくもないのか。そうかもしれない。そうでなければ人の言葉をこうして出すことは出来ないだろう。となると私は、人の言葉を出す時だけは人なのか。

家として、宇宙人かぞくに主張したくて、私は、とうとう、人のように人の言葉を使うようになってしまったのだろうか。

私は在宅ホームレスと叫んだ。声になったのかどうかはわからない。宇宙人かぞくはいたりいなかったり。知り合いのようでも気付くといないことも多い。そのような宇宙人かぞくに言われてもピンとこない。だからあの声は私の声ではないかもしれない。鏡は見ない。前にも考察したように、鏡に私はわからない。立体の私は平面には写りきらない。複数の面が私を取り囲んで、何らかの操作を施しても、私そのままは写らない。

写らないものとしてわかりやすいのは私の足の裏の感覚だ。ある時点におけるある場所で、たとえば床か地面か道路か等々を踏みしめる私の足の裏の感じを、私を取り巻くものが描けるだろうか。私はある時点である場所にいる、あるとして、私の外面だけではない全体を、そっくりそのまま写せているものはあるのだろうか。

たとえば、こんなずれを感じた経験は、誰にでもあるのかもしれない。自分が見た感じと、写真とのずれ。(写真の印象が強烈で、実際の方が写真の印象で覆われてしまうことがなければいいと私は思う。実際の印象が鮮烈で、いつでも思い出せたら便利だと思う)

私は家だから特に強調したい。家に必要なのは安全だ。安全性についてとやかく言うのは控える。実際に安全な家であるかどうかを判断するための基準を私は持っていないからだ。一軒の古い家である私に言えるのは、家には雨風が当たっている、家の中を守るために、家は踏ん張って立っているという程度のことだ。

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さて、在宅ホームレスの短い主張は、これで終わりです。ここまでお読みいただきありがとうございました。

どうも私は家なので、短くてもここまで書けて、創作大賞の機会を通じてみなさまにお届け出来て嬉しいです。この文章を置かせていただけたこと、この文章に関わっていただいた全ての人へ感謝致します。これをお読みのみなさまに、在宅ホームレスである家のことを、少しでもご理解いただけましたら幸いです。


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この家には入れない出られない
いつの間にか入っていたらしい
気付いたときにはもう出られない
気付かず入ってしまっていても
入った覚えがどこにも無くても
つまり
外から入れなくって
後から入れない家で
入ってしまったら
出られないけれど
外側から閉じ込められたかどうかは不明
出ようとすれば出られるのかもわからない
だから
今は


家かも。
家じゃないかも。
どちらかだろう
どちらでもあるだろう
私は家で家ではない
家は私で私ではない
どこまでが家で
どこからが私か
はっきりしないのを
はっきりしようとすると
どちらでもあるような
どちらにも属しているような微妙なところを避けられなくなる
このようなところでは
私は家ですと断定すると、いいや違う、私は家ではないと言いたくなる。
私は家ではありませんと断定すると、いいえ、私は家ですと言いたくなる。
揺れる
エリア
まるで
海岸線のよう
砂浜だったり崖だったり
遠くから見ればただ真っ直ぐだったのに、近づいたら波が寄せては引いていたり、崖はでこぼこ、ごつごつしている。
どこからが海で
どこからが陸か
いつの間にか陸上で生活している人は、海の中にはいないのだろうか。海の中の生物は、陸とは無関係なのだろうか。
不思議
陸と海
家と私
/
たとえば、
どちらか。
わからないような場面は、
人生において少なくないようだ。
このまま行こうか、行かないか。
何かをした方が良いのかどうかなど。
するか
どうかの
分岐点
どちらにしようか。
できる
できない
わからない。
どうしようか。
したいか、したいではないか。
行こうか、行こうはないか。
誰だろう
私だろう
決めるのはたぶん
きっと
決めたのはたぶん
/
家は
広すぎればメンテナンスが大変だ
狭すぎれば窮屈だ
もし、これから、自由に、新しい家を作れるとしたら。
どうしようか。
わからないな。
まだ、わからない。
いいえ、わかっている。
いいや、わかっていない。
いえ、わかります。
/
機会は一度
この機会を
活かしたいのならば、大騒ぎしないでください。
活かさないのならば、大騒ぎしてください。
どちらにしても、いいでしょう。
けれども
同じ機会は二度とないことだけははっきりしています。
最初のように読める機会は最初だけです。
それゆえ
他の読者の最初の機会保護のため
/
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焦ることはありません。
急ぐ必要もないでしょう。
大丈夫
©️悔仮滅


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