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法学教室2020年4月No.475(1)

『法学の視点』からニュースを考える

憲法の視点―「SNS問題を考える」

 関学の丸山先生。実は,私は丸山先生の授業を受けていたことがある。とても熱心で授業もわかりやすく,いい先生。あと,見た目がめちゃくちゃ若い。

表現の自由に対する規制だけが憲法問題となるわけではない。自由かつ多様な情報流通に歪みが生じ,各種の意思形成過程に悪影響が及んでいるのであれば,それはすでに憲法21条の趣旨に反した状況である。たとえば,SNSを用いた恣意的な情報拡散により言論空間に歪みが生じている場合,とりわけ,政府が自らの存在を隠しつつ政府の望むメッセージを民間人に語らせるような場合には,これは許されざる言論空間の歪曲である。それが偽情報によるものであれば,その悪質性はより一層高まる。

 今,SNSでホットな問題といえば,政府から雇われたと思しき人がコロナに関して同一の情報をツイートしていることだが,まさに上記の許されざる言論空間の歪曲にあたるだろう。
 しかし,主観的権利の侵害はないだろうから,どうやって訴訟にもっていくかという話は残るかなと……あとは知らん。

刑事訴訟法の視点―「カルロス・ゴーン事件」を考える

 身体拘束の基本中の基本を解説するもの。一般の人レベルでも読めるものだし,法学部1回生で刑訴がよくわからん人はこれを読むとクリアにわかるかな。

知的好奇心を刺激する民事訴訟法

 元Jが民訴をソクラテスメソッドで解説する講座。
 今号は,証明に関する問題……司法試験で一番手薄にしていたよくわからんところだ。

 証明度を確率的に表現すると,80%~90%であると表現される。そうすると,「P町で交通事故がありXが負傷した。事故を起こした車両は赤色のバスであることが判明した。赤色のバスはP町で10台あって,Y社が9台所有し,Z社が1台所有している」とき,Y社が事故を起こした確率は90%として,Y社が損害賠償義務を負うことになるのか?という問題設定。

 まあ,感覚的には「いやダメでしょ」という話である。ここで,終わっていたら法律家ではないだろうけど,ここで終わってた。恥ずかし…

 証明度は,訴訟が裁判をするのに熟したときの問題である。上記の問題設定の場合,Y社の運行情報を調べたり,Xの衣服に付着した塗料を調べたりする必要があって,それらが終わっていない段階では訴訟が裁判をするのに熟したとはいえない。
 証明度の前提として,解明度(:新たな証拠によってこれまでの証拠調べの結果が覆される可能性の程度)が問題となることが大事よ,というお話だった。

 さらに,これにつづいて,解明度を高めるためにどの程度まで証拠を集めさせるか,審理を待つのかという話がつづく。

 ところで,この講座では高橋概論が指定教科書的に用いられている。私も,合格した年には高橋概論を使っていたが,やはりいい教科書なんだな…ちゃんと読み込も。

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