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2021年のカバーアルバム10枚

2021年はカバーアルバムの当たり年。と 2021年のベスト・アルバム10枚にも書きました。コロナ禍ということもあったんでしょうかね。ミュージシャンの方もいろいろ落ち着いて振り返る機会があり、それがカバーに結び付いた、のかどうかは知りませんが。なんにしてもカバー大好きな私としてはうれしい限り。ベストの方にはクレイジーケンバンド『好きなんだよ』を入れときましたが、他にも素敵なカバーアルバムが沢山あったのでこちらにまとめておきます。

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【01】Paul Stanley's Soul Station / Now And Then
【02】Marilyn McCoo & Billy Davis Jr. / Blackbird: Lennon-McCartney Icons
【03】A.J. Croce / By Request
【04】The Specials / Protest Songs 1924 – 2012
【05】KERA / まるで世界
【06】Los Lobos / Native Sons
【07】The Heritage Orchestra / The Breaks
【08】桑原あい / Opera
【09】V.A. / Modern Love
【10】氣志團 / Oneway Generation

【01】Paul Stanley's Soul Station / Now And Then

あのキッスのポール・スタンレーによるソウルクラシック集。あのキッスなのでHR/HM専門誌『BURRN!』にも当然登場。

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せっかくなので『BURRN!』でカバー各曲の解説とか読みたかったけど、それは無し(インタビューでは少し触れられていますが)。なんかもったいないけど、まあしょうがない。


↑の連ツイでも触れてるけどド直球な選曲がいい。「フィラデルフィアより愛をこめて」「ひとすじの涙」「ララは愛の言葉」「恋を求めて」と邦題を並べるだけでもグッとくる。ここに収められた9曲のソウルクラシックはロックファンもJ-POPファンもメタルファンも知ってて損はない大定番にして大名曲なので、ぜひチェックしてみて欲しい。あ、R&Bファン、ヒップホップファン、レゲエファンには当然お馴染みですよね!?

【02】Marilyn McCoo & Billy Davis Jr. / Blackbird: Lennon-McCartney Icons

今年公開されてとても話題になったクエストラヴ監督作品『サマー・オブ・ソウル』の中でもとりわけ印象深いシーンに登場したフィフス・ディメンションのマリリン・マックーとビリー・デイヴィスJr.夫妻によるレノン/マッカートニー作品集。ビートルズ8曲に加えポールソロとジョンソロを1曲ずつという構成がまず良い。そして原曲を尊重しつつも変えるところは大胆に変えていて、でもなんだか格調高いスタンダード集みたいな趣きある編曲もいい感じ。さらに83才と78才のデュオとは思えない(という表現もそろそろ陳腐か)歌声が素晴らし過ぎる。

【03】A.J. Croce / By Request

A・J・クロウチのカバー盤はロックもソウルも混ぜこぜの寄せ鍋スタイル。ニール・ヤング、ランディ・ニューマン、サム・クック、ビリー・プレストンらの曲に並べてフェイセズの「ステイ・ウィズ・ミー」やビーチボーイズの「セイル・オン・セイラ―」なんてのもあり。楽しいー。ちなみに「Ooh Child」は上記ポール・スタンレーのアルバムにも収められているので聴き比べできるのもまたうれしい。まあ、オリジナルが超名曲ですからねー。
▶Five Stairsteps / O-o-h Child


【04】The Specials / Protest Songs 1924–2012


2018年の復活作でもかなり強い主義主張を反映させていたスペシャルズによるプロテスト(抗議)・ソング・カバー集。プロテスト・ソングなんてもう死語か、いや2021年にこそ有効なプロテスト・ソングもあるはず。そしてそれを演奏するのがスペシャルズだということが何重にもかっこいい。それにしてもザッパ・カバーは驚いた。
とはいえ原曲を知らない曲も多数なので、その辺りはこちらの記事を参照。

ザ・スペシャルズ新作アルバム『Protest Songs 1924-2012』ホレス・パンターによる全曲解説

いやしかしこの「ゲットアップ・スタンドアップ」のスローバージョンは絶品!

【05】KERA / まるで世界


有頂天のケラというかナイロン100℃のケラリーノ・サンドロビッチというか、まあいいか、KERAによる日本のロック/ポップスのカバー盤。ユーミン、永ちゃんと来て、そこにルースターズやじゃがたらやプラスチックス、リザードといった辺りはいかにもケラらしいという選曲だが、NHK「みんなのうた」から3曲あってどれもまたいい曲というところが心憎い。「地球を七回半まわれ」なんかはなんとなく耳憶えあるし。
ただしベスト・トラックは野坂昭如の「マリリン・モンロー・ノー・リターン」か。これもコロナ禍の2021年に聴くと、なんだかあらためて迫力が出るな。

オリジナルも貼っておこう。野坂昭如 R.I.P.

【06】Los Lobos / Native Sons


ロス・ロボスのカバー盤とか、それだけでもう最高でしょ、という期待を1ミリも損なわないナイスなアルバム。バッファロー・スプリングフィールドやWAR、ジャクソン・ブラウン等はともかく、オリジナルを知らない曲も多数。でもそんなの関係ねえ。まだまだ健在のデビッド・イダルゴのギターをはじめいい塩梅の演奏を堪能しているうちにアルバムは心地良く進む。
あとビーチボーイズ「セイル・オン・セイラー」はA・J・クロウチと同選曲。特に代表曲といった感じでもないのにどうしてなんだろう。単なる偶然だろうけど、ここは時代の雰囲気ということにしておきたい。
▶The Beach Boys / Sail On Sailor

【07】The Heritage Orchestra / The Breaks


UKのジュールス・バックリー率いるヘリテイジ・オーケストラによる定番ブレイクビーツ・カバー集。
内容はこちらの記事を参照。私はこれ読んで購入しました。
HERITAGE ORCHESTRA - The Breaks:カマシ・ワシントンやスナーキー・パピー人脈が参加したブレイクビーツ・クラシックス集(柳樂光隆)

私はDJではないので、定番ブレイクビーツもわりと曲ごと楽しむことが多いのですが、だいたいブレイク以外も良い曲がほとんどだから、こういう企画は最高だし大好物。

【08】桑原あい / Opera


ジャズはスタンダードを演奏することも多いのでカバー・アルバムという括りに入れていいものかどうか迷う部分もあるのですが、桑原あいのソロピアノによるこれは、5名の識者によるリクエストも含むし、カバー盤ということいいや、と。
それにしても白眉はシシド・カフカ選曲によるボン・ジョヴィ「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」!!

エモエモのエモといったオリジナルの力強さをそのままソロピアノに置き換えたようなエモいプレーがたまらなくクセになります。他にも「デイドリーム・ビリーバー」も華やかで可憐で良き。

【09】V.A. / Modern Love


ここまでコンピ盤なしというのがいかにカバー豊作年だったかという感じですが、ここにきてトリビュート盤、デヴィッド・ボウイ作品集。クルアンビン、ウィ・アー・キング、ミシェル・ンデゲオチェロといった個性的なメンツが揃っているけど、意外と聴いて突飛な感じもしないのは、ボウイ曲が元々備えているポテンシャルってことなんですかね。超有名曲もそうでもない曲も選ばれていてどの曲も聴きどころありな良コンピ。

【10】氣志團 / Oneway Generation


今年は歌謡曲系のカバーアルバムも多数、マイベストに上げたクレイジーケンバンドとか上白石萌音とか。そんな中、昨年10月に亡くなった筒美京平への追悼盤としては豪華アーティストが揃った『筒美京平SONG BOOK』もありましたが、私の好みとしては氣志團ががむしゃらにトリビュートしたこちらに軍配。

筒美曲の持つ青春感を倍増、暴走させた瑞々しいトラックが並び、筒美京平to氣志團、という振り幅に日本のロック/ポップスをギューッとつなぐ強い気持ち強い愛を詰め込んだ感じが胸を打ちます。
ではお聴きください。作詞・小沢健二、作曲・筒美京平、氣志團で「強い気持ち・強い愛」

他にもトム・ミッシュとかSpoonful of Lovin'とかSOIL&"PIMP"SESSIONSとか、あとカバーとは違うけどジョン・メイヤーの80sオマージュ盤とかも良かったな。おっと忘れちゃいけないローリング・ストーンズも『刺青の男』デラックス版にカバーを3曲収録。「ドリフト・アウェイ」は超沁みた。
2022年もナイスなカバーアルバムや驚きの新譜など沢山あるといいですねー。


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