【お返し断捨離】(558文字)③
※毎週ショートショートnoteの【レトルト三角関係】から、お話を繋げて書いてます。ハッシュタグは #二階堂くんのショートショート です。
結局、二階堂くんに何も聞けないまま数日が過ぎた。
会社でいつも通り接してるけど、ふとした瞬間に思い出して意識してしまう。今までただの同僚だったのに、食べてみない?の一言で、私は男の二階堂くんを開封してしまったのだ。
「雨降ってる…」
私は会社の自動ドアを出たところで立ち往生した。重たい空と、しばらく止みそうにない雨。すると前から、ビニール傘をさした二階堂くんが歩いてきた。どうやら営業帰りらしい。
「山本さん、今帰り?」
「そうなんだけど、傘忘れちゃって」
「この傘あげるよ」
「いや、悪いよ」
「俺が帰る頃には止んでると思うし。それにこの傘、先月山本さんからもらったやつだから」
「そうだっけ?」
「俺が困ってたら『家にビニール傘何本もあるし、ちょうど断捨離しようと思ってた』ってくれたじゃん」
「あ~、あれね」
二階堂くんは私に傘を押し付けた。
「はい、お返し断捨離。じゃ、俺仕事あるから、また明日」
私は帰宅し、玄関の傘立てに傘を入れた。ふと見ると傘の柄の部分にシールが貼ってあった。無機質なビニール傘で微笑むクマ。きっと二階堂くんが貼ったに違いない。
部屋着に着替え、ビールを飲んで適当に夕食を済ませると、二階堂君からラインが入った。
『おつ。山本のパソコンにデータ送ったから、明日チェックしといて。それと、ときめきのある傘は捨てるなよ』
前回の猫ミームは激ムズだったけど、今週のお題は繋げやすかった~✨
読み切りな感じで書いてますけど、同じ登場人物で話を繋げるとショートショートとは言えないかも😅まぁ趣味ですので、ゆる~く個人的に楽しめたらいいかなと思ってます。考えるのが大変だけど、楽しいです、沼です(笑)