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ポケットからアベノマスク


#未来に残したい風景

マスクをして登校している学生たち、透明なパーテーションの向こうでレジを打つ人、手袋をして保険証を受け取る病院の受付の方、コロナで変わってしまったこの風景を写真にして未来に残したいです。

何ヶ月後、何年後かわかりませんが、コロナが落ち着いてマスク不要の生活に戻れたら

「コロナが流行ったとき、こんなことがあったんだよ」

と、その写真を見せながら子供たちに伝えたいです。だからアベノマスクも開封せずに大切に保管してます。私にとってこのマスクは今を伝える為の大切なアイテムなのです。

2020年、コロナの感染が広がり始めたころ、マスクの在庫がなくて価格が高騰しましたよね。うちの近所では不織布マスク一箱4000円くらいでした。それから徐々に店頭から消えて、入荷の噂があればマスクを求めて行列ができたことがありました。ドラッグストアが開店する1時間前から30人くらいの行列を見かけたこともありました。そのほとんどが高齢者でした。

その頃、私は家族の為に手作りマスクを作ろうとしましたが、マスク用のゴムもガーゼも売り切れていて、仕方なく白いさらしと子供の帽子に使うようなゴムを購入しました。裁縫は好きじゃなかったけど自分で作るしかない。何枚作ったかな…20枚以上は作りました。生地は二重にして外側はさらし、内側は祖母が着ていたシルクの着物を解体して作成。肌触りの良いマスクは今でも使っています。

あんなに苦労したマスク。ちょっと前のことなのに、今は普通にマスク買えてる…普通に買えてますよね…あれは夢だったのだろうかと思うくらい。

将来、例えば20年後、この話を大人になった我が子に話したら「お母さんの話ってほんとなの?よく覚えてないわ」と言われそうです。もしも孫がいれば「そんな時代があったの?信じられない」と言うかもしれません。そのとき年老いた私はポケットから色褪せたアベノマスクをジャジャーンと取り出します。政府がマスクを作って配ってしまうくらい大変だったんだよと。これを手にすればデジタルでは伝わらない重さを感じるはず、「あぁ、本当のことだったんだ…」と納得するはず。

数年前、マスクなしで生活していた私たち。その頃の写真を見ると、それなりに苦労はあったけど、それでも人と気兼ねなく会えたり実家へ帰省できてました。人と自由に会える集まれる、ハグできる、外食時大きな声で笑える、幸せな時代だったんだなって思います。今のこの現実、景色を未来の私たちはどんなふうに感じるんでしょうね。

「あの頃は大変だったなぁ、でも今はとても幸せ」

と思えるような未来でありますように。そして幸せな生活に感謝し、その生活を守ってくれた人たちへの感謝も忘れませんように。その為ならポケットからアベノマスク、何度でも出しますよ。