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ショートショート

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サクッと読める短い小説
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#二階堂くんのショートショート

【彦星誘拐】862文字 ⑳

昨日、部長が溺愛している飼い犬が脱走した。部長は落胆し能面のような顔で出社してきた。あま…

夢ポテ
2週間前
9

【一方通行風呂】951文字 ⑲

山本サヤカと出会ったのは高3の夏休みだった。 当時の僕は人間関係に疲れて、現実から逃げるよ…

夢ポテ
3週間前
8

【天ぷら不眠】790文字 ⑱

私と二階堂くんは図書館の中庭をのんびり歩いている。雨上がりの芝生の緑は鮮やかで、空の青は…

夢ポテ
1か月前
11

【復習Tシャツ】881文字 ⑰

私と二階堂くんは駅のホームで電車を待っていた。 「ふあぁ~、眠い」 「山本さん、最近あく…

夢ポテ
1か月前
11

【友情の総重量】985文字 ⑯

先日、どういうわけか自宅のカーテンレールが壊れてしまった。取り外して新品に交換しようとし…

夢ポテ
1か月前
10

【てるてる坊主のラブレター】707文字 ⑮

昼休憩。 私と二階堂くんはレストランでランチを食べたあと、食後のコーヒーを飲みながらまっ…

夢ポテ
1か月前
8

【祈願上手】758文字 ⑭

カフェからの帰り道、夕暮れの街。 私と二階堂くんは街路樹の下を歩いている。梅雨前の不安定な天気のせいで晴れているのに霧のような雨が降っていた。 突然、目の端に白いものが現れた、猫だった。タタタタッと目の前を通り過ぎて路地裏へ消えた。 「猫!今の三毛猫だったよね?」 「あぁ、三毛だった」 「私ね、三毛猫を見るたびに小さい頃飼ってた猫思い出すんだ」 猫じゃらしではしゃぐ姿。あったかい肉球。ゴロゴロと甘える姿。少しでも思い出すと勝手に目が潤んでしまう。 二階堂くんはふい

【文学トリマー】892文字 ⑬

私はいつものカフェでタンブラーを片手に空席を探した。 カウンターに見覚えのある背中があっ…

夢ポテ
2か月前
13

【記憶冷凍】811文字 ⑫

二階堂は昭和に建てられた公立図書館の扉を開けた。開館直後で利用者はほとんどいない。 正面…

夢ポテ
2か月前
7

【放課後ランプ】906文字 ⑪

取引先との打ち合わせが終わって、私と二階堂くんは海辺の町を歩いていた。海に沿って続く歩道…

夢ポテ
2か月前
19

【ラムネ炭酸寝顔】921文字 ⑩

木造の店舗に『ラムネ』の吊り下げ旗が揺れる。 私と二階堂くんは喉の渇きを癒す為、その店へ…

夢ポテ
2か月前
7

【春ギター】880文字 ⑨

街中にある小さな神社には、大きな桜の木の下にベンチがある。 私はお気に入りのタンブラー…

夢ポテ
3か月前
12

【オバケレインコート】752文字 ⑧

取引先からの帰り道、突然の雨。 私と二階堂くんはバス停のシェルターで雨宿り。 「風、強く…

夢ポテ
3か月前
11

【命乞いする蜘蛛】682文字 ⑥

ここは5階にあるオフィスフロアの小部屋。会社の書類保管庫として使用されている。アルミ製のラックに青いファイルが隙間なく積まれ、昼間でも薄暗い。 入口のドアから二階堂が入ってきた。 倉庫の奥へ進み天井を見上げる。蜘蛛の巣。タランチュラのような蜘蛛が息を殺してこちらを見ている。二階堂は蜘蛛に話し掛けた。 「お前、先週桜の下にいたやつだろ?」 「なんでわかんの?お前見えるの?」 「見えるよ」 蜘蛛は引力に任せてボトっと落ちた。人間のような黒い影に変化した。右腕はロープのよ