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ショートショート

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サクッと読める短い小説
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記事一覧

【海のピ】406文字

魚釣り リールを巻いていると途中で突然重くなり 竿がカーブを描くことがある 深い海底で大…

夢ポテ
9日前
5

【彦星誘拐】862文字 ⑳

昨日、部長が溺愛している飼い犬が脱走した。部長は落胆し能面のような顔で出社してきた。あま…

夢ポテ
2週間前
9

【一方通行風呂】951文字 ⑲

山本サヤカと出会ったのは高3の夏休みだった。 当時の僕は人間関係に疲れて、現実から逃げるよ…

夢ポテ
3週間前
8

【天ぷら不眠】790文字 ⑱

私と二階堂くんは図書館の中庭をのんびり歩いている。雨上がりの芝生の緑は鮮やかで、空の青は…

夢ポテ
1か月前
11

【復習Tシャツ】881文字 ⑰

私と二階堂くんは駅のホームで電車を待っていた。 「ふあぁ~、眠い」 「山本さん、最近あく…

夢ポテ
1か月前
11

【友情の総重量】985文字 ⑯

先日、どういうわけか自宅のカーテンレールが壊れてしまった。取り外して新品に交換しようとし…

夢ポテ
1か月前
10

【てるてる坊主のラブレター】707文字 ⑮

昼休憩。 私と二階堂くんはレストランでランチを食べたあと、食後のコーヒーを飲みながらまったりしている。 梅雨に入り、静かな雨が朝からずっと降り続いていた。 「なんだか思い出すなぁ…」 「なにを?」 「学生時代。私、中三のとき好きな人がいたの。増井くんって言うんだけど、顔も頭も良くてクラスの人気もので。友達とまではいかないけど、仲良かったの。 でも文化祭で喧嘩しちゃって。ずっとゴメンって言えなくて、告白もできなくて。そのまま雨の降る卒業式を最後にそれっきり」 「後悔して

【祈願上手】758文字 ⑭

カフェからの帰り道、夕暮れの街。 私と二階堂くんは街路樹の下を歩いている。梅雨前の不安定…

夢ポテ
1か月前
10

【文学トリマー】892文字 ⑬

私はいつものカフェでタンブラーを片手に空席を探した。 カウンターに見覚えのある背中があっ…

夢ポテ
2か月前
13

【記憶冷凍】811文字 ⑫

二階堂は昭和に建てられた公立図書館の扉を開けた。開館直後で利用者はほとんどいない。 正面…

夢ポテ
2か月前
7

【放課後ランプ】906文字 ⑪

取引先との打ち合わせが終わって、私と二階堂くんは海辺の町を歩いていた。海に沿って続く歩道…

夢ポテ
2か月前
19

【春弦サビ小説】暗殺者(RPG風) 737文字

このショートショートは 『春弦サビ小説 オープニングムービー』からインスピレーションを得て…

夢ポテ
2か月前
18

【ラムネ炭酸寝顔】921文字 ⑩

木造の店舗に『ラムネ』の吊り下げ旗が揺れる。 私と二階堂くんは喉の渇きを癒す為、その店へ…

夢ポテ
2か月前
7

【春ギター】880文字 ⑨

街中にある小さな神社には、大きな桜の木の下にベンチがある。 私はお気に入りのタンブラーを片手に、そこに座った。ここでカフェラテを飲みながらのんびりすることが、休日の楽しみなのだ。ゆっくりと息を吐きながら空を見上げる。葉桜から差し込む光が美しい。 「お姉さん、こんにちは」 突然の声に驚いてカフェラテをこぼしそうになった。いつの間にか目の前に、10歳くらいの少年が立っていた。Tシャツに半ズボン、太い肩紐を斜め掛けにしてアコースティックギターを構えていた。私は戸惑いながら、