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西暦2022年の総括

 早いもので、この記事を書いている最中、年が明けた。新年である。そこで、少し遅くなってしまったが、昨年を振り返ってみたい。なんとなくツイートをして、それがタイムラインの彼方に消えるだけでは勿体ない。本稿では大きく6つにジャンルを分け、纏めてみた。なお最後のジャンルについては、他よりボリュームに富んでいる。バランスは悪いが、それも一興だろう。

 第一に、仕事。良くも悪くもなかった、というのが率直な所感だ。激変する国際情勢を受け、私が勤めている業界全体は、数年前から苦しい状況が続いている。今年もそういった問題への対応に終始してしまったと言えば、それきりかもしれない。もちろんその中で経験や成果として得たものはあり、それらを今後に活かしていければいいと思う。まあ、まだまだこれからだ。

 第二に、健康。昨年は人生で初めてダイエットというものに挑戦してみた。途中、原因不明の腹痛に悩まされた時期もあったが、結果的に約10kgの減量に成功した。行ったのは、筋トレと食事制限だ。とはいえ、どちらも徹底していたわけではない。前者については特にジムに通っていたわけでもなく、一日15分程度、所謂自重トレーニングを行っていた。後者についても、タンパク質をしっかり摂るようにするだとか、なるべく糖質を控えるだとか、その程度だ。しかし「その程度」の積み重ねでしっかり結果が出たことから考えるに、ネットで流布している「筋肉は裏切らない」という言葉はなるほど真だと思う。だから欲が出て、もう少し鍛えてみようと思った。自分の体が理想に近付いていくというのは、なかなか良いものだ。更には日々の運動不足解消にもなる。なお、筋トレや食事に関する知識は全てYouTubeから得、自分なりに試行錯誤を重ねた。ただYouTubeは便利だが、様々な人が様々な情報を発信しているし、それらが自分の体や生活習慣にマッチするかという相性の問題もある。もしこれから筋トレやダイエットを始めるという方は、ぜひその辺りに注意してほしい。

 また健康といえば、12月に入ってから遂に新型コロナウイルスに罹患してしまったのは手痛かった。師走というだけあり、この時期は普段そこそこ暇な仕事も忙しく、出社出来なかった分を取り返すのに少々苦労した。しかし病気の後遺症もなく、家族にも感染らなかったのは幸いであった。献身してくれた母親や会社の上司に改めて感謝したい。

 第三に、ものの考え方。最近は、主に2人の言論人––カジュアルに言い換えれば「インフルエンサー」だろうか––から強く影響を受けている。もはやこのお二方なしでは、自分の今の思考を説明出来ない。それ程大きな存在だ。私が通勤電車で本を読むようになったことで、そのプレゼンスは飛躍的に高まっている。特にここ半年は、その内の一人の、哲学研究者の方の影響で、自分の生活に哲学の眼差しが入ってくるようになった。今試しているツイッターの「しかた」は、まさにその実践であり、これについてはまた改めて筆を執りたいと思う。とにかく、これ程までに言論の力、或いは言語の力とは強力なものだったのかと、驚くことしきりである。そこで受け取ったものも含めて、恐らく今年、今の自分の思索はある程度の「形」を持つに至るのではないかと思っている。それを発表出来た暁には、ぜひご笑覧いただきたい。

 第四に、オーディオ。一昨年に出逢った未知のオーディオ理論がある。それに基づいたシステムを模索し続け、紆余曲折の末、ここ最近になり漸く完成となった。厳密に言えばもう少しばかり改良の余地はあるのだが、ほとんどゴールということでいいと思う。我ながら、よくここまで辿り着いたなと感慨深い。しかしこの場所は、失敗と妥協で出来た道の果てでもある。その軌跡についてもまた別の機会に書きたいと思っているので、ここではこれ以上語らないことにする。

 第五に、ボイストレーニング。なんとなくツイッターで明言したことはなかったのだが、私は最近、仲の良い友人から発声のレッスンを受けている。特に11〜12月は友人の事情で頻度も高く、週に1回は受講していた。カラオケボックスにキーボードを持ち込み、それで音を確認しながら発声するという一見本格的なスタイル。とは言え相手は友人なので、お互い遊びの延長というか、遊びの中で少しレッスンをするといったスタンスだった。自分からすれば彼と遊ぶだけで満足なのに、そのうえ発声が良くなっていくというのはあまりに充実している。友人も遊びの体で気軽に会いつつ、レッスンの経験と実績が得られる。まさにWin-Winの関係で、それは現在でも続いている。自分の中ではまだそこまでの成長は感じられないのだが、彼としてはそれなりの手応えを感じているようだ。それ故か、これまで原曲キーで歌えなかった曲がそのまま歌えるようになったり、歌い切れなくとも理想に近付いたりしているところだ。そこでは、歌を歌う身体的な喜びと、自己実現による精神的な喜びが合わさっている。友人の事情がパスされたので、もう頻繁にレッスンを受ける必要はないのだが、今後もこれを緩く続けて、楽しいカラオケを目指したいと思う。

 最後に、コンテンツ。一昨年の西暦2021年は個人的に革命的な年で、それについても改めて書かなければならないと思っているが、ここでは昨年について振り返る。革命といえば、『少女革命ウテナ』を観たことは、このパラグラフで語る中で恐らく最も大きな出来事だった。まさに自分が、自分の見ている世界が革命されてしまった。何故これ程の作品に今まで触れずにいたのか。驚愕と羞恥と、そして最上の狂喜が私を攫った。即ち、物語の醍醐味である。また音楽の面でもウテナは特別だった。厳密に言えば、特別なのは挿入歌と一部主題歌を作曲しているJ・A・シーザー氏なのだが、彼の楽曲を取り入れたウテナはやはり特別だ。実際、作品に纏わる音楽を大量に蒐集し、それを聴くことで得られた快楽は、唯一無二だった。私は普段、自分で編んだプレイリストで音楽を聴いている。ウテナの楽曲はボリュームがあるので、劇伴とは別にボーカルトラックがメインのプレイリストを作成した。それ自体はよくあることなのだが、その類でこれ以上狂ったプレイリストを作ることはもうないのかもしれない。それ程までに極まっているのだ。

 こうして私がウテナに導かれた大きな要因は、ウテナを手掛けた幾原監督の別作品『輪るピングドラム』が、TV放送10周年を迎えたことだ。それを記念して、総集編+αの映画が前後編の構成で上映された。ウテナについてばかり書いてしまったが、ピングドラムのTVシリーズを観直したこと、劇場版を観たことも、自分にとって特別に大きな出来事だった。このことについては、既出の記事で綴っている。
 
 幾原邦彦監督から離れて語るのであれば、昨年は恐らく『犬王』が最も素晴らしいアニメ体験だった。これまで観たアニメ映画の中で、恐らく五指には入るだろう。他に良かった映画を取り上げるなら、『ぼくらのよあけ』『すずめの戸締まり』『かがみの孤城』。TVアニメでは『明日ちゃんのセーラー服』『5億年ボタン』『ヤマノススメ Next Summit』『アキバ冥途戦争』『チェンソーマン』辺りだろうか。こうして書き出してみると、秋から冬にかけて公開されたタイトルが多い。最近の話なので印象に残っているということなのだろうか。自分は寒がりで冬が苦手なのだが、これだけアニメが充実しているのであれば、この寒さも少しは許せるというものだ。

 アニメ以外のシーンでも、昨年は大きな出来事があった。TYPE-MOONの同人ゲーム『月姫』のリメイクが遂に叶ったのだ。往年のファンからは半ば諦められていた本作だが、制作は着実に進んでいたようである。私は原作が大好きなので、キャラクターの声やビジュアルの刷新に不安もあったのだが、結果的には素晴らしいという言葉に尽きる出来栄えだった。所謂「遠野家ルート」はまた別のタイトルになるようなので、それを気長に待ちたいと思う。同時期に発売された、『月姫』のキャラクターが登場する格闘ゲーム『MELTY BLOOD』の新作も、シナリオは既に楽しんだ。今後対戦に取り組むのも面白いだろう。ただ自分には操作やシステムが難しく、現状では偶に触って楽しむくらいに留まっている。

 また同じくTYPE-MOONのゲームである『魔法使いの夜』のコンシューマ版が発売されたことも外せない。かれこれ原作の発売は10年前になるが、フルボイス化・HD化というパワーアップを果たして帰ってきたのだ。今は丁度最序盤をプレイしているところである。まほよも思い出のゲームで、大好きな作品だ。各キャラのボイスがどのようになっているのか、同じ筋書きでも今の自分はどう感じるのか、楽しみにしながら進めたい。

 こうして遊んだゲームがあれば、その分遊べなかったゲームもある。『サムライスピリッツ』にほとんど触れなかったことと、上述の友人から強く勧められている『アイドルマスター シャイニーカラーズ』を始められなかったことは反省点だ。遊びたい気持ちはあるのだが、どうしても時間が足りなくなってしまった。今年はどうにかして、どちらも楽しみたいところである。

 ここまで語ってきたような「静」の形態を取ったコンテンツがあれば、「動」としてのそれもある。アニメのイベントや好きなバンドのライブは、コロナ禍が続く中でも大変素晴らしかった。その中で特に印象に残っているのは、『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のオーケストラコンサートだ。あまりの衝撃に、会場を出た後しばらく放心した。ただ、キャストが1人、新型コロナウイルスに罹患した都合で、出演が叶わなかったことだけが残念だった。嬉しいことに再上演が今月催されるので、そこではキャスト全員が元気な姿で揃うことを願うばかりだ。他にも、昨年は特に色々なイベントに足を運んだ気がする。そういった場所で過ごした時間全てを記憶しているわけではなく、むしろほとんどを忘れてしまうのだが、それでも感じられる幸せがある。私が強い影響を受けている『空の境界』を引くならば、これは永遠と呼べるものだろう。上述のコンサートの他にも、既にいくつかイベントやライブの予定が入っていて、今年も忙しくなりそうだ。

 以上、ざっと昨年を振り返ってみた。ツイートはしても日記は書かないので、自分が何をしてどのように感じたかというのは、実はあまり覚えてはいないものだ。それでもこのように思い浮かぶことというのは、自分にとって大事なことなのだと思う。今回はそれを確認する良い機会になった。自分を分析することが最近の関心事ということもあり、その下準備として位置付けられるかもしれない。とにかく自分のことを考える。そして書く。今年はそんな一年になる気がしている。

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