見出し画像

普通の女子中学生がラグビーを始めてみた

もうすぐ中3になる娘がラグビーを始めました。

娘は、ただラグビーが好きで、やってみたいな…と思った普通の女子中学生。

パパや兄弟など身内にラグビー経験者がいるわけでもありません。特別に運動神経がよいわけでも、かといってとりわけ鈍いわけでもなく、脚の速さはリレーの選手の補欠になるレベル。空手は小学生から続けていますが、黒帯というほどでもありません。習い事は、水泳やバレエ、能を嗜み程度に。中学校の部活は生物部です。特別大人っぽいわけでも、特別幼いわけでもなく、学校でも本人曰く「陽キャと陰キャの間くらい」。大きく変わったところのない中学生です。

ただ母である私とトップリーグを毎週観に行っては、帰ってからJSPORTSで復習という生活を送っているうちに、自分もやってみたくなったという経緯です。
(その話はまた別途)

紆余曲折ありながらも、最高学年で初心者の女子でも受け入れてくださるラグビースクールとご縁があり、年明けから入会しました。緊急事態宣言の影響で、オンライントレーニングが続きましたが、最近やっと外での活動がスタートしたところです。

とにかくこのラグビースクールのコーチ達がステキ!
声を荒げたり、脅かしたりということがなく、初心者の娘だけでなく、子どもたち全体に対して落ち着いた声かけをしているそうなのです。

昭和の罵倒系部活しか知らない母にはうらやましすぎる環境です。

それでもやはり最高学年初心者女子、本人も周りもやりづらいのは想像に難くありません。

ついていけないのはなかなかしんどい、コーチもみんなも優しい、でも私もがんばっている、誰も悪くない、自分も悪くない、今日はこんなことができるようになった…と、気持ちを立て直すために帰りに色々話すのをひたすら聴くのが私の役目です。

少し離れているので、週末は車で送迎するのですが、その帰りに色々報告してくれる内容が、あまりにも素直すぎて逆に新鮮。そりゃそうでしょ(笑)って思うのですが、運動部経験もない娘からすると、そう見えるのかーと、感想がおもしろすぎるので、初心を忘れないように、メモしておきたいと思います。

「体幹力はあるけど腕は小鹿なの。」


空手、水泳、バレエ、能など体幹力を鍛え、見て聴いて模倣する、ミラーニューロンを鍛える習い事をしていたからか、基礎トレーニングで体幹はブレず、褒められるのだそうですが、腕はプルプルなんだそうです。腕が小鹿って(笑)わかるけどー!

「ゲーム練習で○○と代わって入ってって言われるけど、誰が誰だかわからないんだよねー。」

そりゃそうです(笑)顔と名前とポジションがまだ覚えられないんだそうです。転入生状態ですものね。とはいえ、「あ!そっかわかんないか。」とすぐサポートしていただけるそうです。

「『もっと積極的に関わって!』って言われるけど私、2年間弟以外の男子としゃべってないんだよね…」

女子校に通っている娘。小学生から知る男子ならまだしも、全然知らない男子、しかもシャイな中学生と対等に関わるのは無理だよねーと。

初心者のくせに「そこの君、私、WTBやるから変わって!」とか言えないよねーと爆笑。そんなグイグイ初心者女子だったら即ドン引きされるから、ちょっと戸惑ってる感あるくらいで正解じゃない?ということに。

「ゲーム練習の時は透明になってその辺で見ていたい。」

「基礎練、パス練はやさしいけど、みんなも今最高学年、コロナで少なくなってしまったチャンスのために必死なのがわかるから申し訳ない。」とのこと。

わかる、わかる。そういう時、消えたくなるよねー。

HSP傾向のある娘は、地獄耳だし、視界を180度以上開いて集団を見るそうなのです。ポジション代わるのに微妙な空気は感じちゃうそうなのです。

どう動いていいかわからないだろうし、結構強いチームの中学生男子と混じるのは、私なら心折れます。おそらくやろうとも思わない…。

でも、そろそろ限界かなーーという頃合いでコーチが声をかけて個別にパス練などしてくださるそうなのです。「コーチ達が神過ぎる」と本人も言っています。

「ハム、エゲツな!腹筋、割れた!」

まじめなので課題になるとやる性格。オンライントレーニングと走り込みのおかげで、どんどん筋力がついていくことに、本人がビックリしているのが笑えます。シックスパックとはいきませんが、おなかに縦の線はできていました。ハムストリングスもガッツリ硬くなってきました。コロナの影響でお休みだった空手の稽古に久々に行ったら、めちゃくちゃ余裕だったそうです。

「めっちゃ褒めてくれる。私にだけじゃなくて、みんなにいいところを伝えてる。」

本当にラグビー好きなんだねー!パスが上手!体幹強いね!などなどコーチが声をかけてくださるので、本人もモチベーションを維持して、次も行こうと思えるみたいです。

中学生女子が4人。運動部だった私ですら、尻込みする環境です。何も知らないがゆえにできているのかもしれません。でも少ないとは言え、それでもコーチもメンバーも女子を受け入れ慣れているのがありがたい…。

しかも娘がお客さん扱いだからではなく、みんなにそうだというのが、私も新鮮!なんという洗練された指導が行われているのでしょう…。

花園には何人も卒業生が出ているようなチームです。現役中学生にとっては、長年ラグビーを続けてきて、次の進路に向けてアピールの場となる大会が、去年も今年も中止となり大変な中、この懐深さには感謝しかありません。

私のラグビー愛など自分がラグビーを観にいきたいレベルですが、平日はお仕事をしながら、週末は青少年の育成に時間を捧げているコーチ達には頭が下がります。

私も保護者として最高学年は全員係を担当することですし、少しは恩返しできるようがんばろうかと思います。

ラグビーミーハーおばさん活動は、しばし自粛傾向なのかな…。推しの選手も、推しのチームも、私でなくても、たくさんのファンが応援してくれるのです。私にとっての励みが減るのは寂しいけれど、私が躍起にならなくても、選手は大丈夫。

娘は今、できなかったことが一つ一つできるようになるのがうれしく、楽しいのだそうです。

今年は間違いなくミソっかす感の存在まま終えるわけで、この先も高校で女子ラグビーができる環境に出会うのはますます難しいことでしょう。

遅咲きながら日本代表になった!という伝説の選手になる感じでもないと思います。

私も毎週末、渋滞にハマりながら送迎していると、この生活が娘のためになっているのか、全て中途半端で、勉強に専念しておいた方がよかったと後悔することになったら…と不安になることがあります。

でも今ラグビーが楽しい!これまで出会ってきたラグビーに関わる大人がみんないい人!という娘。

ラグビーをやってみたい…その気持ちを軽んじず受け入れてくれる大人がいてくれる、ということが何よりありがたく、その出会いが将来の糧になると信じてサポートしようかと思っています。