谷崎潤一郎氏(青空文庫より)

谷崎潤一郎氏を読んだ。(お金ない人も青空文庫で読めるよ。)余談ですが、最初太宰治の話だと思って感想書いてたら、芥川龍之介でした。もういろいろぐちゃぐちゃよ。


面白い。簡単なあらすじはこうだ。筆者の芥川龍之介が谷崎潤一郎と神田にお出かけして、谷崎氏がいろんな人にじろじろ見られたりするという短編小説(だと思う。)谷崎氏が谷崎氏らしくあることがこんなに面白いのかと思ってしまう。非常に興味深い。
人々と本人の信念のずれというのは、面白いんだなって思った。なんでここまで面白く感じるのだろう。見ていて思ったのは本当にこの人しょうがないんだから。好きだよ。と思う。

そして、友人のことをここまで面白おかしく、描写できるのだなと思う。この話が好きか嫌いかといわれると、あまり好きではないのほうに入るのかもしれないが、でも、思わず吹き出してしまうくらいには魅力的だったな、と思う。私は好きと嫌いと、魅力的かどうかは必ずしもイコールではないと思うのですが、谷崎氏が魅力的に見えてしまう、だけど、その魅力的な部分を主役にしている芥川には腹が立つ、他人の特徴を利用してこんな面白い話書いちゃってさあと、むかつくなあと思うのである。

他人の話を面白おかしく話すことで話題を盛り上げる人、その雰囲気は好きだけど、なんか自分をネタにできればいいのになあって思ってしまう。最悪受けなくても、ダメージ少ないよねって。ここに対して、むかついてもしょうがないし、芥川龍之介って割と他人目線で書いた文章が多い気がする。最初太宰だと思ってたから、腹立ってたけど、芥川龍之介ならしょうがないかと思ってしまった。調子が狂う。

これはたぶん、私が友達を自慢する人が嫌いなんだと思う。そういう人は嫌いだけど、これを5分以内に読める超短編にした芥川龍之介はやっぱりかっこいいし、谷崎さんの面白さが分かるから楽しくなっちゃう。「ずるい!モテるだろーなあー。結婚しよ。結局信念を持つ人って魅力的だし、あーあ谷崎さんの魅力を語っている太宰のことが好きになっちゃうマジックをかけられちゃうよー。」って言ってたのも修正しなきゃいけない。正直どっちも結婚したいくらい魅力的。天才っていう概念はあまり私信じてないけど、自分のこと天才っていう人は好き。魅力のある人はその人の持つ好き嫌いの概念すら変えてしまうんだなとしみじみ思う。

「でもやっぱり嫌い!これを好きっていうのは、まだゆるせない!許す理由がないもん!!!いつか許せる日が来るかもしれないけどまだ無理いいいいいいい!!私はまだそれを良しとできる人間になっていない。このプライドをまだ否定できない。結局自分のことが嫌いなんだ。と思う。でも、他人を通して、自分を確認することは自分を表現することなんだろうなということを認められる私になったとき、今感じているこの嫌悪感や違和感は嫌いではなくて、好きになる気がする。ただ、今は、このコンテンツおもろいやろ。それが好きな私センスある。と思ってしまう自分を嫌がっている。そういう人間も自分もまだ許せないので。(ここも変えないといけなくなった。)

その人がその人であるということが、筆者も描写対象も明確に表れている感じがする。そしてそれはもう魅力なんだな。好きとか嫌いの次元ではない。

だからなのか、あまり人前で、これが好きだとかこれが嫌いとかは言わないようにしている。ずっと好きでいるって決めたものだけ言えるし、逆に嫌いなものはコロコロ変わって一貫性がないのが恥ずかしくてとても言えない。嫌いなものの理由を突き詰めると、結局その嫌いなものに対する好きな部分が出てきちゃって、結局嫌いになれなかったり混乱したりする。個人的な目標として、自分が何を好きでいて、何を嫌いでいても許せるような信念を作る。というものがあるんだけど、それができたときには、もう新しい目標ができてる気がする。恋人とか推しがほしいとかね。

こう書いているうち、自分の考えも可視化されてだんだんと変化していくので、即落ち二コマみたいに考えが変わってしまう私はちょろい女だ。書いてるうちにあれ、魅力的じゃね?って思ってしまう。そこが自分の明るくて素直なところともとれるけど。だって心が動いたものは、記憶に残りやすいし、より心を動かし、強く印象に残るのは、ネガティブな感情だから。

ネガポジにかかわらず、印象に残ったものについて考えて時間を使って、その人のことで頭がいっぱいになればなるほど、その人の中で特別なものになるんだろうなーと思う。ということは、非常に、谷崎氏は芥川龍之介にとって魅力的な人だったのか。
ああいいなあ。この人はこんな人だ。なんて定義づけられるほどの自分自身があって、それをどのように表現するかという作者の信念がある。どちらも素晴らしくて、うらやましいなあ。もし、私が自分の信念を作れたら、その時は大好きな人に思いっきり近づきたいものだなあと思う。依存して、自分がなくなってしまうのは嫌だから。


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