2017年12月6日

朝、文開堂書店で男子チームからのシーン。ここも街の本屋の味をだしている。店長役で、実際の店長に座ってもらう。本屋の中での撮影は難なく終わる。だんだん、中島が直樹を掴むペースも早くなっていっている気がする。外に出て、優斗と康太が打ち解けるシーン。今まで真面目だった康太が、優斗のタバコをみて興味を持ち初めてタバコを吸う。
他人の行動に興味を持つのが、他者を理解するための第一歩だったりする。二人が打ち解けるだけのカットにしたくなかったので、店の中から直樹が出てきて合流するまでを1カットで撮影する。信号、車、飛行機の音などタイミングやアクシデントもあり、take11まで粘った。香盤が押せ押せになったので、急いで次の現場に向かう。車中でさっきのシーンはtake4をOKカットにしようと武井に話すと、武井も同じ考えだという。お互い粘るのはいいことだが、ある程度、自分の中で線引きをしておいた方がいいかもしれない。
 「オアシス ラッキー」で、君島先輩登場のシーン。ここは古くからあるドライブインの店で、あまりお目にかかれない昭和の雰囲気を醸し出している。奥野瑛太さんクランクイン。本作では、大人は高校生チームに立ちはだかる壁として記号的に描こうと割り切っているが、君島先輩だけは大人と高校生チームの橋渡し的な存在。奥野さんとは、大学の先輩、後輩だが、実際の面識はない。しかも衣装合わせでは、僕がインフルのため直接会えていなかったので、今日が初対面だ。髪を短く刈り込んで金髪にしている奥野さんは、君島先輩そのものだった。絵になる外観から撮影。店の後ろに広がる田んぼ、軽トラ、鉄塔。これだ! これが、10代のころに見ていた、僕の地元にもあった景色なのだ。
 萩原も奥野さんと初対面。車でのカットバックというシンプルな構造だからこそ、一挙一動が目につきやすいし、ここの会話だけで、優斗と君島先輩の過ごしてきた日々を感じさせなきゃいけない。リハーサルでの萩原がやけに硬い。上下関係がはっきりと見えすぎている。違う。優斗は君島先輩を慕っているからこそ、生意気を言える。そんなところを萩原は本質的に持っている。だから優斗として選んだ部分もある。少し話して撮影開始。抜群に良くなった。優斗と君島先輩の関係は、本作で非常に大事な部分なので少し安心。時間いっぱいまで撮影して、次の現場へ。ちなみにヤンキー役をやってくれたのは、劇中車担当のこうじさん、エンデンジャーさん、サード助監督のヨシキだ。みんな絶妙(笑)。
 次は橋の上でのシーン。予告編から使わせてもらっている橋だが、相変わらず素晴らしい。ここで美紀が聴いているのは、音楽の長尾さんが作ってくれたモンタージュ用の音楽の候補曲。HiNDSみたいで良い。以前、撮った場所だからか、サクッと終了。
 「バー・ソムリエ」で寛子母親のスナックシーン。実際のママがすごい協力的で高崎に来た際はここで飲もうと決意。寛子の母親役で、篠原ゆき子さんクランクイン。美しい。こんなママがいればいくらでも居座る。ここも安定して、2カットを撮り終える。名残惜しいが、篠原ゆき子さんクランクアップ。篠原さんも「もう終わり?」と物足りない感。
 日が沈むのを待って、シティギャラリー前で5人集結のシーン。物語上でも重要なターニングポイントであり、ここからドラマが一気に転がっていくので、丁寧に撮りたい。寒いせいもあってか、みんなの動きが硬い。何度やっても、セリフを話す人にスポットライトが当たる感じ、演出された感が強い。ダメだ。時間だけが過ぎていく。一度、自由にやるように言う。康太が訳のわからないアドリブをかますと、それによってみんなの気持ちがほぐれたのか、バンバン言葉が出るようになる。よくなった。5人が入り乱れてのカメラワークに難しさを感じながらも、終了。

 隣の道で、優斗と康太のシーンのぶつかるシーン。さっきのシーンでのカット割りのフラストレーションもあってか、手持ち1カットでいく。優斗と康太が上辺で喧嘩しているのがわかる。3人で話した後、2人っきりにさせ、さらに話し合わせる。何度かテイクを重ねて、終了。なんとなくモヤっとした気持ちを残して、ホテルに戻る。明日以降のシーンの脚本を直す。


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