2017年12月3日

 クランクイン。この日は、学校のシーンからボーリング場のシーンへの流れだ。
 学校は、高崎経済大学附属高校をお借りした。実は、カメラマン武井の母校である。武井自身、感慨深そうな顔をしている。多分だが。そう見えたのは、僕の思い込みか。朝飯を食って、エキストラの皆さんにご対面。朝7時の集合にも関わらず、こんなに集まってもらえるなんて、もう感謝、感謝。黒板まわりや、机まわりの美術をチェックする。黒板の卒業メッセージが少し足りない気がするから、キャストとエキストラの皆さんに書いてもらう。実際の高校生に年が近い子が描くと、より一層リアリティが増すんだよな(笑)。この作品でおぼえた「BFF(ベストフレンドフォーエバー)」の文字も入れ込んで、完了。
 先生役の吉満さんも入ってもらって、撮影開始。佐藤玲、岡野真也、冨手麻妙、佐藤優津季が、この日クランクイン。僕自身にとっても商業映画初のカットである。気合い入れ気味に「よーい。スタート!」と言ってみる。初カットは、2テイクで終了。
 続いて、中島広稀がクランクイン。中島から頭に花飾りをつけて登場したいとの要望があった。その心意気だけ受け取る。いよいよ、クラス全体の撮影。卒業式の後で、それぞれの生徒が自分の進路を宣言するシーンだ。各登場人物の紹介も兼ねているシーンなので、カット割りを気にしながら慎重にすすめる。寛子、果澄、玲奈、直樹、太一、浩二の騒がしさ。康太の小馬鹿にした喋り方。美紀の興味ない感じ。優斗のクールな感じ。それらを見ながら、なんか懐かしい気分になった。僕は男子校だった。共学だったら、自分はどのポジションにいたのだろう。ちなみに、この宣言は僕が高校の卒業式で実際やらされたことがベースになっている。当時、浪人が決定してた僕は、素直に言えずに「なんとなく進路迷ってます。」と濁らせていた。昼休憩、フィルム・コミッションの志尾さんが差し入れを持って登場。「おめでとうございます!」と言われた。そうか、クランクインってめでたいんだと、再認識。
 学校でのラストシーンは、美紀が廊下を歩くファーストシーンの撮影。この映画で唯一のストーリーより絵を重視したイメージショット。総勢40名ほどのエキストラの動きが、演出部+頼もしい井上プロデューサーの演出で決まっていく。手持ち1カット+鏡スタートなので、カメラまわりにいるのは、僕と玲と武井だけだ。3人で形にした映画の冒頭を3人で撮るというのも不思議な縁を感じる。
 他のキャストの見え方やタイミングに苦労しながらも、7カットを時間ギリギリまで撮って、終了。このシーンをもって先生役の吉満さんオールアップ。実は、大学1年の作品からお付き合いしてもらっている出演者だ。もっというと、実は親父と母さんの結婚式の司会をやってくれている方でもある。ありがたいことに、親子揃ってお世話になってます。
続いて、ボーリングのシーン。ロケハン以来、二度目だが、やっぱ抜群のロケーション。並んでいるゲームの種類、奥の卓球台の雰囲気、地元のボーリング場を思い出す。そういえば、あのボーリング場では、小学生の時、小銭ジャンプしてカツアゲされたなー。
 セリフ量はやや多めだが、1カットでもいけそうな気持ちのいいアングルで芝居が撮れた。後ろの親子の芝居も妙にリアルで面白い。自主でやっていた時なんか、エキストラをわざわざ集めて撮影するという量力なんてこれっぽっちもなかったが、商業映画はしっかりそれがある。集まってくださった人に感謝。計3カットで芝居パート終了。直樹の投球カットだが、少し時間の余裕があるので、HSでも撮っておく。くだらなくて面白い。DVDの特典にでも入れたいな。最後は、ブツ撮り。『ボールが最後の1ピンにあたりそうになるのだが、ガーターになる』という難易度高めな撮影。子供用のボール投げるやつをつかったり、いろいろやるがうまくいかない。ここでチーフ東條さんの登場。道具を使わず、そっとなげる。「うわー当たるよ」と誰もが思ったが、そこから急にガーターにおちる。スタッフ一同、笑いが止まらない。ベテランはボーリングの玉すら演出できるのか。とりあえず、初日終了。

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