マシュマロテスト(Wbasic2)

今回お話しするのはスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルなどが行ったマシュマロテストを通してWbasicについて解説していきたいと思います。この実験は有名なのでご存じの方が多いと思いますが、まず実験内容を説明します。

アメリカに住む幼稚園の4歳から5歳の子ども186人が、何もない机と椅子だけの部屋に通されて椅子に座るよう言われる。机の上には皿があり、マシュマロが2個載っている。

皿の上のマシュマロを被験者の前で1つ食べて「この残りの1つは君のものだ。ただし、僕がこの部屋を出て15分後に帰ってきたときに君がマシュマロを食べずに待っていれたらご褒美にもう一個マシュマロをあげる。」といい部屋を出ていく。子どもたちは、それぞれ色々なことをして我慢をして2つのマシュマロを食べようとするが3分の2の子どもたちは我慢できずに食べ、残りの3分の1の子どもが我慢して2個マシュマロを手にした。

この実験は子どもの自制心がその子の将来にどのような影響があるかということを一部証明した実験であるのですが、我慢できた3分の1の子ども達はその後の追尾検証で、そうでない子に比べてIQが高く経済的に豊かな生活を送っているという事実を目の当たりにしたそうです。

では3分の1の我慢できた子ども達は実験中どういう行動をとっていたのでしょうか?

ある子は歌を歌い、ある子は机から離れ遊び始め、ある子は空気のマシュマロを食べて時間を過ごしたそうです。

この子どもたちの行動をWbasic的に解説してみます

思考する個はマシュマロを2個食べた方が総合的にみて得だと考えます。しかし思考しない個は「目の前にマシュマロがある、食べて良いと言っていたので食べよう。生存を維持するためには今すぐ食べることが懸命だ、いつなくなるかわからないからな!よし食べよう。」となります。

完全段階性の思考しない個は、思考する個が何もアクションを起こさなければ食べてしまいます。思考しない個の優先順位はあくまでも生存を優先するわけですから。そこで、ある子の思考する個はマシュマロを食べようとする思考しない個に「そうだ先に歌を歌わなきゃ!」とマシュマロを食べる前に歌を歌うことを提案します。すると思考しない個は「うんわかった歌ね。」といって歌を歌い始めます。思考しない個と思考する個は二人三脚で生きているので同時に二つの行動はできません。このように子どもの自己内ではやり取りが行われ結果として歌を歌うことでマシュマロを食べるという行為は回避されていたと考えます。

4歳から5歳でセルフコントロールができるのはすでに思考する個が優位にたっており知能が高いことがわかります。人間が脳領域を拡張していった部分が思考する個のにかかわっていることは明らかです。複雑な環境下において単純な解はあってもより良い最適解を選ぶには思考する個の強化は不可欠で同時に思考しない個を上手にコントロールする仕組みが必要になります。

では思考しない個をコントロールするとはどういうことか?

それは習慣にするということです。

基本的に思考しない個は何も干渉しなければ自動的に体を動かします。その方がエネルギー消費が少なくて済みますから。しかし、ある状況下において最適な変化を必要とする選択が必要な時に、思考する個が思考しない個に指示を与え行動を変化させることにより目的地を変化させるのです。それは、長期的にみて物事が有利に働くよう選択することや、未知の不安から回避するためのものであったりと様々です。それでも基本的には絶えず日々集積したデータをもとにアップデートしながら思考しない個が体を動かします。

そこで見えてきたのは三日坊主というのは思考する個が思考しない個の習慣化できなかった行為のことなのです。思考しない個は完全段階性なので上手に順番ごとの手順を植え付けなくては自動化できません。Aが終わったらB。Bが終わったらCのように。しかもそこに一定の報酬を自己に与えないと定着化しにくい。常に意識的に体を動かせば大丈夫ですが思考する個は様々なシュミレーションを行っているのでいつも思考しない個に口出しできないのです。そのため思考する個のパフォーマンスが知能に影響したり生活に影響したりするのです。

余談ですがスマトラ沖地震が発生した時に内陸にはまだ津波が押し寄せていないにも関わらず多くのゾウがさらに内陸へと走り出したといいます。現在世界的に猛威を振るっているウイルスですが世界中で一部の人の様々なものの買い占めが行われていますが、これも思考しない個の影響の強い人の行動だと個人的には思います。

理論(思考する個)と本能(思考しない個)の二人三脚によって私たちは生活しています。これを別の表現をすると環境的要因(思考する個)遺伝的要因(思考しない個)とも言い換えることができます。遺伝とは勝手に左に押されていく力だと考えるとわかりやすいと思います。行くべき道が左なら問題ありませんが右に行かなくては行けないときに右に誘導する力が思考する個なのです。どちらが良い悪いではなく上手に向き合い付き合うことが大事です。

また、これはホモデウスという本に記載されている内容の一部らしいのですが、脳波を扱った実験で意図的に脳内の負の感情の出力を下げ正の感情の出力をあげてストレスをなくし射撃テストを行ったところ、100発100中の驚くべき結果が出たそうです。被験者はまるで夢でもみているかのような高揚感で、射撃を行った記憶がなかったそうです。

私は、この話を聞いて人がシングルベーシックになったらこうなるのだろうと感じました。迷いなく間違いもない判断を行い記憶に残らない。つまり疑問を持たず笑いながら人を殺すことができるようになるということです。正負の協議も自己におこらないまま行動してしまい、その結果も自己で検証もできずに生きていく。まわりは結果にのみ反応しその人を判断するわけですから、人と理解しあうことなんてできるはずもありません。それは言わば動物(獣)でしかありません。人間の中の思考する個を失うということは動物に限りなく近づき退化するということです。

思考する個と思考しない個のWbasicは矛盾を生むシステムです。これにより複雑な環境にも随時対応できます。その副作用として人は迷いが生まれてきてしまいますが先にも話した通りこの二人三脚のシステムなしに私たちは生活できません。上手にコントロールすることで生きていくしかないのです。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


次回は別のアプローチによるWbasicの話をしたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?