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9月12日の雑記日記・脇山珠美






………………。


…………か、かわいいな…こいつ……。





うーん、やっぱり珠美はかわいい。

かわいいって言われると怒るあたりもかわいい。

アホで純粋でちんちくりんのかわいいやつ、脇山珠美だ。



とはいえこの脇山珠美、案外曲者だったりする。

今日はこの脇山珠美をなんとか簡潔に一言で言い表せないものだろうかと、一日中考えていた。そんな1日だ。なんて1日だ?ひどい1日だな。


そして俺の出した答えは……これだ!




「頑固なアホ」




い、1日かけてこれなのか…?俺は脇山珠美に貴重な休日を……?しかし?

と言うのは半分冗談である。流石にこれだけということはない。





先ほどの「頑固なアホ」をあえて言い換えるとするなら、こいつは「他人を自分の夢に付き合わせるのが上手いやつ」だ。


……まぁ、何を隠そう、脇山珠美はかなりの問題児だ。

無駄に夢はデカいし、そのための努力はこなすし、愛嬌もあるし、正義感もあって、純粋で、いつだって夢を語る。

だけど、

なにをするにも危なっかしいし、補欠であることを笑顔で伝えてくるし、時々本気で悩むし、頻繁に壁にぶつかるし、夢への遠さを自覚して普通に落ち込む。


結局こいつは、アホで真面目で、そこに猪突猛進が加わっている危なっかしすぎて見ていられない奴なのだ。



ハッキリ言って脇山珠美の生き方は、いつかどこかで絶対に大きな挫折を生むと思う。

才能が及ばない人間が夢を追い続けた先にあるのは、決してドラマチックな展開ばかりではない。


そしてこいつはさっきも言った通り、壁にぶつかったら本気で落ち込んでしまうようなやつなのだ。1人で立ち直れるとは思えないしょぼくれ方をしてしまうこともある。



なのにこの脇山珠美はいつだって夢を語っている。

語ったその夢を現実にすると豪語してみせる。


……もし仮に、そんな愛嬌抜群のイイヤツが身近にいたとして、そいつが壁にブチ当たって落ち込んでいたら……?


まぁ大抵のやつなら手を貸したくなってしまうだろう。

なんならひねくれ者だってこの頑固なアホを助けたくなってしまうかもしれない。

そして一度こいつを助けてしまったら、もう逃げられない。

何度も言うようだが、こいつ語る夢はいつだってデカい。

しかもその上で努力を重ねているから、何かをやってくれるんじゃないか?って気持ちにさせられる。こいつの夢に付き合いたくなる。

だから目を離せなくなるし、応援もしたくなる。

それはそれとして、危なっかしくて落ち込むのは変わらない。

だから助けの手を出す準備も常にしなくちゃならない。

頻繁に変なことはするし、基本的に要領が良いわけでもないし、なのに決めたことは最後までやり通す。なのでこっちも最後まで付き合うしかない。

……本当に曲者というか、厄介なやつだと思う。


こいつ自身はただ頑張っているだけなのに、ただ夢を語っているだけなのに、周りの人間をどんどん関わらせてしまう。

しかも本人にはそのことに大した自覚はない。いつものように身長のコンプレックスを拗らせて顔を膨らませているだけだ。……いや、かわいいからいいけど。かわいいからいいけどさぁ!



……まぁ長くなったが、よくよく考えれば問題児に時間を食われるのは当たり前のこと……なのかも?しれない?なら仕方がない?仕方がない……。付き合うしかない……。


……とにもかくにも、なんだかんだ脇山珠美はスゴイ奴なのだ。見た目や言葉、そういったわかりやすい形でのスゴさではない、ちっさい身体の中に秘めた見えないけどでっかいスゴさなのだ。


他人を自分の夢に付き合わせるのが上手い奴、俺はこいつのことが……めちゃくちゃ好きだ!どこまでも付き合ってやるぜ!!


と、一日中こんなことを考えていた。

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