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真夏の夜の悪夢 "法廷での証言"

▒現実世界での逮捕ルート▒
事件発生から間もなく、救出された生存者の証言により、最も疑わしい人物が、被害者らと同じバンドで活動する"T"であると特定された。
弁護側は被告人Tの心神喪失と人格障害を主張。その主張を裏付けるように、Tの証言は終始支離滅裂であった。以下、録音音声より引用。

「人間スイカ割りの続きがしたかっただけじゃん!あれすっごく楽しかったから。また皆でやろうよ」
「AちゃんとBくん(共に被害者の名前)の顔が見れて嬉しい。怪我してて可哀想だけど⋯Oさん(故マネージャーの名前)は何してたの?」
「皆S(宿の名前)から帰りたくなかったんでしょ?そう言ってたじゃん。だから皆、絶対見つかんないとこに隠してやろって」
「料理してたら、Cちゃん(被害者の名前)が"何か手伝う?"って聞いてきたからさ、じゃあ具材にして食べちゃおうと思ったの。お腹空いてたし」
「自分が何をしたか分からないんですけど⋯。でも、とんでもなくまずいですよね。僕はこれからどうすればいいですか?」
「Aちゃんは箱の中、Bくんは木の中、Cちゃんは腹の中⋯でも、結局見付かっちゃったねー。残念」

以上。いずれも証言としての整合性を著しく欠くもので、法廷を混乱させ、度々弁護人により制止された。
5名の被害者のうち、生存していた4名の証言を以下に記す。

生存者A (宿の地下室で発見)
「全部突然すぎて、ほぼ何も覚えてません。感覚的には事故に遭った感じです。確かに衝撃はあったけど、縛られたり、ロッカーに押し込まれた記憶はないし⋯。Tは本当にいつも通りで、寝る前まで一緒にテレビ見てバカ笑いしてましたよ。本当にあいつがやったんですか?信じたくないです」
(証言の間、被告人の方を頻りに気にしていた)

生存者B (森の崖下で発見)
「いつもみたいにTに録音に付き合ってもらって、夜遅くなったから、ちょっと休憩しよっかーって、二人で外に出ました。Tがライトで道を照らしてくれて、丘まで登って、一緒に星を見てて、あ、流れ星だねーって言ってたら急に、『ねえ、このライトってどれくらい硬いのかな?』って彼は言いました。で、いきなりガツン!て殴られました。怖すぎて、それだけははっきり覚えてます」
(終始たどたどしい口調だったが、『』内の言葉だけはよどみなくすらすらと述べていた)

生存者C (山裾の車道で発見)
「Tさんが夜食作ってて、何か手伝う?って覗いたら、急に振り返って包丁向けられました。意味分かんなくて、Oさんと必死で逃げて、道が真っ暗で転んだんだと思うけど、その時にOさんの悲鳴が聞こえました。そこからは何も覚えてません。Oさん本当に死んだんですか?」
(心ここに在らず、終始呆然とした様子。証言の間、被告人席を一度も振り返ることはなかった)

生存者D (宿の一室で発見)
「一人また一人といなくなるから、次は俺の番かと思ってました。皆生きてて良かったですけど、なぜ俺は襲われなかったんですかね?」
(法廷は静まり返り、この時初めて被告人が笑い声を発した)

BGM: ALICE NINE. - 9th Revolver & A9 - 道化師

今日も読んでくれてありがとう。読んでくれる君がいる限り、これからも書き続けようと思ってます。最後に、あなたの優しさの雫🌈がテラちゃんの生きる力になります🔥💪