MIXで振り返る『つれだち』
こんにちは!この記事に興味をもって頂いてありがとうございます!
今回、クトゥルフ神話TRPG「連れ断ち」のテーマソング
つれだちという楽曲の全体のMIXとMasteringを担当させて頂いたむきゅと申します。
今回、この楽曲の作曲者さんからStemの解説の許可をいただいたので、前回同様『MIXの観点』からこの曲について解説をしていきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
まずは前回同様この楽曲をMIXするにあたってどういう点に気を配ったかですが、今回も2点ほど気を配っています。
・映画のエンディング風な空気感
何ていうんでしょうね…アンビエント感というか雰囲気を演出するサウンド計算を重点に置くことですね。
・雰囲気を崩さないバランス
これは1つめの雰囲気に重複するような話なんですが、映画のエンディングっと言ってこうゆう曲調の場合、サウンドとしてスッキリしすぎていると、コレジャナイ感が出てしまうんですね。そこで、あえて一部のイコライザを甘くすることでほんわかした特有の空気感を損なわないよう考えています。
以上を踏まえて解説していきます。先ずはピアノから。
前回同様お馴染みのイコライザですね。何故ハイカットも結構な事になっているかと言うと空気感的にアナログ録音をしたジャスピアノっぽい鳴りかたになるようにしたかったんですよね。こちらは奏者さんの録られた音なのですが、現代のピアノ特有の硬さが残るのでこういった硬さは後々金物と重なると喧嘩することがあるので、そういった意味をこめてのEQ設定です。
ゆったりしたテンポだから雰囲気だけ何とかすればいいってわけでもなく今回もコンプをかけていきます。前回はfruity limiterというFL標準のプラグインを活用していたのですが、あれは楽曲の方向性がロック系だったからであって、今回はあんまりパキパキした音にしたくはなかったのでこちらを使用しました。
設定はややReleaseを早めにして後段のリバーブが心地よく響くように配慮しました
こちらは前回はCHAMBERやBOOTHモードにして使用したかと思います。
今回はRoomモードでピアノの響きに活用しています。DAW側のMIXlevelを半分にする感じで馴染ませています。
お次はベースです。
ライン録音のベースです、楽曲の中盤以降辺りから入っています。
ジャズで使われがちな摘まみ方をしています。
ロックなんかだとある程度中低域の重さを持たせるために200Hz周りはブーストさせたりもするんですが重心を取る帯域を少し下にするつもりで100Hzあたりをブーストし、弾く音がちょっとなりやすい広域を少しシェルフしています。
ベースは特段説明することなく無難な設定です、しいて言うなら歪ませ過ぎない事ですね。楽曲の雰囲気的に存在感ガン目立ちはさせたくないですけど溶け込むように存在感はほしいのでReleaseをちょっと長めにして鳴りはしっかり出てくれるようにしました。
次はドラム類。
じつは大半の伴奏の構成はピアノとベースで成り立ってます。
まずはキック
わ が ま ま す ぎ る
ですよね。こうしているのも理由があって、今回は楽曲のジャンルをMIXの観点から先ほどから言っている様に、ジャズに近いものだと認識していて、
ジャズ系のドラムは中域らへんに存在感を出したいですが、あくまでキックなので回りもちょっとつまんでいます。
結構ゆるゆるですが、じつは今回ドラムだけで鳴り方の違いで3つほど音が用意されているのですが、それをすべてこの設定でまとめています。
少しアタックにパンチ感を残す感じにしたかったので、アタックは早めにしています。
つぎはタム系です。
シンプルにモヤモヤの要因になりがちなとこらへんだけバッサリ言っています。それだけ。
モヤモヤは落としたいといってEQで落としましたが無い感じにしたいわけではないので、アタックを残す形を意識してメイクアップはあまり上げず、聞こえる範囲での緻密なサウンドメイクをしました、若干原音からの差はこの音だけちょっと多いです。
つぎはハット類です。
ハット類はクローズ・オープン共にまとめて設定しています。
ハットはあまり適当に設定すると主張が強すぎて楽曲を台無しにし兼ねないので、注意して設定しました。
なので、じつは意外とパワーのあるハットの低域をバッサリ落として、ボーカルを考慮した部分をちょっと削ってハットの音が一番活きるとこだけ持ち上げています。コンプは金物なので刺してません。
つぎはクラッシュシンバルですね。リバースシンバルも同様の設定です。
これはちょっとニッチなサウンドなんですが、昔の錆びたシンバルの音を目指した設定です。いわゆるビンテージってやつです。
ハットと同じく意外とモヤモヤを作る下はバッサリカット。古めかしいシンバルは上がそんなに鳴らないので抑えて、中域だけ持ち上げるという、何とも単純な空論での思い付きですがうまくはまっていますね。
こちらもコンプはナシです。
リバースシンバルはBメロ途中だけ音量抑えて、鳴らないとこでオートメーションでこっそり上げてます。
お次はライドシンバルなんですが、こちらはちょっと参考文献を基にメイキングしました。
これは参考文献からの抜粋と言うか受け売りなんですが、ライドって中域に薄っすら存在感あれば良くない?っという内容だったのですが、それだけではしのびないのでパンをL40あたりにしています。これは他のドラムにも言えるのですが。ライブハウスなどで、お客さんから見た時対象的に見える事を重視していて、ライドシンバルは一般的に奏者からみて右奥にあることが多いので対象的に左寄りから聞こえるように。このパン振りは特に金物系で絶対やっており、気を使っています。金物だからコンプはry
つぎは重要なスネア。
前述の通りジャズサウンドを重視している関係でどうしてもスネアの鳴りが出るあたりが気になっていたので多めに削っています。
ドラムも鳴る音で3つほど種類があったのでこちらの設定でまとめていますが、強めショットで音がなった時シェルフで持ち上げているとこが存在感を作ってくれる。つまりいままで削った分を有効活用です。
スナップの音が聞こえやすいように考慮して設定しています。
普段は1176系を活用して若干リッチな音にすることも多いですが、今回はホントに落ち着いたサウンドを目指す関係上こうしました。
つぎはクラップです。
スネアと似てそうで案外違うサウンドのクラップですけど、EQでいじったのは全体と合わせると、邪魔になっているとこを徹底して削った結果こうなりました。その理由は2段目にあって、
いわゆるピンポンディレイなんですが、金に物言わせやがって!ってチョイスですが、それは置いといて、LRを合わせてソロだと3回目まで聞こえるくらいがちょうどいいとのことでガッツリこの設定でピンポンさせてDAWのMIXlevelを30%ぐらいにしました。
つぎはドラムバストラックです。
前回とは別のバスコンプを使用しています。他のだとまとまらない。というわけではないんですが、サイドチェインハイパスフィルターが使えるバスコンプはこれがパッと浮かんだのでこちらを使いました。60Hzからハイパスしています。
他の設定は曲調に合わせた無難な感じです。
これはFLStudio純正のフィルターです。CUTの値をオートメーションでいじっています。
この楽曲は全体でドラムは奥引いて籠っているとことガッツリ出ている出ているとこがあると思います。籠らせているところはこのプラグインでフィルターをかけています。
こちらは一番最近買ったもので石でできたブースの残響を再現してくれるというもので、使って見たかったというのもあったので試験運用してみたらかなり望んていたアンビエント感ある響きになったのでそのまま活用。
DAWの設定でMIXlevelを60%ぐらいにして使っています。
ドラムはバスでまとめたといったのですが、一部フィルターをかけたくない楽器があってそれがリバースシンバルとクラップで、これは、もう一つバストラックを作って、フィルターのみを抜いた同様の設定になっています。
次はBellです。
は?っておもうかもしれませんが、ベルはベルでもジングルベルな感じだったので高域ざっと落としてあと欲しいとこだけ残して終わり!って感じです。
ベル設定ということですが設定はクラップと同じです。同じ響き方をさせたかったから。
次はシンセストリングス、
独特な鳴り方をする音だったのですがどう解釈しても周りで鳴らすような音だったのでDAWのstereo separationという昨日、これもしかしたらFL特有の機能なのかもしれないですが、左に回すと音が外側に、右に回すと音が真ん中寄りにっていういわゆるM/Sバランスをいじるものなんですが前回で外よりにして音量低めにしました。
最後はウインドチャイムです。チャララララってやつ。
これも邪魔なところを削ぐ設定以外はほとんどしてないですね。マスタリングすると高域刺さるので抑えてます。
以上です!!
前回と同じことをいいますね?
興味ある方は参考にしてみてみいいですし、もちろん強要はしません。
音楽のアプローチは千差万別いろんな方がいますし、
僕が100%正解とは言いません。というか言えません。
ですが、僕のサウンドを好いてくれるのであれば感動して泣きます。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
いつも通り最後になりますが、僕にMIXやMasteringを依頼する際はココを確認してから僕にDMを飛ばしてください!仕様変更で飛ばせなかったらメールでもいいです!
ご相談だけでしたら料金もかかりませんので是非ご依頼お待ちしています!
ではお疲れ様!むきゅでした!!
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