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備忘録〜法律用語から裁判制度まで〜

◉法律用語
〇段階的な使い方がなされる法律用語
(1)又は・若しくは
 選択される語句に段階がある場合には、段階がいくつあっても、一番大きな選択肢接続に「又は」を用い、そのほかの小さな選択肢接続には「若しくは」を用いる。選択される語句に段階がない場合には、「又は」を用いる。
【「又は」「若しくは」の使い方】
 「国会の両院若しくは一般又は議会の議決によって処分される」(行政手続き法3条1項1号)
(2)及び・並びに
 並列される語句に段階がある場合には、段階がいくつかあっても、一番小さな並列的接続に「及び」を用い、そのほかの大きな並列的接続には「並びに」を用いる。並列される語句に段階がない場合には「及び」を用いる。
【「及び」「並びに」の使い方】
「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、承認に出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」(憲法62条)
○意味の紛らわしい法律用語
(1)みなす・推定する
 「みなす」とは、本来性質が違うものを同一のものとして法律が認め、同一の効果を生じさせること。例えば、民法753条は、「未成年者が結婚した時は、これによって成年に達したものとみなす」と規定しているが、これは、婚姻をした未成年者については、成年者と同一に扱うこと。そして、婚姻をした未成年者が20歳未満である証拠を挙げたとしても、成年者と同一に変わりはない。これに対して、「推定する」とは、ある事実について、当事者間に取り決めがない場合や反対の証拠が上がらない場合に、方が一応高であろうという判断を下し、そのような取り扱いをすること。例えば、民法573条は、「売買の目的物の引渡しについて期限がある時は、代金の支払いについても同一の機嫌を付したものと推定する。」と規定しているが、これは、売買の目的物の引渡し期限が3月1日とされていた場合、当事者間に取り決めがなく反対の証拠もあがらなければ、代金の支払い期限も3月1日となるということ。このように、「みなす」の場合、反対の証拠が上がっても取り扱いは覆らないが、「推定する」の場合、反対の証拠が上がれば取り扱いが覆る。
(2)適用する・準用する
 「適用する」とは、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用すること。これに対して、「準用する」とは、ほかの事象に関する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用すること。

◉裁判制度
○裁判とは何か
 裁判とは、司法機関としての裁判所・裁判官が現実の紛争を解決する目的でなす貢献的な方的判断の表示のこと。裁判には、大きく分けて、私人間の権利義務に関する紛争を解決する民事裁判と、犯罪を行ったものの処罰を求める刑事裁判がある。そして、民事裁判の手続きについては民事訴訟法が、刑事裁判の手続きについては刑事訴訟法が、それぞれ定めている。
○裁判の基本原則
(1)当事者間
 当事者主義とは、主張・立証の主導権を裁判の当事者に委ね、裁判官は審判の立場からその過程を整理して、最終的に優劣を判断するに止める原則のこと。日本では、民事裁判においても刑事裁判においても、当事者主事が採用される。
(2)自由心証主義
 自由心証主義とは、裁判所が証拠に基づき事実認定をするに当たり、裁判官の自由な判断に委ねる原則のこと。日本では、民事裁判・刑事裁判どちらにおいても、自由心証主義が採用されている。従って、ある事件について民事裁判と刑事裁判が行われる場合には、それぞれの裁判において異なる事実認定がなされることもある。
(3)証明責任(挙証責任)
 裁判所は、法令の適用の前提となる事実の存否が確定できない場合であっても、裁判を拒否することはできない。そこで、このような場合には、その事実を存否いずれかとみなして当事者のどちらかに不利な判決をせざるを得ないことになる。この当事者の負う不利益のことを証明責任(挙証責任)という。民事裁判においては、一定の法律効果を主張する当事者が、その効果の発生に必要な要件事実につき証明責任を負う。これに対して、刑事裁判では、原則として検察官が挙証責任を負う。これは、刑事裁判においては、被告人の人権保証の観点から「疑わしきは被告人の利益に」の原則が採用されているため。
○裁判所・裁判官
(1)裁判所
 裁判所は、最高裁判所と下級裁判所に大別される。
①最高裁判所
 最高裁判所は、大法廷(=全員の裁判官の合議体)または小法廷(=最高裁判所の定める員数(3人以上)の裁判官の合議体)のいずれで審理を置こうか自由に決定できるの原則。
【大法廷で裁判を行う必要のある場合】
1当事者の主張に基づいて、法令・命令・規則・処分が憲法に適合するか否かを判断する時(意見が前に大法廷でした合憲判決と同じである時を除く)
2法律・命令・規則・処分が憲法に適合しないと認める時
3憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反する時
②下級裁判所
 下級裁判所には、高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所・家庭裁判所の4種類がある。このうち、高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所は、通常の民事裁判・刑事裁判を行う権限を有している。他方、家庭裁判所は、①家庭に関する事件の審判・調停、②人事訴訟(=履行訴訟などの家族関係に関する訴訟)の第一審の裁判、③少年の保護事件(=飛行に及んだ少年の更生のための処分を決定する事件)の審判を行う権限を有している。
(2)裁判官
 最高裁判所の長たる最高裁判所長官といい、そのほかの裁判官を最高裁判所判事という。また、下級裁判所の裁判官のうち、高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官といい、そのほかの裁判官は刑事・判事補・簡易裁判所判事という。
○三審制
 日本の裁判制度においては、3回まで裁判所の心理を受けることができる三審制が採用されている。この三審制によれば、第一審判決がなされた場合、上級の裁判所に対してその判決の取り消し・変更を求める不服申立て(控訴)をすることができる。また、控訴審判決がなされた場合、さらに上級の裁判所に対してその判決の取り消し・変更を求める不服申立て(上告)をすることができる。
○司法制度改革
(1)裁判員制度
 裁判員制度とは、一定の重大犯罪に関する刑事裁判の第一審において、一般市民が裁判官と合議体を構成し、審理・評決を行う制度のこと。この裁判員制度は、司法制度改革の一環として、2009年から実施されたもの。裁判員制度の対象となる裁判において、裁判員6人、裁判官3人(例外的に裁判員4人、裁判官1人の場合もある)で構成される合議体が、事実の認定・法令の適用・刑の量定を行う。そして、この合議体における判断は、裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見によることとされる。従って、裁判員6人全員が賛成でも、裁判官3人全員が反対した時は、その意見は採用されないことになる。
(2)日本司法支援センター(法テラス)
 日本司法支援センター(法テラス)は、司法制度改革の一環として、総合法律支援法に基づき、平成18年4月に設立されたもの。日本司法支援センターは、国民の司法へのアクセス拡充のため、①情報提供業務(=利用者から問い合わせに応じて、裁判等の法的紛争を解決するための法制度に関する情報、弁護士や隣接法律専門職の業務及び弁護士会や隣接法律専門職の団体の活動に関する情報を無料で提供する業務)、②民事法律扶助業務(=利用者からの個別の依頼に応じて、法的紛争の解決方法について指導・助言を無料で行い、利用者の資力が十分でない場合には、弁護士や隣接法律専門職の中から適当なものを紹介して、その報酬・費用を立て替える業務)、③国選弁護関連業務(=刑事事件の被告人または被疑者に国選弁護士を付すべき場合において、裁判所からの求めに応じて国選弁護人の候補を指名して通知を行い、選任された国選弁護人にその事務を取り扱わせて、その報酬・費用を支払う業務)、④司法過疎対策業務(=いわゆる司法過疎地域において、利用者からの個別の依頼に応じ、相当の対価を得て、弁護士や隣接法律専門職に法律事務を取り扱わせる業務)、⑤犯罪被害者支援業務(=犯罪の被害者やその親族等に対して、刑事手続きへの適切な関与やその損害または苦痛の回復・軽減を図るための制度その他被害者やその親族等の援助を行う団体等の活動に関する情報を無料で提供する業務)などを行なっている。


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