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備忘録〜商法総則から商行為〜

◉商法総則
○商法の適用範囲
 商人の営業、商行為その他商事については、商法が適用される。商法対象となる「商人」「商行為」の意味を明らかにする。
(1)商人
 商人には、固有の商人(=自己の名を持って商行為をすることを業とする者。)と擬制商人(=商行為をすることを業としていないものの、商人とされる者①店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者②鉱業を営む者)の2種類がある。
(2)商行為
 商行為には、誰が行っても商行為となる基本的商行為と、商人がその営業のためにする行為である附属的商行為がある。
 基本的商行為には、絶対的商行為(=その行為の有する客観的な営利的性格から、当然に商行為となるもの)と営業的商行為(=営業目的で反復・継続してなす場合に、初めて商行為となるもの)の2種類がある。


○商業登記=商人の営業に関する重要な事項を登記させることで、その登記を見た相手方が安心しその商人と取引することができるようにする制度。
 商業登記には、一般的効力(=登記すべき事項は、登記した後は、善意の第三者に対しても対抗することができる。✳︎第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかった時は、第三者に対抗することはできない)と不実登記の効力(=故意または過失によって不実の事項を登記したものは、その事項が不実であることを善意の第三者に対抗することができない)の2つの効力がある。

○商号=商人がその営業上自己をあらわすために用いる名称のこと。
商号はその商人を表す名称のため、文字で記載することができ、かつ、呼称できるものでなけれなならない。したがって、記号や図形を商号とすることはできない。商号の中でも特に重要なのが、名板貸である。自己の商号を使用して営業を行うことを他人に快諾した商人は、自己が営業を行うものと誤認して当該他人と取引した者に対し、当該他人と連帯して、その取引によって生じた債務を弁済する責任を負わなければならない。これは、名板貸人を営業主と信じて取引関係に入った相手方を保護するもの。

○営業譲渡=①一定の営業目的により組織化され有機的一体として昨日する財産の譲渡であって、②譲受人が営業活動を承諾し、③譲渡人が法律上当然に競業避止義務(=譲受人と同一の営業を行ってはならないという義務)を負うこととなるもの)

○商業使用人=雇用契約によって特定の商人に従属し、その業務を補助する人のこと。
その権限の広い順に、①支配人、②ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人、③物品販売等を目的とする店舗の使用人に分類される。支配人とは、商人からその営業に関する一切の裁判上または裁判街の行為をなす代理権を与えられた商業使用人のこと。

○代理商=商業使用人ではないものの、一定の商人のために平常その営業の部類に属する取引の代理または媒介(=当事者の間に立って、両者の間に商行為を成立させる手助けをすること)をなす人のことを言う。代理商は、商業使用人のように本人に対して従属関係に立つことなく、委任契約に基づく独立の商人として代理または媒介の委託を受ける者。

◉商行為
○商行為の特則
 商行為については、営利主義、取引の安全・迅速が強く要請されることから、一般市民の間に取引について定めた民法とは異なる特則が定められている。例えば、民法では、代理の成立要件として、代理人が本人のためにすることを示すこと(顕名)が必要とされている。しかし、代理人がその都度顕名をすることは手間がかかり、また、相手方も本人のためになされたことを知っていることが多いため、商行為の代理については、顕名が不要とされている。

○商人間の売買契約
 商人間の売買契約については、取引の安全・売主の保護という観点から、民法の売買契約に関する規定とは異なる特則が定められている。例えば、民法上の売買契約においては、目的物に瑕疵や数量不足があれば、善意の買主は、売主の担保責任を追求することができる。これに対し、商人間の売買契約においては、善意の買主であっても、受け取った目的物を遅滞なく検査し、瑕疵や数量不足を発見した場合には直ちに売主に対して通知しなければ、売主の担保責任を追求することができない。これは、売主が不安定な立場に置かれることを防止して、売主を保護するため。


今日もよく頑張りました!

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