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備忘録〜担保物権から多数当事者の債権・債務まで〜

◉担保物権
○担保物権とは何か
 担保物権=他人の持っている物を自分の債権(=特定の人が特定の人に対して一定の行為をすることを請求できる権利)の満足を確保するために処分する権利。
 担保物権は、法律が規定する一定の要件を満たすと成立する法定担保物権と、契約によって成立する役亭担保物権に分類される。法定担保物権には、留置権・先取特権が、約定担保物権には質権・抵当権がある。

○留置権=他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権をい有する時は、そも債権の弁済を受けるまで、その物を留置(=手元に置いておくこと)することが認められている。

○先取特権
 債権者が複数いて債権者の財産が債権の総額に満たない場合、債権者は、自分の持っている債券額に応じて平等に分配を受けることになるのが原則。これを債権者平等の原則という。給料債権のように特に保護すべき債権を有する者は、債務者の財産から、他の債権者に優先してその債権の弁済(=債権の給付内容を実現すること)を受けることができるとされている。これを先取特権という。

○質権=債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利のこと。質権者は、債権が弁済されなかった場合には、債務者などから受け取ったものを競売にかけて、その代金から優先歴に弁済を得ることができる。質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生じる。もっとも、質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物を占有させることができないため、占有改定はここにいう引渡しには当たらない。

○抵当権=債務者または第三者が占有を移転しないで債務の担保に提供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利のこと。つまり、抵当権者は、債権が弁済されなかった場合には、抵当権を実行して(抵当権を設定した不動産を競売にかけて)、その代金から優先的に弁済を得ることができる。
 抵当権は、質権と類似した担保物権だが、①抵当権の目的物は不動産に限られているのに対し、質権の目的物は不動産に限られていない点、②抵当権は目的物の占有を債権者に移転しない(引き渡さない)のに対し、質権は目的物の占有を債権者に移転する(引き渡す)点が異なる。

✳︎用益物権=他人の持っている物を使用・収益する権利のこと。①地上権(=他人の土地において工作物(=建物など)または竹木を所有するため、その土地を使用する権利)、②永小作権(=小作料を支払って他人の土地において耕作または牧畜をする権利)、③地役権(=他人の土地を自己の土地の便益に供する権利)の3種類がある。

◉多数当事者の債権・債務
○分割債権・債務
 債権者または債務者のいずれか一方が複数である債権・債務関係については、平等の割合で分割される分割債権または分割債務が原則となる。

○不可分債権・債務
 債務の目的が性質上不可分である場合には、分割債務とはならず、債権者は、債務者のうちの1人に対して全部の履行を請求することができる。これを不可分債務という(債権者が複数の場合は不可分債権となる)。

○連帯債務=数人の債務者が同一内容の給付について、各自が独立に全部の給付をなすべき債務を負担し、そのうちの1人の給付があれば他の債務者の債務もすべて消滅する多数当事者の債務のこと。
 負担部分とは、各債務者が最終的に負担する額のこと。
 他人の債務を弁済した人がその他人に対して自分の財産が減少した分の返還を請求する権利のことを求償権という。

○保証債務=債務者が債務を履行しない場合に、その債務者(主たる債務者という)に代わって履行する債務のこと。保証債務を追っている人のことを保証人という。保証人が保証債務を履行した場合、主たる債務者に対して求償権を取得する。

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