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悠人くんへ

今日は、あるひとへ手紙を書きます。
明日のライターゼミで知り合った、大学生の男の子、悠人くんへ。
へなちょこな大人のわたしと遊んでくれる、仲間のひとりです。
これはnoteで書くもの? と思ったりもしたんだけど、直接LINEを送りつけるには長くて、他の場所も思いつかなくて、書きはじめます。

悠人くん

今日は引っ越し日だね。地元の北海道へ帰るのかあ。あらためて大学卒業と就職おめでとう。
この間、みんなで送別会のようなランチをしたけど、そのときはなんだかわたしがバタバタしてて、きみへの手紙も書こうと思ったのに用意できなくて、そのあともLINEすればよかったんだけど、なんだかありきたりなお別れの言葉ばっかり出てきそうで、あんまりちゃんと送れなかった。

きみはきみで、送別会の日、なんだかお別れになっちゃう雰囲気をいやがって、いつも通りを望んでいたような気もして、一層どうしようか悩んだ。悩んだままきみの引っ越しの日が来ちゃった。やっぱり、ちょっと、手紙のようなものを送るべきだろうな、と思ったんだ。

はじめは明日のライターゼミで出会って、それから仲良くなったんだよね。四月で知り合って一年かあ。物腰が柔らかい繊細な感じが、まださなぎのような20代前半の揺らめいている感じが、ときどき眩しかった。やさしさと自意識と弱さのバランスが、すてきだなあと思った。

わたしはきみからすると、すこし人生の先輩で、だから「先輩の言葉」としてわたしの言葉を受け取ろうとしているのがわかったから、わたしはいつも気をつけようとしていたかなあ。大したことない言葉も、ほんのちょっと間違えると、やさしいきみには大きく響いてしまう気がしていたから。

ただ、いつも言いたいことは、だいたい一緒だった。

きみはきみのまま、そのままでいい。
誰かの目より、自分の内なる言葉に
素直に従っていい。
ちっぽけな人生も愛せるものだから。
ちっぽけじゃないひとなんて、
その瞬間を知らないひとなんて、
いないんだから。
きみの目には、すごいひとがたくさん
いるように世の中が映ってしまって、
自分と比べることもあるかもしれない。
でも、目に見えるものだけで、
ひとは比べられない。
見えないものが大事なんだ。
だから、自分を信じてほしい。
我がままに振る舞うことを覚えて、
人生を我がものにしていいんだ。
きみには、それくらいできっと
ちょうどいい。

だって、きみは、もともと、やさしいけど、
愛すべき頑固さもあるからね。

って、お前は誰だよって感じなんだけど、でもそんなことを考えている。
母のような姉のような、だけど対等な仲間として、きみを大切だと思っている。なんかあったら、呼んでよ。話を聞くよ。甘いものでも食べよう。

じゃあ、また会おうね。北海道はどんなところなんだろう。会いたい画家さんもいるんだよね。食べたいものもいっぱいあるなあ。そのうち行くのが楽しみだなあ。

お元気で。

くりこより


さいごまで読んでくださり、ありがとうございます! サポートしてくださったら、おいしいものを食べたり、すてきな道具をお迎えしたりして、それについてnoteを書いたりするかもしれません。