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誕生日の祝いに揚げものを

大人になるほど揚げものが食べられなくなる。切ないけれど、ほんとうのことだ。だからこそ、食べられるときに食べるべきだと思う。

遅れたけれど、週末に父の誕生日を祝いに実家へ帰って、揚げものパーティーをした。

なんでも好きなものをつくるよ、と言うと唸る父。あれこれ候補を挙げるなかで揚げものの話をしたときに「春巻きとか」と言うと、俄然乗り気になった。

春巻きの魔力。せっかくなので、出来合いのものだとあまり見かけない具材にしてみた。

牡蠣の春巻き、ささみ梅チーズ春巻き、あとは定番の唐揚げ。あれこれ揚げて、テーブルに並べる。

やっぱり、揚げたてに勝るものはない。ビールがすすむ。飲んで、ひとつ食べて、また揚げに戻る。ぜんぶ揚げ終わってからなんて、そんなのもったいない。

揚げものばかりでは、すぐに飽きてしまう。春巻きには、どっさり白髪ねぎを添えた。それからほうれん草のおひたし、トマトのねぎダレ和え、茹でブロッコリーで脇を固めた。

父のためでもあり、わたしのためでもある。もう揚げものをかつてのように食べられないのは、父だけではない。

はじめてつくった牡蠣の春巻きは、抜群においしかった。ただ下処理して軽く茹でた牡蠣を巻くだけなのに。ほかのもよかったのだけれど、牡蠣はすごかった。またやろう。

翌日も、台所に立つ。とにかく料理する。お昼にはまた春巻きにした。ほんとうは昨日つくるはずだったもう一種類を。鶏むね肉のひき肉と、すりおろした蓮根、はんぺん、刻んだ大葉を混ぜて練る。これを巻いて春巻きに。

その肉ダネを使って、鶏団子スープもつくる。今週は夜勤だという父が、帰ってきてすぐ温まるように、生姜もすりおろしてストックしておいた。

お昼ごはんのメインはリゾット。生米からつくるリゾットを、タラを具材につくった。

そのほか、ちびちびと作り置きをして、帰ってきた。誕生日祝いというには、ささやかだけれども。Amazonで日頃買って送っているものもあるのでとくに欲しいものはないと言われてしまい、とりあえずプレゼントは保留にしてある。

家での揚げものは、めんどくさい。だけどたまにはいいよね、と思う。新鮮な油を使って、盛大に揚げて、揚げたてを食べる。幸せだ。

めちゃくちゃ料理上手というわけでなくても、ふだんひとり暮らしの父にはよろこんでもらえたようだった。自分でつくることばかりだとちょっと飽きる、他人のつくるごはんもおいしいものだから。お誕生日おめでとう。

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