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メタセコイアの樹の下で、平和に珈琲をいただく。

いまや、わたしにとっていちばん落ち着く場所のひとつ。波佐見町の人気スポット・西の原の「イソザキ珈琲」さん。店主がハンドドリップで淹れてくれる珈琲も、もともと製陶所の一部だった建物の雰囲気も、いい。

こんにちは、こんばんは。栗田真希です。

イソザキ珈琲さんについて、西の原の公式HPにはこう書かれている。

祖父より受け継いだ自家焙煎コーヒー豆屋です。 コーヒー豆の販売と少しの喫茶スペースを設けており、テイクアウトも行っています。 喫茶とテイクアウトで使用するコーヒー豆は、その日最も状態の良いモノをハンドドリップでお出ししております。

丁寧に焙煎し、ハンドピックもしている。お店の扉を引くと、珈琲のいい香りに包まれてうれしくなる。

今日は「中煎りで」とお願いしたら、約1年ぶりに入荷したという「Mocha Queen」を淹れてくれた。いつも豆によって、挽く粗さも、ドリップするときのフィルターなんかも変えてくれている。そんなあれこれを自ら語ることはしない店主だけど、常によい一杯を淹れてくれる。

口にすると、華やかな香りと、甘みと酸味。名前に似合う味がするもんだなあ、と感心する。おいしい。

イソザキ珈琲さんの建物のすぐ隣には、1500坪ほどある西の原の敷地でいちばんの大木がある。

わたしはこの樹がとても好きだ。2階からは、枝に広がる葉がよく見える。いまはちょうど、明るい緑色をしてうつくしい。まるで鳥の羽根のようなフォルムで、細い葉が集まって一枚のように見える。枝はしなやかに揺れて、風見鶏のようにそのときの風向きを教えてくれる。

「この樹、なんて名前なんでしょう」
「メタセコイア、っていうらしいですよ」

今日、珈琲を淹れる店主に訊ねると教えてくれた。すぐにスマホで調べる。Wikipediaのページをひらいた。

メタセコイア(学名: Metasequoia glyptostroboides)は、ヒノキ科(またはスギ科)メタセコイア属の落葉樹。1属1種。和名はアケボノスギ(曙杉)、イチイヒノキ。和名のアケボノスギは、英名 dawn redwood を訳したもので、dawn は曙や夜明けの意味である。公園や並木などに植えられる。
イチョウとともに化石植物といわれる遺存種で、当初は日本を含む北半球で化石として発見されるのみで、絶滅した植物と考えられていたが、20世紀半ばに中国南西部で自生していることが確認された。

「こんな名前の、こんな樹だったんですね。わたし、いつか自分の家にこの樹を植えたいと思ってて」
「マジですか。これを?」

まあ確かに、イソザキ珈琲さんの横にある樹はちょっと大きく育ちすぎているけれど。ちいさかったら、いける気がするんだ。Wikipediaによると「早ければ発芽から5年で樹高5mにもなる」そうなのでちょっとあやしいけど。なんとかならないかな? そのくらい、好きな樹なんだ。

「いい樹ですよね」
「まるい実は、縁起がいいとか。よく知らないですけど」

松ぼっくりをスーパーボールみたいなかたちにした実が、確かによく落ちている。今度拾おう。

安心してあやふやな話をしながら、珈琲をいただく。

スマホをスクロールさせていくと、メタセコイアの花言葉が出てきた。

「平和」

まさに、わたしが常にイソザキ珈琲で感じていることを表すことばだった。あえて、店主にいまは言わないでおこう。もうご存じかもしれないけど。

30minutes note No.999

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