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Over the Rainbow-私とCrossing!-

・虹について(introduction)

中学のころ、吹奏楽部の部室からは住んでいる街並みが一望できた。
夕焼け空や、天使の梯子。
そして虹がかかる景色が好きだった。
雨が降って、虹がかかる。
土は濡れて、実りをもたらす。
14歳の頃の私には、今よりもっと世界が大きく見えて、虹の輝きを遠くに見ていた。

今の私は、虹という現象を理解して。
それはどんなに追いかけても辿り着かないと知っている。
けれど、その輝きはずっと変わらない。
今は、虹が私たちに与える思いの複雑性をあの頃より知っている。
随分と歳をとった私が、改めて虹について思いを馳せている。

・10周年おつかれさまでした

10thライブ、そして9thライブから、ライブだけではなくミリシタ、多角的なコラボレーション、そしてアニメーションと怒涛のような2023〜2024年初頭まで、おつかれさまでした。
語りたいことは、語り尽くせないほどありますが、私は10周年記念ソングとして私たちに届けられた一曲についてお話しできたらな、と思っています。

・Crossing!との出会い

『Crossing!』——この曲と出会ったのは9th武道館でした。
私は初見だと音を良く聞いてしまうタイプなので、静と動のバランスがとてもエモーショナルなアレンジに惹かれたのが第一印象でした。
それと、ドラムがかっこいい。スネアのサウンドにいたっては私が理想とする音色です。

私にとってはどちらかといえばミリオンライブ! にとっての希望の歌、輝きの象徴のようなサビが好きで、なおかつ力強いアレンジに押され、楽しい気持ちに浸れる楽曲でした。
ライブで披露されても、最初期の公演では笑顔でコールをし、サイリウムを振ることができていました。

・心境の変化

しかし、あのひたすら続いた24/7が始まったり、いよいよAct4が迫るとこの楽曲に散りばめられたもののひとつひとつに向き合うようになっていったのです。
これは、私にとっては不思議な体験でした。ちゃんと言葉の一つ一つを噛み締め、飲み込んでいくように、Crossing! に込められたものを咀嚼していきました。

もう散々語り尽くされているのはわかります。それを承知の上で語らせてください。

・散りばめられた思い出ボム

この曲では、歌い出しの"Thank You!" から最後のMILLION LIVE! まで、アイドルマスターにおいて大事に引き連れていた言葉たちが散りばめられています。
これはギミックというよりは、ストレートにこの言葉を伝えたい! という意思が感じられました。
このストレートさはどこか、劇場版アイドルマスター(以下ムビマス)の主題歌『M@STERPIECE』を彷彿とさせます。私としては肩を並べられるぐらいの楽曲だと感じています。

そしてCrossing! の中でも好きなオマージュは、

"運命の出会いを信じてる?"

https://utaten.com/lyric/mi23031619/

という箇所です。
アイドルマスターを語る上で外すことのできない春香との一幕は、いつしかアイドルマスターそのもの(当然、今日までに生まれたすべてのブランド、そしてこれから産声をあげようとするすべてのもの)にとって最も重要な命題となっています。

その言葉に、ミリオンライブ! では10年目にしてついに、私たちが解答をすることができるようになりました、しかも、アイドルのみんなに、直接に!

"感じてる!!" と!

——もっとも、Act4のCrossing! では終始男泣きをし、みっともなく眼鏡を汚しながら、泣きじゃくった声で返事をしていましたが。

でもしょうがないと思うんです、この曲の歌詞はただの思い出ボムではないのですから。

・私とミリオンライブ! ー運命の出会いー

次の話をする前に、一つ小話をさせてください。
私がミリオンライブ! に関わるきっかけになったのは、2nd Liveの2日目でした。
私はムビマスのあたりからやっとアイマスの楽曲を色々と漁り始め、AS9thのチケットが当たったことでミリオンの楽曲にも触れ始めました。
そのときに真壁瑞希の楽曲『POKER POKER』をはじめ、どことなくアーティスティックさを感じられる楽曲群がなんとなく気になっていました。

時は経ち、2015年の4月。
余裕があったら行くか程度に考えていたものの、ネットがざわついていたのを俄かに感じ、2日目の地元LVのチケットを取りました。
LVであればまだ当日券が取れ、パンフレットも劇場で慌てなくても買えた時代でしたね。
マルチカラーのペンライトを持って、ライブが始まるのを待っていると、開演を告げるブザーが鳴り響きます。

そこからは夢のような時間でした。なんか演者さん同士の距離近くない? 百合? だのカメラアングルにフェチ担当がいますねぇ……だの曲とパフォーマンスにただただ感動したりと、ただただ楽しい時間を過ごしていました。

そして、いまだに語り草となり、ついにはアニメーション、さらにはAct3で昇華されたSentimental Venus。現地にいたわけではなかったので、最初に一旦音が止まるまではこの曲も好きだなぁ(AS9thの釘宮さんのパフォーマンスも好きです)楽しいなぁなんて気ままにやってましたが、あのシーンになり、会場が一瞬、重苦しい空気に包まれたのを感じました。
しかし、そこからの現地も、LV会場も、全てで作り上げたアカペラによって曲を結ぶことが出来ました。
そして、機材トラブルの復旧を待つ間のUOの輝きは、決して忘れることが出来ません。きっとまた再開できる、その時を迎えに行こう。
その想いと、スタッフの努力が身を結び、無事に再開、しっかりと幕を下ろすことが出来ました。

もちろん、トラブルを神格化してはいけないのはわかっていますし、言われなくともそれはスタッフが一番理解していることです。
それでも、この場所を良いものにしてあげたいという暖かな気持ちを感じられたエピソードは、忘れずにいたいと思っています。
これが、私とミリオンライブ! との運命の出会いでした。

・思い出ボム、だけじゃない

長くなってしまいましたが、話をCrossing!に戻したいと思います。
私は特に、1番のAメロの歌詞が好きです。

"君は左? 私は右!
別々でも 一緒に走り出そう
せーのでさ 踏み出すよ"

https://utaten.com/lyric/mi23031619/

——先の感染症は、ただただ病気として猛威を振るうだけではなく、今まで見え隠れしていた、しかしひた隠しにしていた歪みを可視化していきました。

その断絶の中で、元に戻れなくなった人もいます。話が通じなくなってしまった人もいます。
会えなくなった人がいます、会わないと決めた人もいます。
とにかく進まなければ、と歩みを進めた人もいれば、これが安住の地なのだと引きこもってしまった人もいます。
そういった世界を見つめながら、嫌になりながらも嫌いになりきれないのは、それでも私たちには優しく暖かな血が通っているからだと気づく瞬間があるからです。

一度は違う道を選んだ私たちは、こうやってまたどこかで出会えることを知っているから、あるいは新しい出会いがまだどこかにあることを知っているから、人生の旅を、そして実際に旅をしていくのではないでしょうか。

10thのミリオンライブ! がツアーという形を選んだのも、そのことを知っていたからではないのでしょうか。

だから私たちはどこかに集い、言葉と笑顔を交わし、アイドルたちに歓声で応え、思い出を持ち帰る。

交差点は別れの象徴であり、また出会いの象徴でもあります。
そして、私たちの道は鮮やかな虹で描かれています。

・虹について(Outroduction)

虹という現象は、大気中の水滴の中を光が通過することによって起こるものだということを、おそらく学んだかと思われます。
七色のスペクトルで構成され、その並びも決まっています。
しかし、私たちの瞳にはもっと複雑に映っています。物の見え方は一人一人違うので、全く同じ色として認識しているわけでもありません。
その複雑性を認めながらも、一つの同じ景色を分かち合い、願いを込めて空を見上げる。
その輝きはステージや、コンテンツと向き合うことと似ていると思います。

その虹の交差点を越えて、私たちはその先を今日も進んでいきます。時々後ろを振り返りながら。見かけた誰かに手を振りながら。

どこかで誰かに声をかけられては、その人の名前を知ったり。人となりを知ったり、いつか共に歩むことになったり。

別れもあるでしょう。悲しみや怒りもあるでしょう。

それでも喜びを分かち合うために、私たちは進みましょう。

10thが終わったら、11thが待っています!
何度でもスタートして、色あせない思い出を引き連れて、新しい時代を、シアターデイズと共に、シアターデイズだけではない世界も巻き込んで!

輝きの向こうへ、そして憧れの向こうへ!


——私は、ミリオンライブ! が好きで、本当に良かった。



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