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嵐の前の静けさ

私はのほほんと生きていた。
一昨日、ある米国人の環境研究者と出会った時に、それを知った。
彼との時間は、「畏れ」と書き表した方が正しいようなレベルの恐怖を私にもたらした。為す術もなくただそこに立ち竦むような、ちっぽけな存在、目の前で起こる事態に無力であるという事実を受け入れる、という恐怖を。

私はカフェで仕事をしていた。その米国人は帰りがけにカフェの店員に、「I research about climate change.」と話していた。その言葉が耳に入った瞬間、私は彼を捕まえてアポを取っていました。
2月だというのに温かく、花粉なのかコロナウィルスなのか街中にはマスクを装着する人が溢れる金曜の夕方、夕陽の沈む様子が見える高台のカフェで、私は彼と再会した。彼はYouTubeでもいくつか映像が出てくるほどに世界的な研究者であり、世界中の政府や企業へコンサルテーションするアカデミックだ。
まさか、その数時間が私の世界への期待を一気に崩し去るとは、微塵にも思っていなかった。興味本位だった一昨日の自分を恨んでもいいほどに。

ちなみに私自身の話をすると、このところとても穏やかで、感情の起伏もなく、ある意味悟りに近い(”悟り”も結局は幻想だけど)心境だった。恐らく昨年1年間を精神や霊性を高める旅にフォーカスしていたからだと思う。しかし昨日の一件で、それは「嵐の前の静けさ」だったことに気づいた。さらに、私が昨年1月に降ろされたライフミッションが、待ったなしの状態で目前に再度突きつけられたことにも気づいた。
少なくともこれから書く話は、恐らく皆さんそれぞれのライフミッションを考えるきっかけになると思います。むしろ、そうであって欲しいと願います。

さて本題ですが、勿体ぶっている場合ではないので、西洋的に結論から言えば、もう気候変動は”超やばい”レベルです。”やばい”ことくらい知っているよ、と思うと思います。16才のグレタを中心に世界中でムーブメントが起きているし、研究者達は日々新たな情報を発表しています。しかし、この”やばい”は予測を遥かに超えるやばさなのです。最悪のシナリオとして、30年後の2050年位を目処に何かが起きるという認識が一般的だと思います。だからちょっと人ごと。いや、だいぶ宇宙ごと。私自身もそうでした、昨日までは。昨年は海外のカンファレンスなどで最新の情報に触れてはいたものの、結局はよくわからない、一般レベルでできることは限られている、大企業が変わらなければならない、世界の利権が問題だとか、所詮、人ごとのように現実を見ていた。

どれくらいの近さでコトは起こるのか?数値で表現すると恐怖を煽るだけなのでここでは避けますが、大切なことは、その事実を受けて、どう前に向かって生きていくのか?ということです。

私自身も未だに宇宙級の電気ショックを与えられたような痛みと重みを心臓に感じています。それくらい自分ごとになってなかった、ということだと思うのです。なぜなら、飛行機に乗るのは”やばい”と分かっていても、「仕事だから仕方ない。」とか、「世界へ出てオルタナティブな暮らし方を実践している先駆者達に学び、広げることの方が飛行機に乗らない決断よりも大事なのではないか。」などと正当化して旅をしていたのは否めない。
日本にいると尚更、危機感を感じない生ぬるさもあります。無関心なのか、わざと不感症にしようとしているだけなのか?もしくは起こることには抗わず自分達の行為の結果だと、ただ全てを受け入れる、といった禅的マインドなのか? 
ヨーロッパでは至る所でデモが行われ、メディアや学会やイベント時は常にこのトピックについて話し、日常の会話でも現状やその対策、世界の動きについて話し、日々の行為に対する細かな配慮を感じます。
一方、日本では日常会話で出ないばかりか、公の場でも話されない(未だにテクノロジーやデザインの話ばかり)。環境問題は見えないし、感じないし、今どこも痛くも痒くもない。私も天気が良ければ「今日は温いね!外に出かけよう!」と呑気な感じ。さらに家畜(特に牛)が生み出すメタンガスの影響力を知らない人も多い。焼肉屋やステーキハウスへ行き、「他人は人の食習慣に口を出すな。牛肉ごときで人をジャッジするなよ。」と言ってビーガン野郎、平和気取り野郎、と他を批判する。
余談ですが、生活の中で最も快楽をもたらすモノ・コトの世界調査結果が先日発表されてましたが、他国が全てセックスをトップに挙げていた中、日本だけが食事をトップに挙げ、セックスはというと、第5位。「このデータの裏には日本人ならではの配慮や羞恥心があるんだろうね。」(つまり信頼できる結果ではない、という意味)という声もあるけれど、これだけ食事が美味しいのだから無理もないというのも一理ある。何れにしても、環境問題より日々の食事の楽しみが大切!という人がマジョリティを占めることは疑いのない事実だと思う。今が幸せであれば良いイマココ視点。それも大切だし私もイマココを大切に生きている。所詮、明日はイマココの積み重ねでしかないから。

この気候変動の問題は、つまり、そういう私や私たち。
怖いものを見ないようにする習性。わからないものは受け入れないようにする態度。さらに国は人々の混乱を恐れ、科学者の発表する事実を歪め、お金で解決し、事実を封じ込めようとする。そう、問題は人間側の姿勢にある。当然ながら地球でも気候変動でもない。どんなに温暖化しようと、どんなに森が破壊されようと、地球は大丈夫。地球地球という惑星はなくなるわけではない。単純に人が住めない状況となり、生物としての私たちは自滅する

「私達は結局、殺し合う。そうして人類は破滅する。」

ー それが彼の見解。

今、世界中で若者を中心に気候変更の取り組みが行われていますが、それらの努力も虚しく数年内に気温がティッピングポイントを超えると、これまでに地球上のあらゆる資源や機能がバランスをとりながらサポートし合って全体として功を奏していたことが全て負に変わり、一気にドミノ倒しのように問題が起こり続ける事態が来る、と言われています。
2020年の変化としては、例年にも増す猛暑、予測不能な台風、地震、津波、干ばつなど、それらは今後数年の間により頻繁に起こるようになると予測されています。そして数年内にエネルギー不足、水不足、食料不足などが起きると同時に人が住めない地域が増えていく。そうして大量の移民が始まり、領土問題が起き、混乱が起き、戦争が起きる。混乱すると人々は統率者に従う。それが普通の人間心理。世界のリーダー達は脅威を奮い権威を見せつける。その脅威は原子爆弾や核兵器を通じて行われる。ーこれらのシナリオは、各地域の文化、経済、社会的観点と、これまでの歴史的文脈などを元にした予測。さらに、可能性としては少ないけれど、ポジティブな方向性としては、適応力。食料も水もないけれど、ないならないなりに協力し合い、分け与え、どうにか生き延びる人類。そんな可能性もなきにしはあらずだと、彼は言う。

彼は言う。

そうなった時、エゴセントリックな西洋社会は自滅し、日本やアジアのような農耕民族の和の精神、助け合う精神、他を受け入れる神仏習合的な精神がキーになる、と。

だから彼は米国人として、資源がより多く残るであろう米国に帰ることもできるけれど、精神的な鍛錬のために日本に住み続けたい、と話す。

私はこの一連の話を聞いた後はしばらく放心状態でしたが、この危機を目前に見せられても、なおも生きたい!と心を切り替えました。
少しでも希望を持ってその光に向かってやれることをやり尽くしたい。この時代に生きる私たちが昇華されることなく次の世代にタスキは渡せない。宇宙から与えられたチャレンジを十分に果たせなかった。という悔しい結果だけは避けたい。
混乱が襲って来た時、「俺の陣地だ!」とか、「俺の米だ!」と奪い合うのではなく、みんなが手を繋ぎあって一つになって「国境なんてない!」と言いたい。はるばる海を渡って来たのなら、「一緒に力を合わせて進もうじゃないか。」と受け入れ、みんなで助け合える準備をしていきたい。みんながそんなことを素で言えるような心の準備をしておきたい。
死ぬ前は人々が殺し合う姿を見るのではなく、みんなで手を繋いで笑って死んで行きたい。「次に生まれた時は、惑星のリズムに共振しながらダンスをするように生きようね。」と言いながら。
だから、みんなで人間進化していきましょう。手を取り合いながら♪

ー このリサーチャーのデータは間もなく公開されます。そのデータを信じるも信じないもあなた次第。そのデータ自体が虚構かもしれないし、気候変動自体を嘘だという人達さえいる世界。信じて何か行動に移すのか、信じないで今を思いっきり楽しむのか。半分信じながらやれることを日々の中で実践しながら今を思いっきり楽しむのか。どの選択肢も良い悪いはない。どのチョイスであっても、選択した瞬間に事実になり、明日をつくっていく。それが地球の事実であり真実となる。自分を信じ、信念を持って日々を生きる。ただそれだけ。私は自分自身の頭を整理したくてこのブログを書いたけど、少しでも何かを考えるきっかけになったらとしたら嬉しいです。勢いに任せて書いたので冷静になった時にまたアップデートされているかもしれませんが、その時にはまた素朴な思いを共有できればと思います。

P.S. トップの写真は2019年9月のアイスランドのグレイシア(氷河)の写真。年々、氷が溶けてほぼ見えないレベルまでになっている。
下の写真は同じく9月にアイスランドで見た夕焼け。アイスランドにいると自然の美しさに涙が出ます。自然が圧倒的なので、人々は人間がいかにちっぽけな存在かを理解して自然への畏怖の念を常に持って暮らしています。だって自然に宿る妖精(elph)の存在を国民の100%が信じていますから。自然と共生する文化(教育)、社会、経済、暮らし、思想が浸透している。100%再生可能エネルギーで、人は自然のように優しく、国自体がエコビレッジのようです。コスタリカもそうですね。他国に学べることは多々ありますが、日本人の精神性は、代々先祖から授かった貴重な遺伝子です。日本人は日本人としてできることから一歩ずつやっていきたいなと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。^^

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かしこ


参考文献

Hothouse Earth/ホットハウスアース について

日本語記事
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-45093509

The reality of climate change | David Puttnam | TEDxDublin 2014年
https://youtu.be/SBjtO-0tbKU 
気候変動に立ち向かえるスーパー植物とは
Wired 気候変動特集
https://wired.jp/tag/global-warming/
できることからやるためのスターターキット
https://countdown.ted.com/




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