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制作後記|ライバル宣言

noteでは約1ヶ月ぶりになります、草箱です。
この記事は私が先日投稿した「ライバル宣言 / 杉浦綾乃」の内面的・技術的な制作後記になります!未視聴の方がいましたらこちらから!



…とはいえ、大体のことは早よ寝さん・miyaryuさんと共有した制作用スプシに書いてあります。構想段階で色々と雑ですが、こちらに一度軽く目を通して頂けると記事の内容がわかりやすくなるかもしれません。


■モチベーション

直接的な動機

そもそも、自分がこの作品を作る直接のキッカケになったのは、年明け頃からゆるゆりにどハマりしたからです。正直全然ハマらないだろうと思って見始めたのですが、案の定デカい沼から抜け出せなくなりました。カプ厨なので尚更。
そして自分は割と飽き性でもあったので、この熱が冷めないうちに何か形にしたい!という思いもあり、制作するに至ったわけです。

2週間足らずでOVA含め全話見てしまった、我ながら怖い

間接的な動機

もともと、自分の中ではずっと「音MADをファンアート的に作りたい!」という想いが強く、一つのファンアートとして他の二次創作を含めた色々な文脈を拾って表現する、ということへの憧れがありました。

そして先述の通りにゆるゆりに沼っていた自分は、様々な二次創作を追っていく中で幾多の二次創作SSに出会いました。SSを読む過程でキャラクターへの解像度は高まり、自分だけでは気づけなかった「解釈」が広がっていて、これを音MADの文脈として活用できないか?と考え付いたのが文脈的要素の出発点になります。

FAであることを強調したかったので、公式推奨タグ #ゆるゆり活動日記 をタグ付けしています

■内面的な話

方針

「SSを文脈として利用する!」とは言ったものの、そのストーリーに完全準拠してしまうと3次創作的になってしまい、原作に対するファンアートとしては少しズレてしまうのは明白でした。そこで折衷案として、あくまで「心情部分の解釈」のみを引用する方針を固めました。

イメージはこんな感じです 書いてるうちに自分でも何が言いたいのかわからなくなった

方針の決定とともにベースとするSSも決定。
綾乃の内面の感情について焦点が当てられた作品で、「夢」を通して綾乃が現実と向き合っていくあたたかいお話です。特に中盤の独白パートで赤裸々に吐露されていく心情が圧巻なので、ぜひご一読して頂きたい…。

ストーリー

上記SSを受けて、「綾乃が京子に素直になっていくまで」をメインテーマにストーリーを組みました。

これは(おそらく)アニメ3期(さん☆ハイ!)でも描写されているテーマで、2話・7話で綾乃が京子と遊んで別れる間際のセリフが対比的に描かれています。
具体的には、2話では

京子「また2人で遊んだりしよう!」
綾乃「…しょうがないわね!

----------------中略----------------

綾乃(偶には、チャレンジ精神も大切なのかも…ねっ!)

ゆるゆり さん⭐︎ハイ! #02「さぁおびえるがいい」

とツンデレの典型みたいな返しをしているのに対して、7話では

京子「また映画行こうな!」
綾乃「…うん!

----------------中略----------------

綾乃(『自分に正直に』…かぁ…!)

ゆるゆり さん⭐︎ハイ! #07「忘れられない一日になる」

という返しに。
2話のテーマが「チャレンジ精神」で7話のテーマが「自分に正直になる」であるからもわかる通り、綾乃は京子との映画デート中に、自分から映画に誘う、という小さなチャレンジを通して、自分に正直に、つまり素直になるキッカケを得られたというのが話の大筋だと個人的に解釈させて貰いました。

これをベースに、動画上のストーリーでは意地と虚勢を張ってしまう「歳納京子のライバル」としての綾乃をAメロで、3期7話を主軸に素直になれない自分と葛藤する綾乃をBメロで、素直な気持ちを吐露していく綾乃をサビで表現しました。

解釈

さて、サビでは綾乃の京子への思いを人力に乗せて歌詞改変していこう、と元から考えていたので、歌詞改変のために「杉浦綾乃」という存在について自分なりに解釈し直してみました。完全に個人的なそれな上に文字ばっかりなので苦手な方は飛ばして下さい。


まず、「歳納京子のライバルとしての杉浦綾乃」はきっと「本来の杉浦綾乃」ではありません。生徒会副会長でありながら人前に立つのが苦手だったり、リボンを取ってしまった際、京子に嫌われるかで必要以上に思い悩んだり…。
「本来の杉浦綾乃」は小心者で、割と引っ込み事案だけど優しい心の持ち主、という風に解釈しました。

それでは、綾乃にとっての京子とは何なのか。
千歳とは中学に入ってから出会っているので、中学入学当初の綾乃は限定的な交友関係しか持っていなかったのではないか…と考えられます。
そんな内向的になっていた綾乃の世界を広げていったのは、やっぱり歳納京子さんなんじゃないでしょうか。だからこそ結衣とも友達になれて、周りにも自分を出せる様になっていけたのです。

綾乃は京子に対して、恋愛的な好意と、それと同じぐらい大きく自分が持っていないものを持っている京子への憧れを抱きます。そんな風に始まった京子との恋路ですが、「本来の杉浦綾乃」の臆病さではあまり前に進めず、何より京子に与えられてばかりの関係性に不甲斐なさを感じていたに違いありません。

だからこそ、綾乃は虚勢を張りました。生徒会に入れば、自分は「生徒の模範」という仮面を被れて。京子に張り合えば、「対等なライバル」という仮面を被れる気がして。少なくとも自分が、胸を張って彼女の横を歩けるその日までは、仮面を被ってでも追いついてやる。綾乃が素直になれない1番の理由はこの「ライバル」という関係性への執着にあるのかなと思います。


…と、長くなりましたがここまでが前半部分の歌詞改変のバックグラウンドの解釈です。ほぼ断定系で書いてる割には確定してる事実が全然ないので少し強引ではあるかも…。
「肩を並べる」という慣用句には「並んで歩く」「対等の位置に立つ」という二通りの意味があり、今回はその両方にかける形になりました。

閉じ籠もり 転回 ジャスティス
私とアイツだけの 恋路の中で
張り合わせてランデブー 
私とアイツの肩 二つ並ぶまで


さて、そんな日々が過ぎて2人は2年生に。それぞれ新たに後輩を迎え、綾乃が京子に振り回される日常は続いていきます。
綾乃は今日こそは一歩踏み出して!みたいなことを考えながら勢いよくドアを開けていると思うのですが、結局京子の引き起こす予想不可能なドタバタに巻き込まれ、当初の意気込みはどこへやら…。そんな、綾乃が大好きな日常が続いていきます。

その中で、永遠の課題になっているのが京子との距離感。以前より「本来の杉浦綾乃」として仲良くなれているとはいえ、未だ仮面は外しきれておらず、何より真の意味で「対等」になれているのか、不安に苛まれます。

だから綾乃は、京子から求められて初めて「対等」だと感じられるのではないのでしょうか。そこでは、綾乃の京子への態度が「少し踏み出したい」から「素直になりたい」へ、そして「京子を振り向かせたい」のようにより積極的な方へ前進しているのです。

そして、今日も綾乃は威勢のいい声で扉を開くのです。
いつか京子が振り向く、その日まで。


…というのが後半部分の歌詞改変の背景です。
「綾乃には不安定な自信じゃなくて、確信を持って恋路を歩めるように日々の中で成長していって欲しい」という個人的欲望が独り歩きしてしまって、それに解釈を繋げるような形になってしまいましたが、自分の中での綾乃像は大体こんな感じです。

意気淀み 毎回 ハプニング
みんなの私達の 日々の中で
惹き殺してlovin' you
私がアイツの頬 紅く染めるだけ


ここまでの話を総括して動画全体の雰囲気が決定しました。
ただ、あくまで音声を作りながら色々整理していったので結構整合性が取れてない部分があるかもしれませんが…見逃してください。
内面的な話は以上になります。

■技術的な話

大変お待たせ致しました、音声・映像など技術面の話です。(とは言っても特段新しいことはしていませんが…)
音声・映像それぞれ分けて解説していきます。

音声

マジで解説できることがないので、新たに挑戦してみたことを箇条書きにして書いてみます。

ドラムに適正のある素材を使った
今回はドラムにキャラソン(主に恋の罰金バッキンガム!)から抽出したものを使いました。最初は本編から抽出したものを使おうと思っていたのですが、なかなか上手く行かなかったのでこちらを試してみた所かなりハリのあるドラムが作れたので良かったです。(元素材が良いだけですが)

追加でドラムを入れてみた
アレンジ、と言って良いのかはわからないですが、サビの人力部分の裏で原曲にはないドラムを追加しています。
↓こちらの記事がめちゃくちゃ参考になりました

ぷりんアラモードの1:36辺りで鳴ってる「キュッ」みたいな音を使ってます。置き方は結構適当ですが、ハイハットと合わせて、サビの疾走感を演出できて結構満足しています。

人力をちゃんとやった
今までUTAU式か切り貼りのベタ打ちだったんですが、今回はちゃんとした切り貼りをやりました。とは言ってもピッチの合わせ方は雰囲気ですが…

切り貼りはREAPERでやりました、先にここでコンプ刺してるんですが蛇足かも
BRE-100にしてビブラートと平滑化(ぶれ補正モード)でいい感じに

原曲キーだとちょっと高くて掠れちゃうし、1つ下だと落ち着きすぎていたのでどちらも半々ぐらいの音量で重ねました。オク下の方を気持ち広げて、他はあまり広げないようにしています。
ボーカルのMIXにNectar3使おうと思ってたんですが完全に忘れてました。

それと、自分の環境ではUVRが全然動かなかったので、ボーカルの抽出にあたってくにねさん、ねそさんに協力して頂きました。ありがとうございます。

裏の音をちゃんと取る
先述の通り、サビに向かって想いが大きくなっていく展開を作ろうと思っていたので、サビはその盛り上がりが絶頂になるようにしなければなりませんでした。そのためにも、サビは人力だけに頼らず、原曲の勢いを殺さないように音合わせしようとしてみました。

コードはいつも通りアホみたいなvstの掛け方ですが、パン振りで主張を抑えめにしたつもりです
ベースはオク下を弱めに、刺々しさを極力なくしました
合いの手は左右に振って盛り上がるところで真ん中に

もしかしたら音声上手い人が見たら卒倒するようなことをやってるかもしれないんですが、とりあえず現段階でパッと思いついたことは色々試せたんじゃないかと思います。


映像

キツかった。自分でもAメロ・Bメロ全部を独自構成でやるとは思っていませんでした。その代わりと言ってはなんですが、サビは先駆者へのりすぺぷぽをかなり全面に出しています。

構成考えてるときずっとこんな顔だった

イントロ
特に言うことなし。
ダジャレの音声と映像のシーンは必ずしも対応してないです。

Aメロ
漫画の文脈も拾いたいな~と思ったのでコマを引用。
必ずしもセリフに準拠したシーンではないです。

今思えば角縁取りのほうが良かったかもしれない

流石に静止画を動かすだけだと細かな動きに乏しいので、元のコマに縁取りとゆらめきを掛けたものを背面に置くことで忙しなさを控えめに演出しています。それぞれコマごとに映像を出力したのでタイムライン的にも綺麗に。

Bメロ
綾乃が京子を前に、素直になろうとしていく心情の動きをメインに演出したかったので、前半では二人を完全に手前と奥側の別枠で表現しています。
GBはEbSynthでパパっと終わらせたかったんですが全然上手くいかなかったのでフレームごとに手動で切り抜きました。

後半では一気に彩度を落として、迷いを表現。
「自分に、正直に…」→「歳納京子ッ!」の部分で素直になることを視覚的にも表現したかったので、彩度を一気に上げて視界が開けたようなイメージに。
ちなみに、この部分はmiyaryuさんのアドバイス(後述)で丸々作り直した部分でもあります。

「悩み」の抽象的なイメージとしてもじゃもじゃTを配置

サビ
ニコニコの方では親作品登録していますが、言うまでもなくヒーロー宣言カワイイ宣言、そして【合作】新版 いろはかるたのグッバイ宣言パートのリスペクトをメインに組んでいます。ただ、全てをトレースしても面白くないと思いますので、できる限り自分なりのアレンジを加えています。

枠はこの動画に影響を受けてそれっぽく置いてみました。どれぐらいの方が気付いたかはわかりませんが、上下の丸はさん☆ハイ!のEDの配置に合わせて色を置いてます。

会長は雰囲気で下の真ん中に


イラストはこんな感じでレイヤーを分けて描いて頂いたのでかなり動かしやすかったです、早よ寝さんには本当に感謝しかありません。
髪は勿論のこと、実は腕も「下を基準」にチェックを入れた風揺れTで動かしています。こちらの記事が大変参考になりました。

備忘録的にこれは残しておきますが、全画面に合わせた解像度のパーツのクリッピング&位置調整はクリッピングの(左+右)、(上+下)を20の倍数にして中心の位置を変更すると座標が10の倍数でしか動かないので感覚的には少し楽になります。

このシーンが何気にキツかった。阿保草さん本人がやり方を解説されているのですが、自分の環境ではどうも重いわエラー吐くわ意図しない場所で文字消えるわで散々だったので手修正してaviに出力しました。

サビの後半もBメロと同様miyaryuさんのアドバイスでかなり修正した部分になります。この辺の背景にはぼかしの他にOpenCVのモルフォロジーを少しかけてぼや~っとさせています。

ここは個人的にかなり満足している部分で、「綾乃の自分への自信のなさを京子が包みこんでいく」という文脈を視覚的に表現できました。ドアの演出も最初の部分と同じものを使ったので、「日常が続いていく」という意味も込められたと思います。罰金バッキンガムのgifも使えたし良かった。

アウトロ

綾乃の目標が「素直になる」から「振り向かせる」に変化するという解釈の上で、「ヒロイン宣言」という題を出してみました。自信を持って立っているようなイメージにしたかったので、あえて腕は動かさずに。

最後のテキストの出し方はモログッバイ先輩リスペクトです。「ライバル宣言」というタイトルに戻ってくるうえではかなり良い選択だったと思います。

修正

プレビューの度に出力してたのでアホほど見てしまった


ここまでの映像が大体投稿一週間前には完成していたのですが、正直なところ制作期間中に自分でプレビューを見すぎてこれが良いのか、悪いのかという判断が曖昧になってきてしまいました。

そこで、ストーリーの展開に合わせた映像に長けていらっしゃるmiyaryuさんにお願いをして、映像の添削をして頂きました。

こちらが修正前の映像になります!
こう見ると、Bメロとサビ後半はかなり動きが追加されているのがわかると思います。自分一人では出なかった具体的なアドバイスを沢山頂けたので、改めてmiyaryuさんに相談して大正解だったなあと感じています。

■総括

反省

・全体的にやりたいことを大体実現できた
・今までやれなかったことにも挑戦できた
音MOKUHYOU2024も参照
・全体的にスケジュールに余裕があった(遅刻回避)
使いたいセリフが使えなかった
 「綾乃ももちろん平気だよね、私のライバルだもん」
 「綾乃ちゃんの好きな人はこんなことで人を嫌いになったりするような人なん?」
・時間あったのにイラストのレイヤーずっと間違えていた、ごめんなさい…
・プレミアムの上書き投稿で悔いを残さず動画を形にできた

最初のサムネだとポニテが前側だと思いこんでいます、大馬鹿

まとめ

本当は1000文字ぐらいで終わらせる予定だったんですが、気づけば全然6000文字を超えていました。今度制作後記を書くときはもう少し要約しようと思います。

次ゆるゆりで作るときは間違いなく原作コミック&大室家全巻買った時だと思います、確実に狂う。

駄文でしたが、ここまでお付き合い下さりありがとうございました。
改めて、早よ寝よね夜はさん、miyaryuさん、そしてご視聴・いいね・マイリス・広告して下さった皆さん、本当にありがとうございます!

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