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営業支援の道で生き残って戦い続けるためのヒント

コロナ禍以降、企業の活動が変わってきていると聞きます。大きな変化のひとつは「リモートワーク」を導入・推進する企業が増えたという件。皮肉なことに、コロナ禍によって一気に働き方改革が進んだのでした。

ただ、ここには大きな落とし穴もあって、リモートワークでも進めていける仕事と、リモートワークでは成果に結びつかない仕事があります。リモートワークは、オフィスに出社して働く働き方の代替ではなく、「リモートワーク」という働き方でしかないのです。そのことを分かったうえでリモートワークを採り入れていかなければ、創造性やイノベーションと呼ばれるものからは遠ざかっていくという事実があります。そういったことを専門的に研究している方とお仕事をご一緒しておりますので、その知見は別稿でまたいずれご紹介したいと思います。

企業の活動の変化のもうひとつは、働き手の確保の方法。正社員で採用してその社員を大事に守り育てて、という活動と並行して、外部人材(フリーランス、業務委託)の活用を積極化する会社も出てきているという話を聞きます。エンジニアやクリエイターは以前からフリーランスの外部人材が起用されるケースがありましたが、今日では営業職にもフリーランスが登場、企業に起用されて活躍するケースが増えています。

以前「営業代行」や「フリーランス営業職支援」に関わる仕事をしていたことがあり、そういったテーマでオウンドメディアに記事を書いていたこともあります。その時代の経験や知見をもとに、フリーランス営業職が仕事を受けることに関する話を書いてみたいと思います。

そもそも「フリーランス営業職」って??

エンジニアの世界では、1つの会社に所属して専業で働くのではなく、個人事業主として1つの(あるいは複数の)会社から案件を受託して働くという働き方があります。クリエイターの世界にも同様の働き方があります。

エンジニアはエンジニアとしての能力を武器にそういった働き方をしますし、クリエイターもクリエイターとしての能力(イラストレーターであればイラストの作成能力、デザイナーであればデザインの能力、ライターであれば記事作成の能力)を武器にそういった働き方をしています。

営業の世界でも「モノを売る」能力を武器にフリーランスとして独立する動きが広がっており、そういった人々を「フリーランス営業職」や「営業フリーランス」と呼んでいました。

フリーランス営業職の働き方も様々ですが、1社とのみ契約してフルタイムでその会社の営業活動の仕事をおこなう人もいれば、同時に複数の会社と契約して自分で動き方を決め成果を出していく人もいます。また、このような動きを個人のフリーランスとしてではなく、会社を設立して複数人で行おうという動きをする人々もいます。

フリーランス営業職(や同様の動きを会社を設立して複数人で行おうという組織)の仕事は「営業代行」あるいは「営業支援」とも呼ばれます。ある会社に社員として所属している人が自社の商品やサービスを売る行為は「営業」活動です。一方、フリーランス営業職は業務委託契約を結んだ外部人材ですのでその会社の外部の人間ということになり、「営業」活動を「代行」または「支援」する存在ということになるからです。

この「営業代行」「営業支援」という仕事について、仕事を受託する側から考えるのが今回の記事です。

フリーランス営業職の仕事は予算を立てづらい

さて、世の中のビジネスの多くは、自社で商品やサービスを開発し(あるいは仕入れ)、それをお売りする形で成り立っています。これは見方を変えれば、売り物が良くて価格が適切であれば、欲しいという人と巡り合えさえすれば売買が成立するということです。このモデルでは、自分たちである程度仕事の量や売上高をコントロールすることができます(仕事量が多いとなれば提供量を減らせばいいし、売上が足りない・もっと仕事を入れられるとなれば提供量を増やせばいいのですから)。

他方で、「受託」と呼ばれる形態の業務もあります。買う側(顧客側)にニーズが発生して「これをやってほしい」と言われた時に初めて案件が生み出されるビジネスモデルです。具体的な売り物(商品やサービス)があってそれを顧客が求めてくるタイプの話ではなく、顧客が「これできる人いますか?」となった時に契約が成立するため、受託業務をメインで対応している事業者は、自分たちで仕事の量や売上を増やすほうにコントロールすることが難しい業態といえます(仕事が多くて対応できない場合は受任しなければいいだけですが、もう少し仕事が欲しいと思っても顧客側に需要が出なければ新規の仕事が発生しないからです)。

この観点を整理したうえで。
「営業代行」という仕事は受託業務です。顧客側に発注のニーズが生まれなければ仕事は存在せず、収益を期待することもできません。売上の予測を立てづらく、収入の予実が一致しづらいケースが多い仕事といえるでしょう。フリーランス営業職(個人)でも、会社として組織で営業支援を行う場合でも、この構図は共通です。

仕事を再定義する

こういった状況の中でフリーランス営業職が生き残る道筋のひとつが、自身の仕事を再定義することです。昔あるプロサッカー選手がこんなことを言っていました。「自分は職業はサッカー選手だけど、仕事は試合に出てチームが試合に勝つためのプレーをすること」。

フリーランス営業職の方は、職業は「フリーランス営業職」や「個人事業主」ということになると思いますが、仕事は何かほかにあるはずです。「3か月でクライアントの売上を10倍にする」とか「どうしても突破できない大手法人の新規開拓の成功を請け負う」とか。

「営業」というカテゴリーの仕事は、法人・個人問わずどの事業者にも必要な業務です。また、新規開拓から既存顧客のフォローアップ、セルアップまで、幅の広い仕事でもあります。訪問営業・電話営業・メール営業のように手法も多岐にわたります。そのなかで自分が得意な部分・得意なやり方を決め、そこを磨いていけばいいと思うのです。

得意が何かが分かりその旗を立てると、その知見を必要としている人が相談に来てくれるようになり、そこでまず相談業務という仕事が成立するようになりますし、その相談の結果、実際の営業活動を発注したいというところまで結びつく場合も増えてきます。

「イラストが描けるイラストレーター」「文章を書けるライター」などのようにバリューや納品物が見えやすいわけではないフリーランス営業職は、こんなふうにバリューを可視化することで仕事を受託しやすくなるのではないでしょうか。もちろんこの方法は、組織で営業支援をする場合にも有効なことは言うまでもありません。

会社として営業支援を行う際の戦い方

持続性のあるビジネスには押さえるべきポイントがいくつかあると思いますが、そのひとつが「出ていくもの(経費)を小さくして、入ってくるもの(売上)を大きくする」ことかと思います。これはどんなビジネスにも共通するものですが、営業支援をおこなう会社の場合には特に気を付けたほうがいいでしょう。

先ほども書いた通り、営業支援・営業代行の仕事は受託業務です。受託業務は顧客側にニーズが生まれて初めて受任することができるものです。だから、いつどれくらい仕事が発生するかを予想しづらく、たくさん仕事がある(=たくさんの人を必要とする)タイミングもあれば、そんなに仕事がない(=たくさん人がいる場合にコストだけがかさむ)タイミングもあるわけです。

すごく嫌な言い方ですが、会社が人を雇用した場合、その人にかかるお金は固定費になります。その人がじゅうぶんに稼働するだけの仕事を会社として用意できなかったとしても、給与やその他のお金は発生し続けます。たくさん仕事があるタイミングがずっと続けばいいですが、そうではないタイミングもあり、その山と谷がいつ来るのかを読みづらい以上、人を抱えれば抱えるほどリスクが高くなるといえます。

営業支援を組織としておこなう場合には「小さくはじめて、軌道に乗ってから大きくする」という順番が大事です。そしてあるタイミングで「仕事は増えたのに人を雇えるほどの資金力がまだないから人がいない」という、ひとり当たりにかかる負荷がすさまじいことになる時期があるはずです。それを見越して、初期には気力体力のある「タフな」人材を採る、というところから始めておけると、営業支援の会社の立ち上げはうまくいくように思います。なお、これはスタートアップにも同様のことが言えるかもしれません。

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