見出し画像

フリーランスにどのような業務を依頼すればいいのか(シリーズ:企業によるフリーランス起用のアレコレ①)

かつて「フリーランスの営業職」に関するメディアの編集長をしていた経験があり、「企業がフリーランスを起用する際の様々な情報」についてそれなりに知っています。

先日ある方から「その話、詳しく聞きたい」と言われ、「そんな情報にも興味を持ってくれる人がいるんだな」と驚いた経験から、ブログでシリーズ化してまとめてみようと思いました。

シリーズの第1回(今回)は、フリーランスにどのような業務を依頼するのかをテーマにしました。

業務をセグメント化して考える

重要緊急

「フリーランスにどのような業務を依頼するのか」「フリーランスを起用する場面」を考える際には、自社の業務を上の図のような4つの区分に分けて考えることをお勧めします。

重要かつ緊急度の高い業務
この区分に入る業務は会社のコアな業務である場合が多く、基本的には自社の内部メンバーで対応することが望ましい業務だと考えられます。

重要ではないが緊急度の高い業務
この区分に入る業務は緊急性が高いという点を考えると、タイムリーに対応できることが望ましく、その意味では自社のメンバーが対応するほうがいい業務が多いでしょう。また、内容によっては自動化することもできるかもしれません(例えば、何らかのサービスに新規登録した顧客に即時メールを返す業務など)。

重要だが緊急ではない業務
「いつかやらないといけないと思っているんだけれど、日々の業務が手一杯でなかなか着手できない…」そんな業務がこの区分に入りますが、ここはフリーランスが力を発揮しやすい領域です。「貯まってきた顧客の声を分析してサービスを改善するためにオペレーションを整えたい」「アプリのサービスのちょっとした足りない点を改修したい」など、様々なことを依頼できます。

重要でも緊急でもない業務
重要でも緊急でもないものは、社としてコストを払ったりリソースを割いたりする理由がないので、そもそもこの区分に入るものは「やらないこと」に分類されるはずです。

業務を切り出せるかどうか

業務をセグメント化して考える方法をご紹介しました。上記は原則的な考え方ですが、6483worksがこれまでに経験した案件に、以下のような事例もあります。

【1】
クライアント社が新規事業で取り組もうと企画したWEBメディアでディレクターを受注(重要かつ緊急度の高い区分に参画した事例)。⇒社の新規事業ですから、その中で行われる業務のほとんどは重要かつ緊急度の高いものであるはずです。ディレクター業務の知見や能力、経験を買われ、外部人材ですがディレクターを受任しました。このように知見や能力を見込んでそのポストに就いてもらうという業務の発注の仕方もあります。

【2】
上記【1】の事例には続きがあります。ディレクターの下についたデザイナーやイラストレーター、ライター等のみなさんも、全員クライアント社に起用されたフリーランスの方々でした。フリーランスだけで新規事業の基幹チームが組成された例でもあったのです。やりたいことが明確で、それを実現できる人が社内にいなければ、フリーランスをチームにするというやり方もあります。

【3】
別のメディアの事例ですが、クライアント社の従業員であるディレクター氏がおり、その下にフリーランスのライターとして加わったことがありました。別の人が取材してきた素材を、また別の人が文字起こしをし、さらに別の人がライターとして書き、最後にこちらが校正編集を加える、というような、作業フローが確立されている仕事でした。お互いに他の工程のワーカーさんの名前すら知らない状況でしたが、フローが確立され業務の範囲が定まっていたため何らの混乱もなく仕事を遂行することができます。このフローで作成される原稿はこのクライアントにとっては最も大事な資産になりますが(つまり重要かつ緊急性の高い業務をフリーランスのワーカー群が担っていることになります)、作業フローが確立され各人の業務の範囲が決まっていれば、フリーランスであっても業務を担うことができるということになります。カギは、業務をどのように定義できるかということです。

フリーランスの起用は社内業務の見直しのきっかけにもなる

フリーランスを起用する際には、依頼する業務をうまく設定できるかどうかが重要になります。うまく設定するためには社内業務の棚卸をしておくことが必須です。フリーランスのワーカーに業務を委託する機会を、社内業務の棚卸のきっかけにするという考え方もあります。

上記の図の4つの区分に自社の業務を改めて割り当ててみて、フローの改善が必要なところは改善をし、不要な業務(つまり、重要でも緊急でもない区分に入る業務)は思い切ってやらないことに決める、というだけでも業務が効率化かもしれません。

フリーランスワーカーに依頼する業務

業務の棚卸をした結果、「この業務に知見やスキルのある人が社内にいない」「この業務進めたいけどひとり雇うほどでもない」といった業務があれば、それを依頼してみてはどうでしょうか。フリーランスのワーカーはその道のプロフェッショナルですので豊富な知見や知識、技術を持っています。その人に仕事を外注することで、内省するよりもレベルの高いアウトプットが期待できることでしょう。ただし、業務委託のワーカーには、雇用契約と同じような指揮命令をおこなうことはできませんので、業務の範囲を決め、要件定義をきちんとして、依頼を渡すようにしたいところです(フリーランスや業務委託契約に関連する法務の話はまた別の機会で書いてみたいと思います)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?