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女 ひとり 家を買う〜リフォーム超奮闘編③〜

 Twitterをフォローしてくださってる方はご存じだと思うのですが、先月ネコリアンが急病で生死の境を彷徨ってました。
 生存は厳しいと言われていたのですが、先生も「な、なんとかなった…!!?」と驚く程の回復を見せ、現在無事復活しております。
 良かったよぉ〜ネコリアン〜〜!
 一緒に新しいお家に行けるよぉ〜!
 たくさん応援して下さった皆様、本当にありがとうございました……!!!

  

 ネコリアンロケットも再び毎朝発射されるようになりましたので、話をリフォームに戻します。
 今回は請負契約です。

  
〜〜〜〜🚢💨〜〜〜〜


 フック船長の異常な速度を出す船に乗った私は「契約書が出来た」という報せを受けて、当日事務所へ持っていくものの準備をした。  
 まずはハンコ。ハンコ文化。
 次に菓子折り。これは電話応対をしてくれた事務員さん用である。門前払いを喰らい続けていた私の話を聞いてくれてその場で予定を組み立ててくれた事務員さんには感謝しても仕切れない。
 そして封筒に入った、作業員さん達への心付け。別に無くてもいいけど渡したかっただけ。

 フック船長の事務所は、普段私が通ることの無い道沿いにあった。めちゃくちゃ大きいわけではないが、ポップな看板が設置されている。
 5分前に到着して中に入ると、船長と数名の乗組員、違う、事務の方がいた。

「こんにちは、ジョーさん。遠い所をありがとうございます」
「こちらこそ、お世話になります」

 なんというか、「日当たりの良さを活かし明るい事務所にしたぜ!」という印象の内装だった。日当たり大事。新居も日当たりと風通しの良さは一級です。(日照マウント)
 ちなみに出されたお茶はペットボトルだった。お礼を言って、忘れて帰らないようにいそいそとバッグにしまう。断ったりはしない女。

「さて、先にいくつかお伝えする事がありまして」

 椅子に座った私の目の前に、フック船長がリフォームの図面を広げた。

「補助金に余裕がありましたので、一部ではありますが基礎の補強をプラスして組み込んだものがこちらになります」

 基礎!!
 
「ここにコンクリを入れて補強をする事で、耐震評価を1.5まで持っていく事が可能です」
「お、おぉ……」

 ちょっと書き出します。
震度6強から震度7クラスの地震に対する耐震判定値

1.5以上…倒壊しない
1.5未満〜1.0…一応倒壊しない
1.0未満〜0.7…倒壊する可能性がある
0.7未満…倒壊する可能性が高い

 補助金をもらって耐震工事をする場合、この判定値(耐震診断によって調査)を1.0以上にしなければならないという縛りがある。正直1.5以上は全面今風の基礎にしないと無理かな、と思っていたので有難い。
 もっともこの判定値は新しい耐震基準によるものなので、例えば『関東大震災を乗り越えた○○造りの歴史的建造物』とかになるとまた別の話になるとは思います。

「これで補助金内ギリギリになります」
「お世話かけます。ありがとうございます」
 
 しかし本当に仕事が早い。四月からの建築系の工事の法改正に関係しているとは言え、それでも早い。
 そして出される工事請負契約書。
 約款を使用した、普通の契約書である。私が年明けに「ふざけんなよ」てなってた契約書は、おそらくわざとというよりも緩々な時代の古い契約書を使い続けてたんじゃないかな。まぁ、普通に嫌ですけど。法的な業務についてアップデートしない会社。

「まずは耐震補工事の契約です。ジョーさんからの負担金はありません」
「はい」

 住所と名前を書いてハンコをポコポコ。
 みんなが払ってくれた税金が、今私の新居の耐震になってるぜ!ありがとう、みんな!私が払った税金もみんなの住に使ってくれ!

「次にリフォーム工事請負契約になります。工期についてはコチラです。出来れば4月に間に合わせたいので、取り掛かりがこれより早くなる可能性もありますが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です。駐車場も、工事開始2日前に言って頂ければ問題ないです」
「トラックの置き場所を解決していただけるの本当助かります」

 いえいえ。手配してくれるの、ヤッケ先生ですし。あ、でも貸してくれる人にはちゃんと後でお礼するよ!

「今後の流れとしては、フック船長からの工事開始日の連絡を待って駐車場を手配。私はそれまでに残しておいてほしいものを分かるように仕分けしておけば良いでしょうか?」
「それでお願いします」

 ハンコをぽっこんぽっこん押していく。さすがに家を買った時よりは少ない。あれ本当多かった。分厚いから割印がやたら難しいし。
 いくらかの時間をかけ全てのハンコをボコり終えた私は、雑談をしながらおもむろに「よろしければ」と菓子折りを取り出した。

「電話で問い合わせした時に事務の方にとても丁寧に対応頂きましたので」

 いや、本当めちゃくちゃ良かったんです。これで工事もしっかりしてもらえたら、今後私は不動産関係もリフォーム新築関係も「紹介して」て言われたらここを紹介しようと思ってるよ。特にペット飼ってる人には。何故ならフック船長がそっちに力を入れているので。

 雑談する私の目には、ラックに飾られたペット住宅についての冊子が映っていた。

「ペット用の住宅も提案されてるんですね」
「今はペットを家族の一員として考える方も多くなりましたからね」

 そうだね。フック船長、飼ってる猫ちゃんにお腹で爪研ぎされてるもんね。好感しかない。

「僕、今年ペット住宅の資格取ろうかなと思ってて」
「(おお!)それって、飼養管理士の資格持ってたら受けられるやつですか?」
「そうです!」
「私も近々取ろうと思ってるんです」
「お仕事の関係ですか?」
「……いえ、全然」
「えぇ……?」

 仕事には使わなくても学んでおきたい事が人生にはたくさんあるのだ……。

「ペット住宅のと一緒に持ってたら良いかなと思って先に去年宅建取って」
「お仕事には」
「……全然関係ないです」
「待って!活かしましょうよ!!もったいない!!」

 今の会社が好きなもので……。
 もしこの先職を失うような事があれば面接受けに行くから、問題なければ私を拾ってくれフック船長……。ちゃんと勉強は続けておきますので……。

 その後は、ひとしきりキャットウォークの話で盛り上がった。我が家のキャットウォークは確実に私の手製になるので、ご期待ください。DIYの部分が多い。
 楽しみにしててくれ、ネコリアン。フラスコ画ネコリアン。かわいっ。

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 たまに「どのくらい近づいたらネコリアンがゴロゴロ言い始めるか」のチキンランならぬネコリランをやってます。
 犬はそろそろ健康診断に行かなければ。

 約1時間程滞在して、私は腰を上げた。

「それではよろしくお願いします(ペコリ)」

 車に乗ってから心付けを渡すのを思い出しダッシュで戻った。

「わぁぁぁ!すみません!これ!これどうぞ!作業の方の休憩に使ってください!」
「だ、大丈夫です!お気持ちだけで!!本当!!」

 渡せなかった。
 ので諦めて差し入れを持っていく方向にした。

 再び車に戻った私は、久方ぶりに胸を高鳴らせていた。やぁやぁ、やっと始まるぞ。
 遠回りこそが、俺の最短の道だった。
 景気付けに肉食おうぜ、肉。1人で行く食べ放題の焼肉は、割とおススメです。自分のペースで延々食べられるのがいい。ロースとカルビで廻していく。もちろん親しい人と食べても美味しい。美味しいものは、どう食べても美味しいのだ。

 フック船長の工事プランによると、先に離れを解体してから耐震に入り、内装と土間の建設に入るとの事だった。
 後で分かる事だが、離れの解体により我が家の日当たりは更に良くなった。洗濯物干し放題である。土間があるから梅雨時の洗濯も怖くねーぜ!
 工事までに必要なものの仕分けをしておかなくては。


 翌日。
 大通りに通じる路地を歩く私の目に【不要なアンティーク品、引き取り、買取りします】という看板が飛び込んできた。店頭にはレトロ家具をリメイクしている店主さんらしき人がいる。
 ……解体予定の離れの中には、色んな物があったなぁ。
 決断力の鬼なので、さっそく声をかけた。

「あの、近日解体する倉庫(離れ)があるのですが。よろしければ来てお好きな物を持って行かれませんか?」

 
 

〜続く〜
次回はリフォームからちょっと脱線して『アンティークショップへ旅立つ倉庫の物たち』の話。
 

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