女 ひとり 家を買う〜リフォーム超奮闘編②〜
フローリングの見本をお見せにしに行きますね!
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もっかいじっくりお家拝見しますね!
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こないだお話し頂いた内容で見積もり出しました!現地で打ち合わせしましょう!
この間、10日である。
フットワーク軽すぎない!!??
ギルド長の遅すぎる行動に慣れすぎて、フック船長の俊敏さが怖い。
あとフローリングの見本も山盛り持ってきてくれた。
ちなみにフローリング。最近の流行は、私が使いたいタイプと色のものらしい。少し前まではナチュラル系のカラーだったように思うが、「古民家風が流行ってますからね」との事。なんだと?こちとら本物の古民家だぞ?(安全面的に無意味すぎる築年マウント)
こないだとか少し気温が上がったら雨戸の隙間からアシナガバチがいっぱい出てきて「うぉぉぉぉ!!」と退治してしまった。(覗いたら小さな巣が3つあった。人がいない家だからなぁ…)
ミツバチならまだいいけど、アシナガバチとスズメバチはアカン。残念ながらここは私が守る私の縄張りなのである。あと鼠と蝙蝠もNGです。見た目はめちゃくちゃ好きだけど、野生の個体と一つ屋根で暮らすとか危険すぎるので。
田舎暮らしというのは、わりと自然による危険が多い。私は蛇や蜂は「毒を持ってたら危ない。持ってなかったら別にいい」くらいなのだが、ただ一つ掌サイズを超えるアシダカグモだけはアウトだ。益虫だと頭で理解していても、「わ、わ、わ、わ!!!」てなる。小さいクモは大丈夫。ハエトリグモとかは、夏場よく綿棒を使って水をあげている。小蝿を獲ってくれる頼もしき傭兵よ。タランチュラ系も大丈夫なので、あの脚の長さがダメなんだと思う。せめて帽子でも被って二本足で颯爽と歩いてくれていれば。
なのでアシダカさんが出ないように、私は徹底してゴキブリ対策をしている。奴がいる家にアシダカさんはやってくるから、侵入さえ許さんぞ。ちなみにゴキブリに対する負の感情は特にない。会社で「きゃー!ゴキブリ!」と悲鳴が上がったら呼ばれる係。
そんな田舎の古民家暮らし。
今年中には引っ越したい。
これ読んでる人、私が引っ越せたらマジで「おめでと〜」と言ってくれ。
そんな訳でさっくりとフローリングを決めた私は、連絡を受け単身新居へと向かった。犬は連れて行っていない、さすがに。先日一緒に行ってた際に、「ふんふ〜ん✨」と散歩してたら工事のお兄さんに出会って。1回目は「土佐犬!?いや、無理無理💦」だったけど、2回目会ったら「え?触って大丈夫なんですか?うひょ〜!」てめちゃくちゃ撫でに来てくれた。
余談だけど「撫でても大丈夫」と飼い主側が言う犬を触る時は、まず掌を犬の口より下の位置から近づけてニオイを嗅いでもらってからの方がいいよ。そして出来れば頭のてっぺん以外をお勧めするよ。あそこをいきなり撫でる事が出来るのは、うちの犬を例にしていうと『何度も会って仲良くなってる人』か『飼い主』かの二択なんだ。フレンドリーな犬でも、いきなり頭のてっぺんを撫でようとすると手のニオイを嗅ぐ為に避けたり、場合によっては塩対応されたりするよ。ベストは飼い主に「どこを触るのが良いか」を聞く、かなぁ。
あと「撫でても大丈夫」と飼い主が言ってないワンコに無理に近付いたり勝手に触ったりするのはお互いが不幸な結果になってしまう事があるから、出会ってもそっとしておいてあげてね。
もちろん、我々飼い主側も飼い方だけでなく、周辺に対して社会のルールとマナーを守る必要があるよ!みんなが犬が大丈夫な訳じゃないからね!✨
さて、一人で訪れた新居。
季節はちょうど梅の頃を迎えようとしていた。
棚田の脇道に菜の花が咲いているのが見える。食用菜の花も畑に植えたい。全てが食べ物に見える女。
少し早めに到着した私はやる事もないので、前庭の花壇部分の土をせっせと掘り起こしていた。昨年じゃがいもをお裾分けしたお隣さんが家屋を解体して引っ越してしまったので、日当たりが更に抜群になっている。何もしてないのに家の中もヌクヌクだ。それでいて、風通しが抜群に良いので開放すると夏でも暑さを感じない。まぁ、予算の関係で網戸は全部自分で貼りますが。猫の爪に強いタイプの網戸、なかなか良い。うちはそれに更にフェンスをしてネコリアンの脱走対策をしています。新居ではフェンスの代わりに二重扉で対応する予定。
DIYをする部分とかも全部決めてるので、フック船長との1回目の話はスムーズ過ぎるほどスムーズであった。向こうもまさか私があんな目に遭っていたとは知る由もないので「判断が早い」客認定されているかもしれない。鱗滝さんもビックリだ。ある意味強くてニューゲーム。弱いままでいたかった。
車の音が聞こえたので、私は庭から出た。会うのは3回目だけど、まだ顔を憶えてないので探り探り声をかける。良かった、フック船長だ。出来ればキャプテンハットとか被って登場してほしい。
「先日は雨の中ありがとうございました」
「こちらこそ。本日もよろしくお願いします」
お互いに挨拶をすませて、家の中に入る。この日もフック船長はたくさんの資料を抱えていた。
六畳間の真ん中に座り、色々と広げ始める。
👷♂️「え〜、ではまず建築基準法の歴史からお話します」(分厚い本を開く)
🙎♀️oO(……そこから……)
👷♂️「19××年の段階では、まだ建築についての基準は定まってはいませんでした。大きく変わったのは、やはり阪神大震災の後です。基準を満たさない建物は建築出来ない決まりになりました」
🙍♀️oO(建築基準法で点を落としまくったトラウマが蘇る…)
👷♂️「ジョーさん宅は新耐震基準前の建築ですので、基準点以上に持っていかないといけません」
🙍♀️oO(現状で新耐震基準以前に建てられて基準点以下のお家に罰則があるわけじゃないから、これ読んでドキッとした方は安心してね)
👷♂️「先日お預かりした設計図(パラディン作。著作権はパラディンにあるが私にも所有する権利がある)を見る限り、かなりギリギリの所を通そうとしてたんだと思います」
🙍♀️oO(費用の関係かな…)
👷♂️「で、ここからはあくまで提案ですが。実の所、この設計を使わずに造った方が頑丈で値段も安くなります」
🙍♀️oO(費用の関係じゃなかった……)
👷♂️「設計費用はうちが持ちますので、一回設計図から作り直して見積もりを持ってきました」
設計図から作ってきてたの!!!!???
あれ、30万以上するやつだぞ!?
本を閉じたフック船長が続けて、作ってきたという設計図と耐震の見積書と建材の冊子を畳の上に並べ始める。
👷♂️「ジョーさん宅の元々重量の中心、つまり『重心●』はここ、そして耐震補強をして強さの中心である『剛心◎』をここにします」
👷♂️「この2点が離れれば離れる程、家は揺れに弱くなります。耐震補強後、密着するので造りとしては揺れには強いということになります」
🙍♀️oO(なるほど……)
ていうか、この話初出でしょ。
私も初耳です。パラディンやギルド長はその話すら私にはしなかったわけである。プリプリ。
👷♂️「今回素材は○○を使います。△△という手もありますが、耐久力が段違いなんです。後々のメンテナンスも不要になります。あちらの壁を壊し、○○を入れて、この金具で留めます。基礎を丸々造るとかではないのでやれる範囲にはなりますが、耐震点数は元の設計図よりも上を予定してます」
🙍♀️oO(すごい説明してくれる……。いや、これが本来あるべき姿なんだろう……)
👷♂️「そしてこちらが見積もりとなります。全て補助金内で納まりますので、ジョー様の耐震分の負担はゼロになります」
なんとこの見積もり、私が年明けに「何これ!?」てなってた物よりも35万安かった。
つまり耐震力が低い上に費用がかかる工事が予定されていたわけである。鬼すぎるだろ。さすがの無惨様も鬼にするか悩むレベルで既に鬼だわ。
👷♂️「あと、アスベストについてですが。先日詳しく調べた所、僅かに含まれている可能性があります。と言っても粉にして散らさない限りは大丈夫なのですが、4月以降の工事となると面倒な事になります」
🙍♀️「砂壁部分でしょうか」
👷♂️「そうです。ですが含まれているとしても微量ですし、まずは問題ないと思います」
🙍♀️oO(砂壁部分は漆喰を塗る予定だから封印出来るだろう)
突然だけど去年の宅建10月のホルムアルデヒドの問題で間違った人いる〜?
私ですぅ〜🙋♀️
石綿(アスベスト)は完全NGだからホルムアルデヒドも駄目だと信じて選択肢選んだら、「ちょっとなら使ってもいいよ」って何だよそれ〜!てなりましたぁ〜。クッソ〜。
👷♂️「また、内装ですが先日の内容で見積もりを出しております。家屋(離れ)解体、害虫駆除、床を剥いでのリフォームとかなりボリュームがありますので、こうなって……おり…ますッ……」
すごい遠慮がちに出してきた…。私が最初に言った予算は一応後で建材が値上がりして金額が変わった時の為に余裕は持たせてあるのだが……。いったいどれ程の……。
フック船長から渡された見積もりを見て、スマホを取り出し電卓を叩く。
🙍♀️「大丈夫です」
👷♂️「だ、大丈夫ですか…!?」
大丈夫です。地震に強い家と自分では出来ない部分のリフォームさえ出来ていれば、後はなんとかする。何しろ犬猫の主な住居となる和室部分(今後はフローリングになる)は屋根以外の建材を替える勢いなのだ。費用がかかるのは大前提。屋根はまたお金を貯めて最新のに替える。
先日夜中に「大地震です」の警報が町内放送で鳴り響いてビビり倒してる私は、犬猫の安全を第一に考える。前も言ったけど、私に何かあったら遠方の友人よ、よろしく頼む。友人名義にしてる保険金を使って良い里親さんを探してあげてほしい。
フック船長のフットワークの軽さも大概だけど、私の決断力もなかなかのものであると思う。「え!?いいの!?」みたいな顔をするフック船長に私は「これでお願いします」と告げた。
👷♂️「で、では話をこれで進めさせていただきますね、ありがとうございます!さっそくですが、いくつか説明したいのですが」
相変わらずのフットワーク。
私はフック船長に連れられて土間へと向かった。
話によると、離れを解体した際にどこで土間を切るのかを決めなければならないらしいのだが。
👷♂️「ガスを使われるのでしたら、土間が多少小さくなりますがここで切るのを提案します。そうした方が屋外に設置するガス管の収まりがいいです」
🙍♀️「分かりました。それでお願いします」
離れついては費用を考え「基礎部分のブロックは放置してもらっていいです…」と伝えてたんだけど見積もりを見たら基礎撤去も込みだった。それでもギルド長と変わらないという。ただコンクリは残してほしい。なくてもいいけどあると窯が作りやすい。
👷♂️「トイレですが、タンク式の簡易水洗にしてます。温座機能は必要ですか?」
🙍♀️「不要です(尻が燃える)」
👷♂️「お風呂の蛇口を便利なやつに替えてもいいですか?」
🙍♀️「お願いします」
キャップもそうだったけど、風呂に凄い気を遣ってくれる。今の家、シャワーの元の部分が壊れてて洗面器で湯をすくってるとか言えない。
👷♂️「フロアシートの柄については、また見本をお持ちします。……あと、これ絶対お聞きしたいんですけど……」
な、なんだ…?
👷♂️「冷蔵庫は、どこに置きます?」
れ、冷蔵庫…?
そ、そういえば、このキッチン…!
🙍♀️「謎空間でしたね、ここの造り…!」
今までの業者を全員困惑させてきた謎キッチン。低いコンロ台(レンガでも積もうかと思ってる)が冷蔵庫の置き場所を奪っているのである。いや、置けるには置けるが、幅70センチ以下という縛りが存在している。
これについては2人であらゆる可能性を話し合い、それでも結局70センチ縛りの空間しか存在しないという結論になった。あとは隣室に置くか。嫌だよ。動線が悪すぎるわ。
その後も駐車場を含め細々とした打ち合わせを行ったが、フック船長のスマホは結構な頻度で鳴っていた。忙しいな、船長。仕事があって何より。
その忙しさのせいか船長は私に先日アスベストについての説明をしていた事を忘れ、同じ話をまた最初からしてくれた。「この間聞きました」と言うのも失礼な気がしたので、私もまた初耳の顔をして聞いていた。
👷♂️「それでは本日はこれで失礼します。耐震補助の変更書類はこちらでしておきます。契約書を作っても大丈夫でしょうか」
🙍♀️「問題ありません。よろしくお願いします」
👷♂️「……それにしても。女性お1人での一軒家ですと防犯面での心配が大きいのですが……こちらは大丈夫そうですね」
そうそう!
忘れてたけど、フック船長は先日フローリングの資料を持ってきてくれた際に餅、違う、犬と会っているのだ。私がお勧めする弾力が素晴らしい尻の辺りを触って「おお……」と楽しんでくれていた(多分)
なおフック船長のこうした理解ある対応の理由は、後日判明する。
しかしながら防犯に関してはうちの餅は「怖いものは全部ジョーが何とかしてくれる!」という生き方をしているので、戦うのは私です。
というのは半分冗談で。
さすがの餅も土佐闘犬としての体格と力は存在しており、知らない人間が家に無断で入って来る事をとても嫌う性格なので、お互いの安全の為に泥棒は来ないでほしい。来てもマジで何もないし。抵当権付きの家しかねぇぞ!
さてさて。
フック船長を見送り、新居へ施錠をしに戻った。鍵くらいは交換しようかなと思ってる。古い家なので鍵も古いのだ。防犯ではなく、犬が体当たりした時に反動で外れそうなので。
しっかり施錠をして、私も車に乗った。契約を終えるまでは銀行に連絡するつもりはないので、やるべき事は室内灯の用意くらいだ。
今回フック船長に許可を貰って持ち込んでつけてもらおうと考えている。友人も一個キッチンのをお祝いで買ってくれるし…!すごく素敵な国内メーカーさん達を見つけてしまったのだゲヘゲヘ。回せ回せ、経済を回せ。
毎日見る照明だから、しっかり選ぼう!
ゲヘゲヘ。
肉でも食って帰るか…!
私はこの一年ですっかり見慣れてしまった景色の中、アクセルを踏んだ。
————数日後。
👷♂️「契約書が出来ました!」
フットワーク軽すぎない!!!???
③へ続く。次回『フック船長の事務所』
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