女 ひとり 家を買う 最終話
ウナナナーン
ウナナナーン
引っ越しネコリアン♪
さてさて。
引っ越しの前に私にはまだやる事があった。
田舎生まれの田舎育ちとは言え、現代の衛生環境に慣れたひ弱なヒューマン。ペットボトル以外の天然水生活はさすがに初めてなのである。不安がないと言えば嘘になる。
そんな折、集落の神祭に引っ越し前に参加していた私は「ここの水は今まで一度も枯れたことがない」「水神様も奉られてる」(そういう滝がある)という何か良い感じの伝承の他に「検査は行政がしている」「ピロリ菌が検出されたこともない」という最も旬な情報を手に入れた。
水の問題ってガチで大きいと思う。ガスはプロパンがあるし、電気は割と引いてもらいやすい。けど水はな〜。山奥で沢の水使って暮らしてた人を知ってるけど、飲料水は市販品だし、雨の日は生活水も泥水になってるしで大変そうだった。
安心出来る話を聞いて、早速用意していた『水検査キット』を引っ越し前の新居に持ち込んだ次第である。
箱に入ったコンパクトな簡易キットで、いくつかある容器に水を入れるとそれぞれの成分が表示されるというものだ。
購入したのは
・pH(酸性〜アルカリ性)
・硬度(軟水〜硬水)
・鉄分含有量
・亜硝酸含有量(ヤバい汚染)
・COD(有機物汚染)
の5つが測れるやつだった。
まずはpH。水道水は5.8〜8.6と定めされているとの事。ちなみに中性は7。
画像の感じだと7.5くらいかな。
次に硬度。最初の難関。何故なら井戸や地下水といった汲み上げ水は硬水になりやすいとあったからだ。ちなみにエビアンは硬水。先に言うと硬水にも大きなメリットがあって、動脈硬化の予防や心筋梗塞、脳梗塞のリスクを減らしてくれるらしい。
だが日本の水道水は軟水である為、快適な生活に必要な給湯器もそのように設計されているものが多い。つまり硬水だと故障の原因になりやすいのだ。
私は用心深いので一応この点についても神祭の集まりの時に聞いていた。とりあえず水が原因で壊れた事はない、と言う話を信じ容器に水を入れる。頼む…!
た、多分20以上50以下だ…!
60以下は軟水なので、軟水のはず…!余談だけど日本の水道水は50くらいだそうです…!
よしよし。
では次に鉄分。
これは完全にゼロだった。
特に問題ないのでいいです。
それでは亜硝酸。
こちらもゼロ。
これが多かったら、飲料水として使えない。
最後にCOD。
これは高い。
原因を探らなければ。
探った。
色んな記事や研究結果を見て、最終的にこちらhttps://lib.sugiyama-u.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_action_common_download&item_id=2010&item_no=1&attribute_id=44&file_no=1&page_id=13&block_id=21の内容が状況的に酷似している事が分かった。
つまり「自然の有機物」が入っている状態だ。
検査したのは、日本が「梅雨明けたんですか!?」「梅雨明けてないじゃないですか!ヤダーー!!」てなった戻り梅雨のど真ん中。連日の雨の最中であった。
集落の方からも「雨の日は水が濁るから出しっぱなしにした方がいい」と聞いていた。
これだ。と思う。
…………。
まぁ、浄水器使うしな。
使うんかい!と思われるだろうが、犬猫人の為に安全性を高める必要がある。普通に使う。
ピロリ菌が検出された過去がない事実があれば充分だ。
これで引っ越し前の全ての準備が完了した。
ようやく出発の日が来た。
天気は晴れでも雨でもなく、普通の曇りだった。ほんと、史上最速の梅雨明けかと思いきやですよ。今年の天気変だよね〜。毎年言ってる気がする異常な気象。毎年おかしいのなら、もはやおかしくないのではという気がしなくもない。我々が進化すべきなのだ。
当日は荷物が運びきれなかったので一回詰め込んで持って行ってから、風呂に入り、犬と猫を車に乗せた。
プップー!出発〜!!🚙💨
犬は走り慣れた道だがネコリアンにはかなりの距離になる。春の急病時以来のドライブだ。だが犬がいるからか、クレートに入れられて助手席に固定されたネコリアンは一度も「出して」と鳴いたりしなかった。
新居には日暮れ前に着いた。
日没にはまだ時間があるものの雲が厚く、辺りはすでに薄暗くなっていた。家の中は少しひんやりしていた。後に判明する「夏なのに朝晩普通に肌寒い」生活の幕開けである。
まずネコリアン入りのクレートを部屋の隅に置いた。さすがに「ここどこ!?」になっているネコリアン。庭で犬のトイレを済ませて、我々も玄関を上がる。裏口からの方が段差が少ないのに絶対に玄関から入ろうとする犬。何からの台を用意したい。
室内は最低限の生活が出来るくらいには整えていた。同日の1度目の往復で持ち込んでいた使い慣れた毛布がベッドに敷かれている。ネコリアンのトイレは新調したが、ネコリアンなので問題ないだろう。
ふんふ〜ん♪と家の中を歩く犬を見ながら、ゆっくりとクレートを開いた。
猫にとって環境の変化から生じるストレスは大きい。中には体調を崩してしまう子もいる。慎重にいかなければ———。
ふ、普通っスね……。
もっとこう、恐る恐る歩いたりとか。
ちなみにこのヤベぇことになっている椅子はネコリアン専用の爪研ぎ場です。
いやぁ、寛ぐなぁ〜〜。
問題ありませんでした。
この日はまだガスを通してなかったので、人間はスーパーの惣菜を夕食にして就寝。
一年半通って草刈りやDIYをした新居の天井は、もうすっかり見慣れたものになっていた。ご近所さんへの挨拶も済ませているし、順風満帆だ。あとはまたお金を貯めて、犬猫の安全の為に屋根を地震に強いものに替える。
使い慣れた毛布のにおいに釣られて犬がベッドに上がってくる。あちこち走り回って探検していたネコリアンも定位置(私の横)に来た。シングルベッドを2つ連結させた特大ベッドは、我々トリオを乗せてもまだ余裕がある。
朝になったら荷物を片付けつつ、畑を見に行こう。
実は既に小さな畑を作って試験的に作物を植えていた。住みながらもっと大きくしていくし、植樹も進めていく。まだまだこれからだ。
木は柿と梅とサクランボとレモンと柚子と梔子(クチナシ)と無花果(イチジク)と……たくさん植えたい。
夏の終わりの畑にはジャガイモとタマネギを植えて、時期をずらしてから大根の種も蒔こう。
パンやピザを焼く窯も作らないとな。
伸び伸びと寝ている犬が「ぷしゅ〜〜…」と満足げな長い息を吐くと、枕元にいたネコリアンがゴロゴロと喉を鳴らした。
耳を澄ますと川のせせらぎが聴こえてくる。
私は、やっと『帰る家』に辿り着いた気がして。
「ただいま、私」
と天井に向かって呟いたのであった。
終わり
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我々トリオの源流生活やDIYの様子を動画にして時々配信する事にしました
文章では伝わらない、日々の空気感を時折お伝え出来ればと思います。解説や会話等は一切ないちょっとした日常の一コマですが、時間がある時や自然音を楽しみたい時などに見ていただけましたら嬉しいです。
もちろん犬もネコリアンも登場。
秋には干し柿も作るし、冬は火鉢で餅を焼くぞーー!!!!
家を買うnoteはこれにて終了いたします。
長きに渡り応援やコメント、サポートを下さった方々、本当にありがとうございました。
私のnoteを見てお家を買われたと話して下さった方々、素敵なお家おめでとうございます。これから先の素晴らしい日々を心よりお祈り申し上げます。
次回note更新は未定ですが、何かあれば記していこうと思います。
これからもよろしくお願いいたします!!
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