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女 ひとり 家を買う〜リフォーム超奮闘編①〜

 バレンタインが近づきつつあるので、私も先日友人からチョコを貰いました。ウィスキーボンボンをリクエスト。美味ぇ。マジ美味ぇ。無限に食える。


 ウナナナーン!!!(場面切り替えの音)



 それはそれ、あれはあれ。
 ここは買った家をリフォームする経緯のnoteであるので、あっちはあっちで対処していきます。でも何かにつけてネチネチと出していくからな。

 で。

 超奮闘編に突入しました。
 もしこの先再び「お前どんな運命だよ!?」みたいな事になったら、次は『激奮闘編』を予定しています。したくない。

 さて。
 振り出しに戻ったわけである。
 一年かけて振り出しに戻る女。タイムループものだったとは。破滅エンドを阻止しますわ!ウィスキーボンボン美味しくてよ!
 一年ぶりに行政のデータベースへと飛んで、そこから業者に電話をかけていく日々が再び始まった。
 データベースなので少なくとも無断で掲載されているわけではないだろうが、それでも『お気軽にご相談ください!』とホームページに書いている業者に電話して話をする前に断られるというのが続出した。一年前と同じである。

「一戸建ての耐震リフォームをしたいのですが、相談よろしいでしょうか?」
『おたくが?いや〜、今忙しいから無理だねぇ〜』

 みたいな流れが何度も続くと、さすがの私も「ウグゥ!」と歯を食いしばりそうになった。せめて予算を聞け。少し増やしたから。
 自分でも「値切りもせず、予算を先に提示して、出来る範囲でお願いする」横暴ではない客だとは思うのだが、まずそこまで辿り着けない。ギルド長の時とか、あんなに遅れに遅れても最後の最後まで怒らなかったんだぞ。(ギルド長は怒らせて私から契約解除させたかったようだが)

 とりあえず今日はここまでかけて成果がなかったらやり方を変えようと決めて、私はこりもせずスマホを操作した。

『はい、○○です』
「お忙しい所恐れ入ります。一戸建ての耐震リフォームを受けて頂けるところを探しているのですが、お話し大丈夫でしょうか?」
『はい、ありがとうございます。いくつかご質問しますが、大丈夫でしょうか?』

 急に普通の対応だ。連続してヤバかったから逆に怖い。

『リフォームをご検討されてますお家の住所を教えてください』
「〜〜〜〜です」
『今お電話されてますお客様の持ち家という事でよろしいでしょうか』
「はい。リフォームには補助金も組み込む予定で、その申請も終了しています」
『かしこまりました。一度お家を見せて頂いてからお話させて頂く形で問題はございませんか?』
「問題ないです」
『お伺いしてもよろしいお日にちはございますか?』

 フットワークが軽い。

 今までの電話が玄関先で追い出されていた状態だとしたら、中に招き入れられてモロゾフのプリンが出てきたくらいの違いである。声には出さないけど、甘やかされ慣れてないのでキョドりそうになる。

「直近ですと△日と×日が大丈夫です」
『かしこまりました。こちらで確認してすぐに折り返しをいたします』
「よろしくお願いします」

 折り返しがない覚悟すらしてしまうレベルである。今までの流れだとそれさえも予想範囲内という切ない状況。
 しかし折り返しの電話はすぐにかかってきた。

『△日にお伺い出来ますが、いかがいたしましょう』

 フットワークが軽い。


「○時でも大丈夫でしょうか?」
『問題ございません。では△日の○時に先程の住所のお家にお伺いいたします』

 フットワークが軽い。
 フットワークの軽い専門業者の社長という事で【フック船長(専長)】と呼ばせてもらおう。
 長い付き合いになる事を祈りつつ、電話終えた私は当日を待った。


 


 待ち合わせ当日。
 見積もりではなく、現地を見て工事を受けるかどうかの確認的な待ち合わせである。出されたモロゾフのプリンを片付けられてしまう可能性もゼロではないが、見に来てくれるだけで私的には好感度が高い。
 新居の前で車が停まる。
 ここでフック船長について簡単に説明しておく。
 開業数十年。耐震リフォーム、新築の他不動産業も営んでいる。以上である。

「はじめまして、フックです」
「はじめまして、ジョーです。本日はよろしくお願いします」

 実質、二回目のリフォームみたいなものである。家は3回建てないと理想の家にはならないというが、私は建ててもリフォームもしてないのにタイムループにより1回目を経験してしまった。
 なので説明が非常に淀みない。おまけにリフォーム箇所の迷いもない。

「どうぞ、靴のままでお上がりください」
「えっ?靴でですか?」
「全てフローリングにしたいので大丈夫です」

 今思えば多分この淀みのなさが「リフォーム慣れしてる」と思われてしまったのかもしれない。

「……不動産関係のお仕事されてます?」
「いえ、ど素人です」

 単にタイムループしてるだけです。
 悲しみの悪役令ジョーとして、家を案内していく。
 フック船長は、かなり細かく説明をしてくれるタイプの人だった。
 あと、猫ちゃん飼ってた。そこ大事。

「うちの猫は、寝てる僕のお腹で爪を研ぐんですよ。痛くて飛び起きた事もありました☺️💦」

 それ大丈夫!?
 お腹怪我してない!?
 ネコリアンはそういうのはしないタイプなので新鮮だった。遊んで欲しい時に、おもちゃを見ながらグ…グググ…とゆっくり爪を肌にめり込ませてくる事はあるけども。無言の圧力。アツリアン。犬は犬で、咥えたボールを結構なスピードでぶつけてくるし。君達本当に自由だな。新居に引っ越したら、もっと自由に楽しく過ごせるからな。

 そういえば、全然関係ないんですが。
 この日一番気になったフック船長の言葉は

「……この光景…見たことあるぞ……」


でした。

 どういうこと!!!??


 一瞬「note見てる…!?」とドキッとしたけど、全然思い出せないみたいなので「古民家の間取りってどこも似てるからでしょうかね」と流してしまった。
 ていうか、よく聞くと周囲の環境含め外観に見覚えがあるらしい。それは分からん。外観はネットにはあげてないし。
 今でも謎のままです。

「耐震補強のやり方について、もう少し詳しく家を調べたいのですがかまいませんか?」

 さて、1時間程がっつり家を見て周り話をし終わった後そう言われ、私は承諾した。
 フック船長のこのフットワークの軽さには、もちろん理由もあった。

「4月から施行される法律がありましてね」

 知っている。でもさっきど素人です、と言ってしまったので「知ってます」と返したら失礼な気がして私はフック船長の丁寧な説明を「ふむふむ」と聞いていた。(所詮私のは素人の付け焼き刃の知識であるので、船長の要点を纏めた話はありがたい)


 令和4年4月1日より、一定規模の解体、建築の工事に関してアスベスト(石綿)の調査結果の報告が義務付けられるようになる。アスベストとは、かつて使われていた建築材料の1つで現在では使用が禁止されている。1960〜1990年代に建築された建物には適度の差はあれど使用されている可能性が高いらしい。新居だと増築されてる部分の屋根とかかな。
 で、それの調査報告義務。つまり4月からは、解体や工事に関して規模によってそれの調査費用がプラスされるという事である。当然ながら私がしたい工事は適用範囲となる。めちゃくちゃ高い費用ではないが、決して安いものではない。2メートル幅の門扉代くらい。(分かりにくい)
 
「ざっと見た感じ、この家にアスベストが使われてる感じはないですし、検査費用がかかる前に工事に入れたらベストだと思います。……建材も春から値上がりするので、その前に手に入れたいですね」

 田舎は全ての影響が遅れて届くけど、それでもさすがに到着し始めた感がある。

「このご時世なので、うちも精一杯やらせてもらいます」
「ありがとうございます。ですが無理のない範囲でお願いします。費用もきっちり取って頂いて大丈夫ですので」
「承知しました。では後日家を詳しく見させて頂いて、ジョー様のご予定が合う日にご希望の一つであるフローリングのサンプルをお持ちします」

 フットワークが羽。
 これで急に「やっぱりお断りします」とか言われたら、さすがに人間不信になるかもしれない。

「○日でしたら大丈夫です」
「その日でしたら、ちょうど今お住まいの近くまで仕事で向かいますのですぐお会い出来ると思います」

 私はフットワークを探して空を見上げた。
 これが普通なのか早いのか、もはや分からん。まぁでも宅建業者さんは業法が強すぎるから、このくらいの対応の早さはあるのかもしれない。逆に言うとリフォーム業界は500万以下の工事も含め、これから法整備がされていくのかもしれないね。

「今日はありがとうございました。家の裏口を開けておきますので、気になる部分などはいつでも見て頂いて大丈夫です」
「こちらこそありがとうございました。また調査させて頂きます。では○日に」

 フック船長を見送り、玄関に一応鍵をかける。とは言え盗られて困るものとか一切ない。むしろ中のもの全部持っていってくれ。何度ジモティに出そうと思ったか。家を知られるリスクを考えてやめたけど。

 この日は犬を連れてきてなかったので、車に戻った私はそのまま帰宅した。
 フローリングを決めないといけないんだけど、ぶっちゃけ時間が1年あったので「この系統のフローリングにこの滑り止め」と決めている。トキメキの無さよ。あ、でも台所と水まわりのフロアシートの柄は決めてない。ちょっとときめいてきた。可愛い柄にしたい。

 目指すは大正浪漫!
 頑張ろー!!

 えいえいおーー!!




②へ続く。

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