夢なら覚めて〜別冊

おかしい、おかしい。絶対に、おかしい。夢だ、これは夢。こんな事が起こるはずがない。起こらない。何かが間違っている。そう、間違いなのだ。
なーんだ、やっぱり夢だったのか。

2021年7月13日 
夫の肺がん宣告、ステージⅣ

「手術はできません」
主治医がきっぱりとこう告げた。

それは、あなたの手術の腕が未熟で、若しくは経験不足で手に負えない症例だという意味ですか?それとも、手のつけようがない、手術してもほとんど無意味、もはや手遅れという意味ですか?
日本語は難しい。

世界は一瞬で変わるものなのだ。
世の中から色が消えるとはまさにこういうことなのだ。はからずもわかってしまった…気がする…気になった。

医者の口から出てきた言葉は容易に私を、そして夫を打ちのめした。

肺がん、ステージⅣ

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