たぶん回峰行

地上60階で働いている。一昨年、ふと思いつきで出勤した日にちを数えてみたことがある。何度数えても数は違ったけれど、おおよそ千日だった。

千日を少し越えた頃のこと。ご褒美みたいなことがあった。一見好ましいことではない。自分の脳の中を見た。能の舞台のように神経の柱が天井と舞台を支えていた。いや、見たその時にはオリンポスの神殿みたいだと思ったのだ。下方からは満月が(これは小脳なのだが)舞台や神殿をキラキラと照らしていた。

人間の脳の中には、神を祀る台座があるのだという。「あるのかもしれない」だったかな。坂田靖子の漫画の巻末の解説文で読んだ記憶。萩尾望都の文章だった記憶。その台座は、ぽっかり空いているようなのがいい。これはわたしが思ったことかな。




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