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星の子ポラリンと百年の生命

#創作大賞2024

地球から見た宇宙の中心にある
ポラリス星からやってきた
星の子ポラリンが
君の夢を未来に届けるよ!

とんちゃんわーるどの
とんちゃんに
一冊の絵本を届けたポラリン

本が大好きなとんちゃんは
ポラリンからもらった絵本を
夢中になって読みました

いのちかぁ…

うさ丸は空を見上げながら
ぽつりとつぶやきました

とんちゃんは思いました

『私も書いてみようかなぁ』

とんちゃんわーるどは
不思議がいっぱい

虹🌈の向こう側に行けば
願いを叶えてくれる
虹の女神様がいると聞き

とんちゃんはうさ丸達と一緒に
虹の女神様に会いに行きました

紫犬のコロちゃんも
とんちゃんについて行き
何だかとても嬉しそう😊💕

とんちゃんは早速
虹の女神様にお願いしました

『私を小説家にして下さい』

すると
美しい七色の光をたなびかせて
虹の女神様が現れ
とんちゃんに言いました

『あなたが昔可愛がっていた
 亀🐢のお話を書くといいわ』

誰かを大切に想う心が
あなたに素敵な作品を書く
不思議な力を与えてくれるでしょう

虹の女神様はそう言って
光の中へと消えて行きました

その様子を見ていたポラリンは
虹の女神様の生命の石を
大切に抱えながら何か考えてる
とんちゃんの心に

魔法の言の葉の杖を光らせて
そっと呪文を唱えました

全てはそうなることで
できているんだよ
今の君の思考が
未来の君を創るんだ

とんちゃんは色々考えて
まだこの世界にくる前に飼ってた
銭亀もん太のことを思い出し
夢を信じていた頃の自分を
思い描いてみることにしました

『妹と一緒に描いた夢を
もう一度…』

山から流れる川の水は
いつになく青くたなびき
気ままな空のさんぽを
楽しませてくれます
でも…

カモメの友達の銭亀は
大の人間好き

いつも人がたくさんいる所を
好んで遊ぼうとするものだから
カモメはいつもイライラムカムカ

このバカ亀!
そんな所でばかり遊んでたら
今に人間の垂らした釣り針に
引っかかって喰われちまうぞ!

まだ幼い銭亀は
少しだけ首を縮めて
『大丈夫だよ…だって…
人間は亀を食べたりは…
しないよ』

カモメはますます怒って
『お前は本当のバカだ!
人間は亀なんか玩具くらいにしか
考えてないんだぞ!
そんなふうに懐いてると今に…
殺されるぞ!』

そう言ってカモメは飛び去ります
いつもいつもその繰り返しです

ある日のこと
カモメの心配していたとおり
銭亀は人間の男の子の垂らした
釣り針🪝に引っかかって
捕まえられてしまいました

スーパーの袋の中に入れられた
銭亀はひっしでもがいて
袋に穴を開け
何とか逃げ出しました

でも
そこは硬いアスファルトの上
危うく車にひかれそうになった
銭亀を誰かが助けてくれました

かわいい小亀さん
もう大丈夫よ

赤いランドセルを背負った
優しそうな女の子は
銭亀をとても気に入って
『もん太』と名付け
家に連れて帰り
自分の部屋で飼うことにしました

狭くて退屈な水槽の中

それでも女の子はもん太を
とても大切にしてくれました
そしてもん太もそんな女の子を
とても大切に思うようになりました

そして三年の月日が経ち
まだ幼かった女の子も
すっかり女らしくなって
あまりお喋りもしなくなり
何だかとても悲しそうです

どうしたの?

もん太は心の中で女の子に
話しかけてみることにしました

すると日頃からもん太の気持ちを
解ろうとしてくれていた女の子には
もん太の心の声が聞こえたのか
呟くように話し始めました

『大好きだった男の子が
私のことブスって言ったの
友達だと思っていた女の子が
私のことバカって言ったの
ねぇもん太…
男の子達がみんな私を
好きになってしまうくらい
私が美人だったらいいのに
誰もが畏れいるくらい
私の頭が良かったらいいのに…』

女の子の目から溢れる
涙の雫を拭おうとしても
水槽の向こう側には届かないことに
もん太は何だかとても
悲しい気持ちになりました

『ねぇもん太…知ってる?
雨上がりの空には虹🌈が掛かるの
虹🌈は幸せの架け橋
幻だと思ってしまったら
決して渉ことはできないけど
信じて渉ることができたら
願いをひとつだけ
叶えてくれるのよ…』

もん太は不思議に思って
『誰が?』
と首を傾げました

『虹の女神様よ…
雲の上に住んでいるって聞いたけど
本当のところはどうか分からないの
きっと…
素敵な話なんてみんな嘘で
悲しい話だけが
本当のことなんだわ』

その夜
もん太は誰かが水槽のガラスを
叩く音で目を覚ましました

カ…カモメくん!
どうしてここに!?

『人間に捕まったお前の
バカ面を見にきたのさ!
ここ見つけ出すの
結構大変だったんだからな!』

『そうか…』

元気のないもん太の声に
カモメは溜息をついて言いました
『お前…
人間に虐められてるんだろう?』

『違うんだ…虐められてるのは
僕の命の恩人の女の子の方なんだ
僕は彼女のこと
今でもとても可愛いと思うんだけど
彼女の周りにいる人達は
そうじゃないみたいで…
いつも泣いてばかりいるんだ
彼女…
僕の心が声が解るんだよ
そして今日
虹🌈の女神様の話をしていたんだ』

『虹の女神様だって!?』

カモメの驚いた声に
もん太は少し期待して訪ねました
『カモメ君!
虹の女神様を知ってるの?
そうか!
君は空を飛べるものね!
だったらお願い!カモメ君!
僕を虹の女神様の所まで
連れて行って!!』

カモメは少し困った顔をしながらも
もん太を水槽から取り出し
背中に乗せて言いました
『なぁ…
虹の女神様に会うのなんかやめて
このまま山に帰らないか?』

『ダメだよ!僕がいなきゃ
また彼女は一人ぼっちに
なってしまう!』

カモメは暫く悩みながら
結局雲の上へと舞い上がり
もん太を虹の女神様の所へと
連れて行ってあげることにしました

虹🌈の女神様は
七色に輝く長い髪をたなびかせ
全て分かっているかのように
優しい風のような声で
言いました

『あなたは本当に
あの女の子の願いを叶えたいと
思っているのですか?』

少し戸惑っているもん太に
女神様は言いました

『願いを叶えるためには
私の命を削って出来た
石が必要です』

もん太は少し首を縮めて聞きました
『その石を頂くには
どうすれば良いのですか?』

女神様は微笑んで
もん太を手のひらに乗せ
少し悲しげに言いました
『私の命を削って出来た石は
私の生命
それを差しあげるには
代償としてあなたの命を
頂かなければ成りません

もん太…あなたの命は
このまま平凡に暮らせば
あと百年は生きられます

あなたはあなたに与えられた
百年の命を無くしてでも
彼女の願いを叶えたいと思うの?』

もん太は迷わず答えます
『僕の命は
彼女があの時の事故から
守ってくれなければ
無くなってました!
彼女にもらった百年の命!
彼女のためなら無くしてもいい!』

女神様はもう何も言わず
黙ってもん太に自分の命の石を
差し出しました

もん太はそれを口で受け取り
カモメの背中に乗せてもらって
女の子のもとへと帰って行きました

カモメが女の子の部屋の
窓枠に降りると
もん太はカモメの背中から
水槽の中に戻って言いました
『ありがとうカモメ君
感謝するよ』

カモメはむくれて横を向き
『感謝なんかされたくないね!
何でお前が人間なんかのために
死ななきゃならないんだよ!

お前は本当のバカだ!

自分の命も大切に出来ない奴に
他人を大切にする資格なんて
あんのかよ!

…馬鹿げてる!!』

そう言い切って
カモメは飛び去っていきました

でも
もん太には分かっていました
憎まれ口はカモメなりの
もん太への『友情の印』
なんだということが

『ありがとうカモメ君
…大好きだよ』

朝が来て
女の子は目を覚ましました

何だかぼんやりしています
ずっと変な夢を見ていたのです

夢の中に虹の女神様が出てきて
交わした言葉を思い返しながら…
女の子はベッドから降りて
窓の外をみました

夢で見たとおり
そこには七色の虹🌈が
掛かっていました

『正夢だわ!』

もん太の水槽の中に
青く光る石を見つけて
女の子は叫びました

そしてその石を
水槽から取り出すと
しっかりと手のひらに握りしめて
こう言いました
『これはまだ夢の続きかも知れない
でも夢なら尚更
あの虹の橋を渉ってみよう
女神様のおっしゃるとおりに…
ねぇもん太!』

『がんばれ!』
そう言ったもん太の
心の声が聞こえたのか
女の子は虹の橋を渉る決心をし
窓際から虹に向かって
足を踏み入れました

女の子はゆっくりと
虹の中央まで辿り着き
深呼吸して石を持つ手を高く掲げ
いざ!
願いを唱えようとした瞬間

一筋の光が射し
女の子の目の前に
虹の女神が現れました

『願い事を唱える前にひとつだけ
あなたに確かめておきたいことが
あります
あなたにとって
一番大切なことは何ですか?
美人になること?それとも
頭がよくなること?
愛情?それとも…友情?』

女の子は少し戸惑いました
女神は続けて言いました

『この虹の橋は
あなたの飼っている銭亀もん太が
自分の命と引き換えにしてでも
あなたの願いを叶えて欲しいと言い
架けられたものです

あなたはそれで良いのですか?

もん太に在るはずの
百年の命を犠牲にしてでも
自分の願いを叶えたいと
望みますか?』

『そんなのダメ!』
女の子は叫びました

『もん太は私の
かけがえのない友達!
いつも一緒にいてくれた
そんな大切な友達を
たとえ夢でも殺さないで!』

『確かめおいて良かったわ』
女神様は微笑んで
光の中へと消えていきました

窓際の水槽の中で
もん太は女の子の気持ちを知り
嬉し涙を流しました

もん太のことが心配で
引き返してきたカモメも泣きました
『人間も…悪くないじゃん』

気がつくと女の子は
ベッドの上にいました
『今のは…夢?』

女の子はベッドから降りて
もん太を水槽から取り出すと
手のひらに乗せて言いました

ねぇもん太…
とても素敵な夢を見たわ
お前が命懸けで
私の願いを叶えて
くれようとするのよ

もん太は綺麗な目で
女の子をじっと見つめていました

もん太は女の子に
こう言いたかったのです

『夢じゃないよ
本当のことだよ』

でももん太は思いました

(彼女がそれを夢だと思ってるなら
夢にしておいた方がいい
素敵な夢は
生きるための勇気をくれるから)

窓の外を飛んでいたカモメも
旋回するのをやめて
窓枠に止まりました

『あなたはもん太のお友達?
どこに連れて行ってもいいけど…
必ずここに連れて帰って来てね
もん太は私の大切な…
心友だから』

女の子はそう言って
もん太を水槽から取り出し

カモメはもん太を背中に乗せて
空高く飛び立ちました

『なぁもん太…』
とカモメが言ったので
もん太は驚いて言いました

『珍しいなぁ!カモメ君が
人間の付けた名前で
僕を呼ぶなんて!』

カモメは照れてそれには答えず
『なぁ…今日は三年ぶりに
川へ里帰りでもするか』
ともん太に聞きました

もん太は静かに
『うん』
とだけ答えました

川か…懐かしいなぁ
お父さんやお母さんは
元気にしてるかなぁ…
とんちゃんの妹が
昔作ってくれた
懐かしい手作り絵本


とんちゃんは自分自身の世界を
これからどう表現していくんだろう

ポラリンはこれからも
とんちゃんわーるどの仲間達を
見守りながら
とんちゃんの夢を
星に届けようと杖を振ります

夢はきっと叶うから

みんなも夢を諦めないで!

これからも
とんちゃんとポラリンを
応援してね!

宜しくお願いします🙇

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