スウ・ドン剣法免許皆伝53肩で風切る難場野郎

コロナ禍で稽古出来なかった間の収穫の一つだ。ナンバという歩行が昔日本にあったという事は知っていた。江戸城を歩く侍の所作、今風に言えば、ポケットに手を入れて手を振らずに歩く。右手右足同時出し、現代の歩き方と比べれば何だかおかしくも思える。現代の歩き方の源は、明治以降取り入れられた外国軍隊の行進にあるという。高校教師をやっていた頃は、体育祭となると、行進の練習を目一杯させていた。「手を振れ」「足を高く上げろ」そうしない奴は不真面目だ悪い奴だ。その頃は何も不思議に思わなかった。それが当たり前の正しい理屈だった。今でも甲子園野球に残っている。堂々と勇ましいと皆感動している。今自分は思うのだ。オリンピックの開閉会式の入場行進が一番いいと。皆自由に歩き観客に楽しそうに手を振っている。でも自分は「頭ー右」までさせていたのだ。天皇制を否定する訳ではないが。話が少し脱線したが、ナンバ歩行の良さは思っていた。でもあまり意識したことはなかった。NHKのEテレ朝の630からの子供向け番組見ててハッと気付いた。子供達が歌のリズムに合わせて、右手右足上げて下ろす、左手左足上げて下ろす踊りしながら進んで行く。阿波踊りにも少し似ている。これはナンバではないか。ナンバとは難場。山道の急斜面を登る時、人は右手で岩や樹をつかんだら右足を出して登る、次は左手左足と。その方が楽だから自然とそうしている。剣道の前進も同じではないか。その難場歩行的感覚でやってみると、すごい速く前進出来るのだ。蹲踞に入る三歩の時も同じだ。足出すと同時に腰を少し出す感覚をつかむことだ。すると自然に肩も少し出る。まさに肩で風切る格好になる。身体もとても素早くサササッと動かせるし、何だか気力も湧く気がする。肩で風切るはやはり威力があったのだ、やーさんに限らず。みんな、肩で風切るナンバやろうよ、とてもいいと思うがなあ。年寄りのたわごとと聞き流すあなたに収穫はなし。
俺は頑張るぞー!意気がって風を切る。