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何くるないさ〜

先日、とある友人の結婚式に参列するために沖縄を訪れた。会社の元同期の奥さんにお呼ばれしたその会は当日にアロハシャツが貸し出されるためスーツやドレスといったドレスコードはなく、ラフな格好でお越しくださいとのこと。何とも沖縄らしいその式に、いざ出席すると沖縄の食材をふんだんに使ったコース料理はもちろん、途中、現地の民謡歌手の方が歌う「島人ぬ宝」「涙そうそう」などで大いに盛り上がりを見せた。それもこれも、ご夫婦から醸し出される優しい雰囲気があってのことだった。これから彼らにたくさん訪れるであろう幸せを先取りし少し分けて頂いたような気がして何とも胸がいっぱいになった。

式は18時くらいにお開き。ぼくはその日の夜の最終の便で帰ることになっていた。式場からバスで1時間ほど揺られ、空港に到着し、お土産の物色はそこそこに羽田行き最終の飛行機に乗り込んだ。

離陸してから1時間ほど経った後、事件は起きた。飛行機に乗ってすぐに眠ってしまったのだが、少し気持ちが悪くなって目が覚めた。思い当たる節はある。式で泡盛を飲みすぎてしまったのだ。飛行機の座席は窓側。真ん中と通路側は知らない女性。一緒に来ていた友人は同じ列で通路を挟んだ窓側と通路側にそれぞれ座っていた。起き抜けでぼーっとしていた頭は徐々にクリアになっていったが、代わりに気持ち悪さが押し寄せてくる。まずい。だけど、さすがにこの状態で粗相はできないと思ったので、何とかトイレまでたどり着こうと、席を立ち、申し訳ないながらも、お二人を跨ぎ、通路まで移動。大丈夫、こういうときは意外に何とかなる。だが、前方のトイレに向かって歩き出した途端、視界がブラックアウト。気づけば、機内の床に倒れ込んでいた。どうやって倒れたのかも覚えておらず、既にCAさんが近くまで来られていた。とりあえず、前方に行きましょうということで、次に気づいたときは、トイレの横に座り、コップに入った水を口にしていた。

お酒の失敗は今まで生きてきた中で、なかったと記憶している。人前で醜態をさらすことはないし、耐えきれない時でも自宅あるいは、1人になってから人様に迷惑がかからない範囲と心に決めていた。だが、今回は自己ベストを軽く超えてしまった。その時は朦朧としていたので気づく余地もなかったのだが、同じ列で寝ていた友人は突然、すごい音がして飛び起きたらしい。ぼくがCAさんに連れられて前方に行くまで、他のお客さんの目もあっただろう。恥ずかしさと申し訳なさが時間が経つほど湧いてきたが、当然、後の祭りであった。(幸い安静にしていると、程なくして意識もしっかりし、気持ち悪さもなくなりました。)

何とかなるさの意で「なんくるないさ」という沖縄の言葉がある。しかし実際には、なんとかなるさの前に、(正しいことを、誠の事をしていれば)という枕詞を含むようだ。過去に戻って、式で調子に乗っている自分の頭を後ろから叩いてやりたい。そんな11月の沖縄でした。ご結婚おめでとう!!

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