改正民法条文語呂合わせ6

「改正民法条文語呂合わせ5」で平成30年度司法試験民法第1問について解法1を示しました。
 今回は、債権各論の売買の条文、567条を使う方法を解法2として書いてみました。しかし、前回と同様、1受験生として書いているので、正解かどうかは保証の限りではありません。みなさまのご判断で行ってください。
567条の語呂合わせ
★567条1項=売主が売買の特定物を買主に引渡した後、双方の責めでない事由で特定物が滅失、損傷したとき、買主の責任
→買主に引き渡された後、新型コロナ(567)で滅失したときは一番(1項)は買主の責任
567条2項=買主の受領遅滞のとき、売買当事者双方の責めに帰するできない事由で目的物が滅失、損傷したとき、買主の責任。
→新型コロナ(567)で荷物(2モツ)が無くなっても、買主の受領遅滞は、買主の責任
【問題要旨】再掲
1、買主Aと売主Bとの間で、松茸5キログラムを50万円で売る売買契約を結ぶ。
2、上記契約では松茸の引渡しは、9月21日に売主Bの倉庫において代金支払と引き換えと行う旨が定められました。いわゆる取立債権ですね。
3、売主Aは、松茸5キログラムを分離、準備した後、その旨を買主Bに対し、通知しました。すなわち、松茸5キログラムの特定がなされ、買主Aに対する口頭の履行があった。
4、ところが、買主Aは、売主Bの倉庫に行こうとしたところ、トラックがなく、売主Bの倉庫に行けないことになり、そのことを理由に松茸の受領を拒絶した。
5、この受領遅滞中に、倉庫に保管されていた松茸など全農作物がごっそりと盗まれた。このため、履行ができなくなった。
6、売主Aは、履行補助人Cに倉庫の鍵を二重にしろ、と命じたが、Cは1つの鍵しか使わなかった。これは、盗難にあった原因の一つにもなった。
7、売主Bは、買主Aの受領遅滞中に盗まれたとして、松茸の代金支払いを求めた。
【問題1】再掲
売主Bの本件売買契約に基づく代金支払請求を認められるか、理由を付して解答せよ。
【小生の解法2】
第2の解法=債権各論・売買の条文567条2項
語呂合わせは、
1、(目的物の滅失等についての危険の移転)
 567条2項は以下のように規定しています。
 「売主が契約の内容に適合する目的物(注意=前項で売買の目的物として特定した物に限ると規定)をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項(買主は、代金の支払を拒むことができない)と同様とする。」
2、上記条項の要件
 ①売買の目的物として特定した物、いわゆる特定物であること②売主が履行の提供をしたこと③買主が受領遅滞していること④当事者双方の責めに帰することができないことで目的物が滅失または損傷したこと
3、本問の検討
 売主Bは、山から採集した松茸の中から、買主Aに売却する松茸5キログラムを「分離」した上、「準備」、「通知」もしたことから、種類債権たる松茸から、特定物の松茸を選定したになることから、要件①を充たす。また、売主Aは買主Bに対し、通知したことから、口頭の提供をしたと言え、要件②を充たす。さらに買主Bはトラックが盗まれたことを理由に松茸を取りにいかず、受領遅滞に陥っていることから、要件③を充たす。加えて、売主Bの倉庫から松茸全部がごっそり盗まれたことから、要件④も充たす。
 このほか、売主Bが善管注意義務を欠いたか、という論点については、受領遅滞を規定した413条1項は、「債務者は引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保管すれば足りる。」と規定し、注意義務を軽減しています。このため、売主Bは注意義務は怠らなかったと言え、
この点でも帰責性はありません。
4、結論
 以上から、売主Bの本件売買契約に基づく代金支払請求を認められる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?