民事訴訟法・複雑訴訟総ざらえ2

民事訴訟法・複雑訴訟総ざらえ2
通常共同訴訟2
1、共同訴訟人独立の原則(39条)
①共同訴訟人間で、訴訟の目的につき合一確定の要請がない。
②共同訴訟人のうちの1人の訴訟行為や、共同訴訟人の相手方の訴訟行為は、他の共同訴訟人に影響を与えない。
2、具体例
 通常共同訴訟においては、共同訴訟人間での判決の統一の必要性がないので、共同訴訟人は、次のように、それぞれ他に制約されることなく独立して訴訟を追行する。
(1)共同訴訟人の一人がなした訴訟行為およびこの者に対する訴訟行為の効果は、他の共同訴訟人には及ばない。次のものがこれに該当する。
ア、訴訟の処分行為=請求の放棄・認諾、和解、訴えの取下げ
イ、弁論=主要事実の主張、相手方の主張に対する応答(自白、否認)。ただし、事実認定については共通原則がとられていている。このため裁判所は他の共同訴訟人が申し出た証拠調べの結果や弁論の全趣旨も考慮して事実を認定することができる。
ウ、共同訴訟人の一人に生じた中断・中止の効果(124条、131条、132条)は、他の共同訴訟人には及ばない。
(2)裁判所は、弁論の分離・制限・一部判決により、共同訴訟人の一人についての訴訟手続を他の共同訴訟人についての訴訟手続から切り離すことができる。
(3)上訴不可分の原則は共同訴訟人間では適用されない。共同訴訟人の一人について上訴が提起され、他の者について上訴が提起されなかった場合には、その一人に関係する判決部分のみが確定を遮断され、他の者に関する判決部分は確定する。
3、無理やり語呂
 この39条も語呂合わせの必要はないと思うが、とにかく作ってみるか。
語呂→独立して1人1人にサンキュー(39)。
4、共同訴訟人独立の原則と主張共通の原則
共同訴訟人の原則から、共同訴訟人の1人がした主張は、他の共同訴訟人との関係で主張されたことにはならない→主張共通の原則は適用されない。
5、共同訴訟人独立の原則と証拠共通の原則
(1)ある証拠から認定できる歴史的事実は一つ
 ↓
(2)上記事実を共同訴訟人1人ごとに異なる取扱いをすることを求めることは、自由心証主義を阻害する。
 ↓
(3)共同訴訟人独立の原則があっても、証拠共通の原則が適用され、当事者の援用がなくても、裁判所はその証拠を事実認定の資料にできる。
6、当然の補助参加理論について
 共同訴訟人独立の原則については、紛争の統一的解決を図る観点から、その修正を図る学説の流れもあった。例えば、主債務者Aと保証人Bとが共同訴訟人となっている場合のように、共同訴訟人の一人(A)が他の者(B)に補助参加(42条)する利益を有する場合には、正規の補助参加の申出がなくても補助参加があったものとして扱い、Aの訴訟行為の効力がBにも及ぶとする。すなわち当然の補助参加を認める見解があった(故兼子一大先生)。しかし、判例・多数説は、これでは訴訟関係が不明瞭になるとの理由でこれを否定している。最判昭和43.9.12民集22―9―22―1896[百選判例事件]は、これを否定した。
【判例】
【文献種別】 判決/最高裁判所第一小法廷(上告審)
【裁判年月日】 昭和43年 9月12日
【事件番号】 昭和42年(オ)第890号
【事件名】 建物収去土地明渡請求上告事件
【審級関係】 第一審 27201777
名古屋地方裁判所 昭和37年(ワ)第89号
昭和41年 3月18日 判決
控訴審 27201778
名古屋高等裁判所 昭和41年(ネ)第269号
昭和42年 4月27日 判決
【要旨】 〔最高裁判所民事判例集〕
通常の共同訴訟においては、共同訴訟人間に共通の利害関係があるときでも、補助参加の申出をしないかぎり、当然には補助参加をしたと同一の効果を生ずるものではない。
【裁判結果】 破棄差戻
以上

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