刑法条文・理論攻略法10

刑法条文・理論攻略法10
遺棄罪各論3
保護責任者遺棄罪(不保護罪=218条後段)
(1)真正身分犯
 保護義務がある者にしか犯し得ない犯罪であることから、真正身分犯とする説が有力
(2)不保護の意義
 「生存に必要な保護をしなかったこと」(不保護)とは、既に客体の生命の危機が存在しているので、場所的離隔を伴わないまま保護をしないことをいう。
(3)保護義務
①公法上でも私法上でも保護義務ならば、よい。
②契約上の義務=住み込みの雇員が病気になった場合、雇い主は保護する黙示の契約がある。
③養子縁組の手続を済ませていなくても、養子を自宅に引き取った場合、養親には養子に対して保護義務がある。
④事務管理に基づく保護義務
⑤条理に基づく保護義務
(4)罪数
 医師が妊娠26週の胎児を排出した後、生育可能性があったにも放置して死なせた場合、業務上堕胎罪と保護責任者遺棄致死罪の併合罪になる。
以上

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