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平成29年司法試験・民法・設問3関連基礎知識

平成29年司法試験・民法・設問3関連基礎知識
【不動産賃貸借の対抗要件】
★605条=不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者その他第三者に対抗することができる。
→以上のように規定されているが、自分の不動産に賃貸借の登記があるのは見た目が悪いので、あまり登記が行われない。そこで、借地借家法の出番
語呂→登記すれば、老後(605)は賃貸借で悩まない
★借地借家法10条
(借地権の対抗力)
第10条
第1項=借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
第2項=前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
語呂→建物に10記(10)で対抗力
★借地借家法31条
(建物賃貸借の対抗力)
第31条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
語呂→建物は、引渡しの際(31)に対抗力
【地役権】
(地役権の内容)
280条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。
語呂→土地が地割れ(280)しても、地役権はなくならない。
注意→地役権は物権の一つなので、登記が第三者対抗力
具体例
1、公道と自分の土地の間にある他人の土地(私道)を通行する地役権、2用水路から自分の土地まで水を引く地役権。また、電力会社が高圧線の下にある土地に地役権を設定し、一定以上の高さの建物の建築を制限するケースも多くある。このほか最近は、眺望や日照の確保のために地役権を設定するケースもある。
2、地役権を行使すれば、自分の土地の日当たりを損なう建物を建てさせることを防げる。マンションなどの建物を建てたい立場の人と話し合いでルールを決める。「何メートル以上の建物は建てない」などだ。しかし、ただ口頭で約束するだけでは不十分です。設定した地役権は登記すべし。新しくできる建物の管理者などが変わった場合、地役権が行使できなくなるのを防ぐためだ。
【地役権者と承役地の譲受人の優劣=最判平成10年2月13日】
地役権者がせっかく、承役地の所有者との間で公道への通行地役権を設定したのに登記をしなかったことから、承役地の所有者が第三者に移転した場合、新所有者がそんな地役権を知らないとしたら・・・
最判10年2月13日
沖縄県の事例=原告が訴外の土地所有者と自動車の通行権の地役権を設定したが、登記をしなかった。その後、承役地の土地所有者が変わり、当該地役権を認めなかったことから紛争に。
最高裁は
1、承役地が継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造など物理的状況から明か(物理的明確性)
かつ
2、譲受人がそのことを認識し得たこと(認識可能性)
→177条の「第三者」にあたらない。
→登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者
(平成29年司法試験・民法・設問3・解答に挑戦へ)

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