改正民法条文語呂合わせ14

今回は、不当利益の条文と、判例(騙取金による弁済と不当利得)の紹介です。
★703条→不当に利得を得るのはナレサ(703)!?
第703条 法律上の原因無く他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下、この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
関連判例は民法百選判例です。
最高裁昭和49年9月26日第1小法廷判決
【要旨】 〔最高裁判所民事判例集〕
原告=I県共済組合連合会
被告=国・旧農林省
請求=不当利得返還請求(703条)
【事案】
 事案が発生したのは、昭和29年6月2日頃から同31年3月9日頃までの間。昭和29年は、日本で初めてモーターショーが東京で開かれた年。はるか昔だね~。もう俺は生まれていたがね( ;∀;)
 当時は、全国各都道府県の農業共済会の事務経費などを旧農林省が負担金の形で各都道府県連合会に補助していた。農林事務官のT氏は、I県農業共済連合会経理課職員らと結託して金券詐取の方法などにより昭和29年6月2日頃から同31年3月9日頃までの間に前後十数回にわたり国庫負担金に充てるべき国庫金のうちから多額の金銭を詐取したため、国庫金に不足をきたした。
 そこで、T氏は、同連合会経理課長に依頼し、都市銀行水戸支店などに同連合会名義で融資を受けるなどして、同連合会などに交付した。しかし、同連合会は受取を保留しT氏に返還し、T氏はその騙取金を国庫に返した。
 しかし、同連合会には、銀行の債務(損失)が残り、国には騙取金による弁済による利益(受益)が生じた。そこで同連合会が、不当利得返還請求を提起した。
【問題点と意義】
 横領などにより得られた騙取金で、自己の債務を返済した場合、騙取された側が、返済を受けた側に不当利得支払請求ができるかが問題になった。金銭は、他の金銭と混和し、弁済金が騙取金と見分けがつかない。そこで、以前の判例は肯定したり、否定したりして混乱していたが、この判決が不当利得として請求できるという判旨を示し、決着が付いた。
【決着ポイント】
1、社会通念上、騙取された金銭で他者の利益を図ったと認められるだけの連結がある場合には、不当利得の成立に必要な因果関係があると認定。
2、また、受益者が、受領した金銭が騙取されたものであることについて悪意又は重過失がある場合には、騙取されて損失により得られた受益者の利益は、損失者と受益者との間においては法律上の原因がなく、不当利得に
なると判示した。
【まとめ】
要件→1、連結(金銭)の存在2、受益者の悪意と過失
以上

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