【創作メモ】太陽

太陽になりたかった。すべてにやさしく、いつも笑顔で、誰の悪もこぼさない、そんな太陽に。太陽は生まれながらにして太陽で、ぼくが太陽になるには何もかもが足りない。へたくそな作り笑いは太陽の前では溶かされて、涙となって目の前を落ちていく。心穏やかな眠りをくれるのはいつだって太陽だ。ならば太陽はいつ泣いているのだろう。不眠症の太陽は誰に救われるのだろう。太陽はほんとうは太陽ではないのかもしれないし、ちがう太陽を見つけているのかもしれない。ぼくはどうしたって太陽になれない。みんなの太陽にも、太陽の太陽にも。


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