YouTube上で成田悠輔さんを観察した記録1

前回の人生攻略本10冊に候補としてあった『22世紀の民主主義』の著者、成田悠輔さんがこの数年くらい私の気になる存在なので、YouTube上でのいくつかの発言を心に留めておくためにnoteにまとめておきたい。
(問題があれば下書きに戻します)

なぜ気になるのかと言うと、私はフィギュアスケートが好きで、イェール大学助教授という経歴を見るとネイサン・チェン選手が近いけれど、動画で様々な物事への考え方を聞いていたら、むしろ宇野昌磨選手に似ているなと感じる部分がたくさんあった。

引用させていただく部分は長くても数分で、本編の数十分はすべてが興味深い話ばかりの何度でも見たい内容になっている。その中でも今回は、私が個人的に宇野選手に通じると感じる部分を書き出していこう。

『日曜日の初耳学【公式】』

[2022年4月24日]

「賞とかはどうでもいいかなって感じで、僕はそんなに人から評価されるっていうことがそんなに嬉しくないタイプの人間なんですよね。どっちかっていうと人から嫌われるとか、興味を持たれないくらいのほうが自分はすごく新しいことをやっているんじゃないかなという感じがあって、人から理解されるような、人から褒められるような普通なことをやってちゃいけないってちょっと思う」

「やっぱり僕たちの中にすごく間違った向上心みたいなものがあるんじゃないか、仕事を手に入れたり肩書きを手に入れたりした時にそれを離すまい離すまいとする、すごい強い心が僕たちの中にある、そこからどう自由になるか」
「それは子どもの頃から僕たちに染み付けられてきたもので、学校に行ってみんなで同じような空間にいると、学歴とか学校に入ることがすごく重要なことだって思い込み始めてしまって、なんのためにそこに行っているのかわからないけどとりあえず少しでも偏差値の高い学校に入ることが重要ってなる」

「それと同じようなことがずっと違う形で、人生を通じて繰り返されていると思うんですよ。そこから自由になるために自分がいるような業界と全然違う世界と関わってみるとか、全然違う世代の人と突然関わってみるみたいな経験っていうのが大事なのかな」
「そういう経験をすればするほど自分にこう染み込ませてしまった凝り固まった価値観みたいなものを少しキャンセルできる」
「なのでそういう全然違うアウェイに飛び込んでいく経験みたいなものを、子どもの頃から僕たちの人生の中にどういうふうに埋め込んでいくかってことが今後大事になってくるんじゃないかという気がしますね」

私がフィギュアスケーターの宇野選手にゲームがあってよかったと感じるのはまさにそれかも。一回り上の世代のゲーム仲間がいて、スマブラ界隈に飛び込んでみた経験も絶対に人生に活きてくると思うので。

「若者に対してはこんなインタビューとか見るなって、ちょっと言いたいんですよ。大学の先生をやっていたり、それ以外もいろいろ若い人たちと会うんですよ。みんなすごい問題意識持ってるし賢いし、で何か聞くとすごい話せるしレベル高いなって思うんですよ。でも同時にヤバイんじゃないかと思うこともあって、すごいみんなまともで、僕みたいな老人の意見をすごく聞き入れすぎるきらいがある、ぐらいに真面目だってことも感じるんですよ。で、なんか新しい時代を切り開く人とかって既成の勢力とかそんなものぶった切って進んでいくくらいの人であってほしいじゃないですか。そういう意味でいうと、このインタビューとかをメモ取って聞いたりせずに、なんか老人がペチャクチャ喋ってるわ、ぐらいにあざけ笑ってくれるような若者がいてくれたらいいなと思います」

私は平凡な人間なのでメモを取ってごめんなさい。大好きな宇野選手にはいつも、真面目なフィギュアスケートファンの意見をぶった切って進んでほしいと密かに望んでいたのは間違いではなかったのかな。

『内田篤人のSDGsスクール!』

[前編2022年8月5日]

「意欲ある人って結構ダメな場合が多いなと思っていて、頑張って必死に吸収しようとして、今そのレベルなわけじゃないですか。伸びしろはだいぶ小さくなっちゃってる場合が多いと思うんですよ。どっちかっていうと、なんかグダグダで寝てんだか起きてんだか分かんない感じなんだけど、結構すごいことやってくることがあるとか、面白いこと言ってくる人とかってのが一番可能性があるのかなっていう気がしますね」
「世の中って新しいことをやらないと価値がないじゃないですか。ていうことで言うと、古い世代とか老人がいいなと思う人は従順すぎると思うんですよね。どっちかっていうと生意気だったり、場合によっては刺してくるんじゃないかと思わせる人のほうが将来可能性はあるんじゃないかなっていう気がする。っていうことで言うとあんまり評価したり、良いか悪いかとかってこっちが考えていてもそんな意味ないかなと思っていて」

「学歴が手に入れば幸せになれるのかとかって、考えなくていい状態がベストですよね。答えがイエスかノーかは別ですよ」
「自分に幸せが足りないから、どうにかこうにか何かを手に入れれば幸せになれるんじゃないかって考えるからそういう問いを発するわけじゃないですか。だけど今が幸せだったり今が楽しかったりしたらそんなこと考える必要ないですよね。こういう疑問を僕たちが考えちゃうっていうこと自体が結構自分たちが楽しめる状況を作れてなくて、時間とか暇を持て余してるっていうことがまず根幹にあるのかなっていう気はするんですよね」
「そのうえで、じゃあその問いに対する答えがイエスなのかノーなのかみたいなのは研究が山のようにあるんですよ実は。もちろん幸せっていうのを何で測るかっていうのは難しいですけど、まぁいろんな幸せの指標みたいなものを考えることはできますよね」
「何をもって幸せっていうふうに考えるか、ということによって答えが違ってくるのかなと。それぞれ自分にとって何が幸せかっていうことをちゃんと理解できていれば、それでいいんじゃないかなっていう気がします」

[後編2022年8月12日]

「頑張ってる時点で、もしかしたらあんまり一芸ないのかもしれないですね。一芸と学業のどっちが大事なのかとかって考えてる時点であんまり熱中してないし、そんなに得意じゃない場合が多いんじゃないかなっていう気がします」
「向いてないことを頑張らなくちゃいけないと思い込んじゃってるっていうのが大きいですよね。いわゆる勉強とか入試を受けるってほとんどの人に向いてないと思うんですよ」
「勉強とか学業っていうのもいろいろある芸のうちの1つにすぎなくて、たまたまたくさんの人がそれをやるってことになってるだけですよね。だから自分がそれ向いてないなと思ったらさっさと離脱すればいいんじゃないかなと思うんですけど」

宇野選手が大学をやめた時、いろんなことを言われていたけれど、そもそも宇野選手は中学くらいで勉強はさっさと離脱していた人だと思うので、一芸に秀でた人の中でも腹が据わってるタイプかなと、私はむしろ生き方として宇野選手らしくなった気がした。

『夜明け前のPLAYERS公式』

【成田悠輔×有働由美子】
[前編2023年4月28日]

「自分がちょっと現象の側になるというか、分析される社会の側の、渦のひとつになってみたら何が起きるのかっていうのを試してみる、だから広い意味での研究という感じですかね。研究とか学問っていうと第三者的に、客観的に分析する感じだって思われがちじゃないですか。でももっと一人称で分析対象の中に飛び込んでみるみたいなスタイルもあるんじゃないかと思うんですよね。だから自分としては世の中みたいなものに自分自身が関わってみて飛び込んでみたら何が起きるかを体感してみて、感じてみることをやってるって説明できなくはないかな」

「普通の人たちはやっぱりちゃんとそこそこ目的があって、そこそこ損得とかを考えて、自分にとってやる価値があることをやるようになると思うんですよ。で、やることやらないことの線引きを作るっていう、だからそういうことを考えない、とりあえず損になりそうなこと、やる理由がないこともランダムにやってみたらどうなるかっていうことも試してみたっていうそんな感じですかね。まぁ実際、損してるなと思うことはあるんですけどそれもそれで」
(YouTube上での発言の炎上を受けて)
「でも誤解はされるものですからね」
「しかもみんなに怒られるってことはまぁまぁ妙に関心を持たれてるってことなんで、それはそれでいいんじゃないかと思っていて」
「そうなんだって感じで、面白いなって観察するみたいな感じですかね」

有働さんが「そこまで達観したらなぁ」と仰っていて、私も宇野選手が二十歳そこそこの時期に、世間に何を言われても「面白っ」て感じると話しているのを聞いて同じように思った。そこまで突き抜けられたら自由に生きられるんだろうなと。成田さんの思考はさらに先を行っていて興味深い。

「本当はもっと木っ端微塵にすべてのキャリアが吹っ飛ぶってなったらいいなと思って数日過ごしてたんですよ。そしたら結構カッコいいなと思って」
「やっぱり僕、大した人間じゃないんですけど学者とか研究者としてそこそこの人間ではあって別に普通にやれちゃうんですよ」
「なんかそれでダラダラやっていくのもなぁって気もするので、せっかくだったらここらへんで吹き飛んで、無敵の人になって、第2のガーシーみたいになったりしたら面白いなってちょっと思ったりもするんですよね」
「もうすでに敵に回してるんで、大学の先生たちとかは嬉しくてしょうがなかったと思うんで。僕が追い詰められて、もうほんとに胸が高鳴ってる人がたくさんいたと思うんで、その胸の高鳴りを提供したっていう結構、僕としては貢献だったなって」
(ニコニコと柔らかい物言いで)

[後編2023年5月2日]

「もしかしたらこうなのかもしれないとか、それは違って逆なのかもしれないみたいな、いろんな方角のことを考えてみたり言ってみたりはするようにしている、というのが自分の中にはあるんですよね」
「ただ最近はこういうことも考えられるかもねみたいなことを言うと、それを主張してるんだと思われてやたらと怒られるということが増えてるんで、最近はできるだけ発言しないという方向に収束していっていますね」

「炎上系は、特に言葉遣いとか言動の炎上系はもう税金みたいなもので、みんなで係りとして分担してるっていうふうに捉えるくらいでちょうどいいじゃないかなと思っていて、特にネットで言葉を使って議論というのは僕から見て全く成立していないので」
「つまり言葉って、その背後にある文脈とか関連情報みたいなものも含めて、総合的にゆっくり解釈してやりとりしないと使い物にならないメディアだと思うんですよ。特定の単語とか見出しだけを取り上げて良いとか悪いとか議論してもあまり意味がなくて、それをやると賛成か反対か、右か左かみたいなもので対立にしかならないと思うんですよね。で、その対立を少し弱めて議論にするためには、その背後にある考え方、流れとかどういう経緯でそういうことを言うに至ったかということを、ちゃんとゆっくり咀嚼して共有して、抜けてる文脈を聞いたりしながら、徐々にお互いにお互いの、なぜそう言っているのか、理解するプロセスがないと意味がないと思うんですよ」

「でも今のネットとかソーシャルメディアって、そういうことができる状態じゃなくなっちゃっていて、ただ見出しが時々踊っては、順番にわかりやすい標的を見つけて、それについて怒ったり対立軸を作り出したりをひたすら繰り返しているだけだと思うんですよ。だからあんまりそこに関わることに意味がないなと自分としてはなっちゃってますね」
「だからツイッターとかヤフーニュースとかああいうタイプのものについては、現状だとできるだけ関わらない、できるだけ主張したり批判したり関与しないっていう方法しか、なくなっちゃっているのかなという気が僕の中でしますね」
「こういう番組とかはいいなと思っていて、ゆっくり話す、で、あんまりポジションをどう取るかみたいなことを誰にも強制しないみたいな場所を、ネットとかテレビとかにどう作るかっていうのが大事だと思うんですよ」
「いくつかの領域の壁を壊すというか、窓を開けるみたいな役割って大事ですよね」

「そうやって怒られないようにやってると、そのカルチャーをわかっていてそのカルチャーの中のゲームのルールをプレイできる人ばっかりが、それぞれの領域の中で同じようなことを繰り返すっていう構造になる気がしていて、だからちょっと爆発したり怒られたりするくらいのことを少しずついろんな領域でやることが大事なのかなと思っている」
「(そういう人は日本の教育では)普通にやったら育たないので自主的にやるしかないんじゃないかな」「一番難しいなと思うのは、今の教育だと怒られたり嫌われたりするっていう経験を積極的にやるみたいなことが起き得ないじゃないですか。だからそういう場所をどう作るかがすごく大事なのかな」

「特にエリートっぽい上手くやっている人であればあるほど、周りから眉をひそめられることとかあいつは終わったと思われるようなこととか何やってるんですかと思われるようなことに絶対手を伸ばさないようにもう二十代くらいになった時には洗脳されちゃってると思うんですよ。だからその洗脳を解き放つような仕組みを世の中にどう提供するか」
「ホワイトで純粋培養のスーパーエリートみたいな人たちの世界と、暴言でもなんでもあり失うもののない無敵の人の世界と、両方に足を突っ込んでいて、その間あたりをどう作り出せるかがすごい大事だと思うんですよ」
「このふたつはちょっと極端すぎる二択だなと思っていて、このふたつを混ぜ合わせて、ふたつの世界をどう繋ぐか」
「次の世代でちょっと燃えたり意味不明なことをやっても、生きていけるんだなと思って自分なりのスタイルを作る人が、若い世代で出てきたらいいですよね」

数分の会話でも文章にすると長くなってしまうけれど、どこも大切な気がして覚えておきたくて削れなかったので…。
最後の「若い世代で出てきたらいい」というのが、私にとっては宇野昌磨選手なんだなということを言語化してもらった感じで、自分の思考がスッキリして嬉しかった。

他にも、コンプレックスは「やりたいことがないこと」だと言う成田さんに、宇野選手の「やりたいことがなさすぎるんですよね」という言葉が思い浮かんだ。
ふたりとも私から見たらやりたいことがありすぎる人のようにも感じるけれど、どこまでも俯瞰して本気でそう思っていそうなところが、やっぱり似ていると思う。

有働さんの成田さん評「ただのシャイな正直な人」がまさに私の気になるタイプだ。他にもいろんな動画の発言を書き残しておきたいけど長くなったので今回はここまで。今後も観察を続けていきたい。ぜひYouTube上での活動を続けてください、お願いします。