見出し画像

『王様戦隊キングオージャー ラクレス王の秘密』 最終話 感想


概要

動画公開日:2023年7月16日(日曜日)

脚本:川滿 佐和子
監督:茶谷 和行
アクション監督:渡辺 淳 (ジャパンアクションエンタープライズ)

『王様戦隊キングオージャー』番組公式サイト リンク

『ラクレス王の秘密』 最終話 YouTubeリンク

感想

 いい最終回だった。徹頭徹尾感謝の言葉しか出てこないです。ストーリー、アクション、台詞回し、駆け引きどれをとってもとかく厳格・重厚で、「ニチアサの行間」らしさもありつつ、どこかNHK大河ドラマやTBS日曜劇場っぽさを感じる作品でした。

 今までも折に触れて「ラクレス実はいい人説」を提唱してきましたが、今回で自信から確信に変わりました。ベダリアの名を出して命乞いするシデジームに対して「お前ごときがベダリアを語るな」と言い放ってとどめを刺すシーンとか、「研究を続ける」と言ったコフキに対して「いずれは処刑されてもか」と(どこかそれを制止するように)言い放つシーンとか、要所要所で見られる悲しげな表情とか。特にシデジームへのとどめを変身解除して(="オオクワガタオージャー"としてではなく"ラクレス・ハスティー"として)行ったという点。王に対して、そして国に対して忠義を尽くした者への慈愛を感じました。
 最後のナレーションと併せて考えると、本編での言動は「"シュゴッダムの暗部"や"王としての宿命"を一身に背負い、自分の力で"彼の中の大志"を成し遂げようとしていた覚悟」「(たとえ同盟国の国王であっても)他者を巻き込まないための、彼なりの思慮」の表れなのではないかと考察しています。

 そして、本編にもつながる伏線となるシーンが大小さまざまに盛り込まれています。ラクレスがボシマールさんに「君だって、スパイ候補の一人だろう?」と(おそらくブラフとして)唐突に言った直後のボシマールさんのリアクションや、そもそも本作のナレーションがカメジムである理由など、特に(動画公開日と同日に放映された)第20話やその前後とリンクしています。
 また、本編への伏線ではないですが、ベダリアの「私を舐めないでください」という台詞が、彼女の"置き土産"によって趣深い回収のされ方をしているのも感心しました。

 一方、残された謎もあります。「"シュゴッダムの秘密"とは何なのか」です。ラストシーンの台詞からして、"秘密"はベダリアの研究結果だけで終わりではない。カメジムが自身や配下を潜入させてまで知ろうとしたと考えると、解釈や使い手次第ではバグナラクに利する可能性もあるかもしれない。

 そのうえ、最後に時系列(本編第2話第3話の間)を説明してくれるのもありがたい。同時に、てっきり本編開始前の話だと思っていたので意表を突かれました。戦闘経験が少ない(ほぼゼロ)割に立居振舞いが熟練しすぎている。剣と盾が武器というのもあって、同じニチアサで言えば『仮面ライダー鎧武』の呉島貴虎/仮面ライダー斬月を彷彿とさせる動きです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?