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レンタルサービスの盗難被害について。中国の事例を共有します。

弊社が運営するRentioはカメラや家電製品のレンタルを中心に事業展開をしています。お客様から「スマホを借りたい」と言われることが多いのですが未だ積極的には行っていません(数機種のみ扱っています)。ニーズはあるのにやらないのはなぜか?答えは簡単で「盗難が多いから」です。カメラやルンバでもユーザーによる「盗難被害」は多少あります。ここでは数字は公開しませんが一定数あります。ただ弊社は他社に比べて圧倒的に少ないです。ご注文を頂いた後で様々な方法でユーザーが「盗難目的」で借りたかどうかを調べています。その結果、こちらからキャンセルさせて頂くケースはたくさんあります。全く盗難目的ではない方なのに、こちらの判断でお断りしてしまったお客様もいらっしゃるはずで、その点については大変申し訳なく思っていますが「盗難」を防ぐには仕方のないことだと考えています。

スマホのレンタルについてですが、個人向けのレンタルは日本ではほぼ見られません。これにはキャリアの分割販売がレンタルに似ているからと言う点と、SIMフリーが普及していないからと言う点が理由として挙げられます。一方、中国では机蜜等いくつものスタートアップが大きく資金調達をしています。芝麻信用を使っているので盗難対策も問題ないと聞いていましたが、実際は違っていたようです。

こんな記事を見ました。

すこーーーーしだけ中国語が出来るのでどうやら中国のスマホレンタル事情について書いてあることがわかったのでいろいろツテを使い翻訳してもらいました。以下、そのまま載せさせて頂きます。

レンタル詐欺:携帯電話をレンタル後換金による被害、1つのプラットフォーム当たりおよそ1000万元ものぼる。
(現金の)オンライン貸出の減少により、犯罪者は新たな抜け穴を探し始めた。
※記事の作者情報など(略)
近年、規則の厳格化、クレジットカード限度額の縮小により、カードローンの悪用で生計を立てた犯罪者達は新たな領域に犯罪の目を向け始めた。
レンタル業界は彼らの主なターゲットになり始めた。
犯罪者集団は、数百元または頭金0で、携帯電話を手に入れる事出来る。それを売れば、一回で数千元を稼ぐ。
”あるプラットフォームが1000台近くの携帯電話を騙し取られ、被害金額はおよそ1000万元だった。”レンタルプラットフォームのリスク管理責任者は、一部のプラットフォームの不良債権率が10%もあることを明らかにした。
2年前のレンタルブームと同時に数十のプラットフォームが業界参入しましたがどれも野心的で、『分割払い』を覆すと主張していた。
かつて凄かったビジネスモデルは、今は、どうなったのか?
新口子
昔活発であったサラ金カードローンの連中は今は物静かになっている。
監査の厳格化により、714(サラ金)および高金利のオンライン貸出プラットフォームは基本的に貸出を止めている。
しかし、老哥(あらゆるプラットフォームからお金を借りる人の愛称)達による”新口子(貸出をするプラットフォームに借入を申し込む)”が習慣となり、やめることは難しい。
借金することは麻薬をやる事と一緒で中毒性があり癖になりやすい。お金を借りれる所があったら、借りないと、いられない。ある老哥はかつて自分の『心の病』について説明しました。
そこで彼らは新しい方法と抜け穴を探し始めました、過去半年の間に、老哥たちはカードローン、保険金の払戻、公共積立金を騙し取ることなどしました。
最近のお気に入りはレンタル業です。信用レンタルとは何か?
2017年頃、このモデルは人気になり、数十のプラットフォームが登場しました。
ユーザーは、クレジットカード情報を登録して10%の頭金を支払うか、または頭金0でさえ携帯電話、カメラ、ノートパソコン、高級品などのアイテムをレンタル出来ます。
多くのレンタル商品が、アリババの芝麻信用(中国アリババグループの関連企業アント・フィナンシャルサービスグループが開発にした個人信用評価システム。)とJDの小白信用(阿里信用同様な物スコアが上がる事で各種レンタルサービスでデポジット不要で利用出来るようになる。)のトップページで発売されました。
信用生活
最近では老哥ネットワーク、仲介群体が信用レンタルに目をつけるようになり、完全なレンタル詐欺チェーンが徐々に形成されています。
オンラインローンおよび老哥ネットユーザー間で、信用レンタルの悪用に関する投稿が出始めた。
例えば、<カメラレンタルアプリの現金化プロセス、12回払い可能!><匿名でカメラレンタル、Alipayをスキャンし信用限度額を差し引きます。>
ローン詐欺を経験した仲介業者からみると、レンタル詐欺(盗難)は、より簡単に儲かる最高の方法です。
『レンタルプラットフォームのリスク管理は、オンラインローンより管理しやすい。』ローンの仲介者として働いていたYangQuanさん最近信用レンタル業に転職して来て、ほとんどの信用レンタルプラットフォームのリスク管理が『信用スコア』である事判明しました。
従って、顧客を勧誘するための彼の一般的な基準は、芝麻信用のスコアが600以上であるという事です。
『物色するには、テクニック要りません、テストの為さまざまなプラットフォームに会員登録する事です。その中、デポジットの無料が優先されます。IPhoneが優先されます。』YangQuan氏の話による。
7〜8千元の携帯電話の場合、7〜800元の頭金と修理保険金を支払うだけで取得できます。
『盗難希望者に情報を教えて、携帯電話一台にあたり、技術指導料として、数百元請求します。』別の仲介者語った。
ローンと同様に、仲介業者は毎日各プラットフォームのリスト管理を調べ続けます。“放水する(放水とはプラットフォーム突然申請人に対し審査の基準さげる、あるいは、貸出額を増加、意図的)プラットフォームを集中的に攻撃します。』
”アリペイみたいな大手、水がありそうだ、試す価値がある。”老哥たちの中でも情報公開してます。
『1人のユーザーが同時に数十のプラットフォームに申請出す事出来ます。最大1人のユーザーが10のプラットフォームから許可おります。』YangQuan氏は、信用レンタルの分野では、情報共有も多頭貸しの概念をありません。
仲介業者の言葉を借りると、この分野のリスク管理は依然として非常に原始的。
また、仲介業者は、Alipayアカウントを取得し、携帯電話を騙し取る。
実際、Alipayアカウントを多く売られている。様々なコミュニティで、『認証済アリペイを販売する』の広告があります。
信用レンタルプラットフォームのリスク管理のZhangWenWenさんは、市場で出回ってるAlipayアカウントは数十から数百元で売られていると語った。
Alipay口座番号、本人確認済の携帯番号、引落し銀行のカード番号、および確認サービスを含む、この様な情報の一式は、4000から5000元で販売されている。
コストが非常に高いため、セットで情報を入手した後、仲介業者は多くの場合、全てのオンラインローンおよび信用レンタルプラットフォームを使います。『この方法で、数万元を手に入れることが出来ます。』
このような仲介業者はグループで犯行を行われています、通常は同じ場所に携帯を送る。
信用レンタルプラットフォームのリスク管理のBaiQiの話によると、時には、大量の携帯電話の受取人の住所が特定のエリアにある特定の店舗(モバイルショップを受け取り先にして転売する)、信用スコアでのチェックしか盗難対策が無く、実に『大胆な手口でいける』。
不良債権の発生
物が届いたら、ほとんど直接現金化されます。
仲介業者は固定の販売ルートを持ってます。『私達はモバイルショップと協力してやってます。新しい機械が未開封の場合は、直接転売されます』とYangQuanは言いました。
 『AppleはJD価格の85%で販売できますが、アンドロイドは70%〜75%の間です。』YangQuan氏は言いました。
例えば、市場価格2000元の新しいアンドロイドスマートフォンは1400元で販売できます。
そして、連中の中で最も人気があるのは、Iphone11Proなどの最新で高価なApple電話です。
そして、Huaweiのハイエンド携帯電話価格はAppleほど高くなく、『一般に75%、最高は80%だけです』。
詐欺業界では、iphoneはレジェンドであり、簡単に売れます。
老哥たちはしばしば自分の結果を共有します。
『みんな携帯電話を借ります、これはやり過ぎでは?』同様の投稿が時々老哥BBSに現れます。
ある老哥は言った:”私の芝麻信用スコアは728ポイントで、愛租(レンタル会社)でゴールドのiphone11pro MAXをレンタルした。最初の月のレンタル料は976元”
携帯はまだ配送中で、彼はもうすでに9600元で友人に転売する予定です。
このようなやり方で、8000元以上を手に入ります。
『返済しないで!』YangQuanは、お金を返せずに連絡を立ちなさいといつも顧客に言ってます。
様々なプラットフォームで老哥達の襲撃を受け、業界の不良債権率はかつて急上昇しました。
『一部のプラットフォームの不良債権率は10%です。』信用レンタルリスク管理会社のBaiQi氏は言います。
あるプラットフォームは詐欺集団にあい、『何千台もの携帯電話が騙し取られ、1000万元近く被害がでた』とBaiQiは言いました。
ジミ(机蜜)の創設者であるXiMengは、かつて、詐欺集団に目つけられた事があった。『一日100台も騙し取られ、被害額50万元から60万元だった。』
リスク管理の観点から見て、信用レンタルはうまく行なわれいません。
多くのプラットフォームは主に芝麻信用スコアを貸し付けの基礎として使用しますが、BaiQi氏は、芝麻信用スコアは参照値としてのみ使用でき、複数のデータの相互検証が必要であることと指摘しました。
その次に、信用レンタルの回収も非常に困難です。
老哥達が恐れない理由としては、信用システムの未熟だ。
『信用レンタルはまったく新しいモデルです。ローンと違って、払ったのはレンタル料。たとえ返済しなくても、適切な罰則システムがないのが現状だ。』(これは日本も同じ)
征信(商工業を営む企業・法人・個人の財産信用などを調査する、)に登録できない限り、プラットフォームの債務回収の唯一の手段は訴える事です。
中国裁判文書ネットワークによると、2019年、人人租机(レンタル会社)は北京でレンタル料金を滞納していた数人のユーザーを訴えた。
2019年6月から9月にかけて、机密(レンタル会社)は杭州と重慶合わせて、2000人の滞納ユーザーを起訴しました。
裁判の結果、彼らは、携帯電話を返却し、レンタル料金を返済し、遅延料を支払う事を要求されました。
さらに、彼らはしばし原告の弁護士費用、それと訴訟費用、告知費用を負担しなければならない。
業界難航
2年前、信用レンタルが登場した時、業界の人たちは自信満々だった。
彼らはかつて消費者の分割払いを覆し、次の主流の金融商品になると言っていました。
彼等の自信は、理由があった。
信用レンタルは確か非常に魅力的です。
まず、若者に人気、商品の『所有権』より『使用権』を重視しています。
また、このビジネスモデルは、若者のスローガンに従ったものです。『永遠の所有ではなく、必要な時に一度だけ利用する使い方にあっている』のです。
そのほか、信用レンタルはより柔軟に対応してくれる。
例えば、携帯電話を一年間レンタルした後、ユーザーはレンタル継続するか、購入するか、レンタルをキャンセルするかを選択できます。そして、信用レンタルの初期費用は分割払いより安い、通常頭金は10%または頭金0で、携帯を手に入る。
しかし、一見市場に合うビジネスモデルも順調に成長していない。
このモデルでは、リスク管理の問題に加えて、実際に利益を出した会社は多くありません。これは、集客することが難しく、転換率が悪い、市場が未熟のためです。
2017頃、芝麻信用などの大手企業は、プラットフォームの信用レンタル事業を全面サポートし、リスク管理も強力にサポートしました。
過去には、信用レンタル業界は巨人アリババによって『資金やサポート供給』をされてきました。
昨年から、アリババは信用レンタル業界へのサポートを縮小しました。全てのプラットフォームは、生き残ることが非常に難しいと突然感じました。
『現在、この業界の一年契約終了時の購入転換率は2桁%未満です。』BaiQi氏は、誰もがこの新しいモデルにまだ不慣れであり、その受け入れ難く、市場訓練が必要と述べました。
これに関連して、アリババの支援に頼らないのであれば、自分で、情報取集のために市場にいき、『運用に必要な顧客情報が全くない』。
『過去には、受取人の情報、住所、携帯番号、その他の情報も入手できました。』とZhangWenwen氏は述べました。『去年から、我々は毎日お客さんに電話で確認しなければならなくなった。』
信用レンタルプラットフォームとユーザーの間のトラブルは珍しくありません。調査によると、多くの人が注文した商品と違うものが送られてきたり、購入金額が高いなどの問題が寄せられた。
BaiQiによると、市場はまだ未熟であり、現在、この産業は生き残る為に『巨人アリババへすり寄る』必要があり、独立して生き残ることは不可能です。
『より少ないお金で、より高質な生活を送る。』多くの信用レンタルプラットフォームがそのような理念を宣伝してます。
この業界はかつて楽観的でしたが、ビジネスの最前線とも考えていましたが、今では業界は爆発しておらず、消費者の分割払いを覆せませんでした。
信用レンタルって、誤った提案ですか?
『市場が成長し、レンタルを受け入れてくれるようになったら、業界は本当の爆発を迎えるかもしれない。』BaiQiは、市場は、まだ未熟であり、結論を出すのはまだ早いだと述べました。

読んでくれた方はほとんどの方が思ってくれたと思うのですがただの犯罪者たちです。ただ、警察に相談に行っても中々動いてはくれません。弊社も100回くらい警察署に相談に行っていますが被害届を受理してもらえたのは2件くらいです。(もちろん別の方法で犯人逮捕や被害金額を回収したケースは多々あります)個人でこのような犯罪をしている方もいれば、集団で行っている方たちもいます。彼らの存在がレンタルサービスと言う非常に合理的な消費行動の邪魔をしているのはとても残念なことです。日本でも彼らの情報共有ネットワークは存在していますが巧妙に行っているので警察もグーグルも動いてくれるケースは稀です。

この記事ではアリババが信用レンタル業界へのサポートを縮小したと書いてあります。おそらく、彼らが提供するスコアが意味を為さなかったのだと思います。日本でもLINEスコア等が始まっておりますが、私たちが知る限り「レンタルビジネス」で問題ないレベルの精度ではありませんでした。いくつかの似たサービスを調べましたが弊社の独自のスコアリングの方が盗難を防げる自信があります。

創業してそろそろ5年が経ちますが、いくつものレンタルサービスが事業を閉鎖しています。僕が知っている2つのレンタルスタートアップは、閉じた理由を「盗難率が高すぎた」からだと言っていました。盗難率を下げるために注文方法を複雑にしすぎた結果通常のユーザーさんからの注文も取りにくくなってしまいCVRが上がらないと悩んでいるサービスもあります。弊社もiPhoreのレンタルサービスを行いたいですが盗難率が高そうなので行っていません。単純な被害額だけでなく、機会損失と言う意味でも盗難対策は重要な課題です。

中国ではこのような事情のようですが、ドイツのGroverと言うレンタルスタートアップ(時価総額100億は軽く超えてる)は盗難対策もしっかり行っており、受けた注文の30%をキャンセルしていたと言います(事実かわかりませんが弊社と比べても相当高いキャンセル率です)。僕らも、「盗難率が高いので行わない」ではなく、どのような形であれば「貸し出すことが可能なのか」「ユーザーニーズに応えられるのか」をいくつか考えています。実装が難しそうなので少し先になりそうですがなるべく早く公開したいです。

他にも良い方法があるかも、と言う方はTwitterからDMをお送りください!大抵の案に対して「〇〇だからダメなんだ!」と言える自信ありますw
でも、明らかに存在するニーズに対して解決方法を考えるのは本当に楽しいですし重要なことだと思います。一緒にお手伝い頂ける方はwantedlyまで是非!!








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