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レンタル事業の考え方

レンティオ株式会社の三輪と申します。家電やカメラ中心に5,000種類くらいのアイテムを貸出しています。
月額制のレンタルと、ワンタイムのレンタルを行っており、そのどちらともに購入のオプションが付いている、そんなサービスを展開しています。

サービス概要

2015年の創業以来100万人以上の方にご利用いただけており、おそらく国内最大級のレンタルサービスだと自負しておりますが、最近ではメーカー様からのレンタルやサブスクリプションなどの事業支援に関する協業や問い合わせが増えてきました。自社でレンタル事業をやってみたいが、やり方がわからない、稼ぎ方(PLの考え方)がわからない、システムやオペレーションを作るのが難しい、といったご相談を多数いただくようになりました。
単にレンタル事業といっても、そこから得られる自社への効能は様々です。自分の頭を整理する意味でもnoteを書いてみようと思いました。

レンタル事業をメーカー様が行う目的は、大きく以下の2つに分かれます。

1️⃣レンタル事業で収益をあげる
2️⃣レンタル事業を通じて製品を試してもらう

この2点です。

レンタル事業で収益をあげる

こちらは想像しやすいかと思いますが、レンティオと協業して頂く場合2通りの稼ぎ方があります。

1️⃣ワンタイムレンタルで収益をあげる
2️⃣月額制レンタルで収益をあげる


意外と違うのでしっかり説明させてください。

ワンタイムレンタルで収益をあげる

原価30,000円
量販への卸値50,000円
市場小売価格80,000円
という商品があったと仮定します。
メーカー様が量販店様に卸したら利益は20,000円です。
この商品をワンタイムで10,000円で貸出したとします。送料などの諸経費で5,000円かかり、5,000円の利益が残ったとします。
6回貸せば原価を回収、10回貸せば卸値と同等、それ以上貸すことができれば普通に量販店様に卸すよりも大きな収益を得ることができます。
もちろんレンタルをメインにすることで、小売の件数が減る可能性はあります。ただ、(これはレンティオのポジショントークにもなりますが)基本的に良い商品であればレンタルの件数が増え、利用者が増えれば購入者も増えるはずです。

今まで是とされてきた大量生産、大量販売の概念が今後覆されることは間違いなく「レンタルで良いものは購入しない」と考える世の中になるとメーカー様側もこのような考え方で収益を得る必要がでてきます。

月額制レンタルで収益をあげる

原価30,000円
量販への卸値50,000円
市場小売価格80,000円
という商品があったと仮定します。
こちらの商品を新品の場合、月額2,500円で貸出しをしたとします。
最低レンタル期間を3ヶ月で設定、36ヶ月間の継続利用でユーザー様に所有権が移転するプランに設定します(レンティオだいたいこんな感じです)
送料などのコストが1回の貸出しに対して5,000円かかると仮定します。
商品にご満足いただけずに最低レンタル期間(3ヶ月)で返却された場合、7,500円の収益に対して5,000円のコストがかかるため利益は2,500円になります。原価が30,000円の商品ですので赤字です。
↑これがminimum収益ケース。

最初に貸出したユーザー様に気に入ってもらえて、36ヶ月間継続利用していただけた場合、2,500円×36ヶ月の90,000円が収益になるので普通に卸すよりも圧倒的に利益がでます。

↑これがmax収益ケースです。

minimum収益ケースで返却された場合でも、メンテナンスをして再度別の方に貸し出します。新品が月額2,500円なのであれば中古は月額2,000円くらいでしょうか?なのでminimum収益ケースでも結果的には卸をするよりは収益的には上がるイメージです。
minimum収益ケースとmaxケースの割合次第で収益がかなり変わってきます。すごくざっくりですが、50%-60%くらいの割合でmax収益ケースになるイメージです(もちろん商材によりますが)
月額制レンタルで収益をあげるやり方はレンタルというよりも「途中で止められる分割払い」という側面が強いですが、メーカー様がユーザー様と繋がるための手段としては非常に正しい考え方だと思います。通常、量販店様などに卸してしまった場合メーカー様はユーザー様と繋がることができないため自社商品の宣伝は出来ませんがこのような形で繋がっているのであれば宣伝も可能です。
ネガティブな面も1点。それはキャッシュフローが悪くなるという点です。50,000円で卸せばすぐに入金がありますがレンタルだと1年、2年、3年とかけてたくさんの収益を稼ぐイメージです。ここだけはしっかり理解しておく必要があります。

レンタル事業を通じて製品を試してもらう


こちらもある程度想像できるかと思いますが、ここでも2通りの考え方があります。

1️⃣製品を試してもらい、購入者を増やす
2️⃣製品を試してもらい、マーケテイングを製品改善に活かす

こちらは重なる部分もあるのですが、意外と違うので説明させてください。

製品を試してもらい、購入者を増やす。

図解するとこんな感じです。
製品のことを知っていて、興味は持っているけど使ったことがない。そんな商品山ほどあると思います。
その商品を使っていただき、満足してもらって買ってもらう。

こんなイメージです。
スーパーの試食と近いイメージがありますが、実際にお金を払って借りてくれている分、より購入に近いユーザー様に試してもらっているはずです。
イメージは理解いただけたと思いますが、ここからが重要です。
『製品を試してもらい、購入者を増やす』場合、そこで終わってしまっては少しもったいないです。
100人に使ってもらった結果、いくらコストがかかり、結果として何人が買ってくれたかまで見ることが重要です。
例えば、(めちゃめちゃ雑な計算ですが)1回使ってもらうのに5,000円かかる商品があったとします。この商品を試した方の3人に1人が購入したとした場合、15,000円使えば1台売れる計算になります。
ここは実際に精緻で追うのは中々難しいのでレンティオではアンケートを取っています。

こちらはある商品をレンティオで借りてくれた方から集計したアンケート結果です。レンタルした目的の94.2%が購入する前の参考にするため(要するに試すため)で、その結果13.4%は購入済、7.9%は購入を決定、35.1%は購入にポジティブになっているがまだ迷っているという結果になっています。
迷っている人をどう判断するかは難しいですが、仮に半分が購入すると仮定すると、この商品は「試してもらえば38%程度購入してもらえる」ということがわかるので、試してもらうことにいくらくらいのコストをかけても良いかがわかります。

製品を試してもらい、マーケテイングを製品改善に活かす

こちらはもう少し深い考え方になりますが、いろいろな方に試していただき、「どういう人からは評価が高く、どういう人からは評価が低かったのか」「どういう機能が評価され、どういう機能が不要だと評価されたのか」などをヒアリングします。
近い事例があったので紹介します。
AというドライヤーとBというドライヤーがありました。
Aはレンタルユーザー様の50%が買いたいと回答し、
Bはレンタルユーザー様の30%が買いたいと回答しました。
Aの方が良い製品なのかも知れませんが、
50代以上の女性にターゲットを絞ってみると、買いたいと言ったユーザー様
の割合はAは20%でBは60%だったというケースがありました。
もしあなたがBを作っているメーカー様側のマーケティング担当者だったらどうしますか?私なら「50代に向けて広告を出稿する」と思います。
また、「なぜ50代以上から高評価だったのか、若い人からは低評価だったのか」をヒアリングすると思います。
これは、普通に販売しているだけでは気付けないインサイトになります。

以上が大きく分けたレンタル事業の考え方です。
非常にシンプルだと思います。
これをメーカー様側が独自で行おうとすると、システムやオペレーションに課題が生まれます。また、レンタルビジネスには盗難・未払いというリスクが生じます。某メーカー様が自社でレンタルビジネスを行った際に、盗難・未払が10%を超えたという話もあります。
そのあたりのノウハウを弊社は持っているため、現在では100社を超えるメーカー様から在庫を預けていただく形になっています。

また、レンティオのドメイン上ではなく完全に自社でレンタル/サブスク事業を行いたいというメーカー様も増えてきているためレンティオではそういったメーカー様向けのソリューションも提供しております。

こちらに事例も多数載せさせていただいておりますので、ご興味をもっていただけた方は上記サイトからお問い合わせ、または私のTwitterなどからご連絡いただければと思います。


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