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R6-1漢検準1級 感想戦

 2024年6月16日、令和6年度第1回の日本漢字能力検定(以下漢検)が行われました。本記事では、私の試験結果や雑感などについて、つらつらと綴っていきたいと思います。

 あまり試験結果などについて記事を起こすつもりはなかったのですが、漢検受検に関連する情報は多いようで意外に少なく、私も勉強時に情報収集にやや苦戦した経験があるので、後覚の方たちへの一助になれば、と思い筆を執った次第です。


受検のきっかけ

 いい年こいて漢検もあるまい、そんなものはせいぜい大学生の間に取るものだ、というような気もしたのですが、もともと漢字というものには高い興味を持っていました。

 子供の頃に漢字辞典をペラペラとめくっていた経験もありましたし、「ものかげからきゅうに…(略)」などの「長い訓(もどき)」を広める切っ掛けになったことでも知られるウェブサイト「凄い漢字」を、高校時代にガラケーで頑張って覧たりもしていました。

 とは言え漢検を受検しようとは中々思い至りませんでしたが、昨年の夏頃からブームになっていた「漢字でGO!」で遊んでいるうちに漢字熱が再燃、漢検受検を決意しました。目標は言わずもがな合格(160/200)です。

 因みに、スタートラインは漢検HPに公表してされている過去問(R4-3)を解いてみた結果が60/200ほど、というところでした。



結果

 各設問の結果について述べていきます。

 多くの方が指摘されていると思いますが、今回の準1級は明らかに易化していました。それも、難しくしようとしたが思ったより簡単になった、というよりは、意図的に難易度が下げられていたように思います。

 R5-2、R5-3で難化が続いていたことからすると、そろそろ難易度が下がる頃だという見方もできなくはないでしょうが、この波の大きさというのは資格試験としてはどうなのかなあ、と思わなくもありませんw

  ただ、こうした波があるからこそ、多くのリピーターを確保して、試験の魅力を高めている側面があるのかもしれませんね。斯様な回に、初受検で当たったことは幸運でした。

 ※尚、漢検の問題を無闇に詳らかにするのは著作権上の問題があるため、本記事では検定の内容に触れるのは必要な部分のみに留めています。その為、当該の検定を受検した方でないと詳細が分からないような表現が含まれますが、悪しからずご了承ください。


(一)読み

 試験が始まるや否や、真っ先に目にするこの設問。試験開始直後に「ガサガサガサ」「カリカリカリ」と一斉に音がする感覚は学生時代が想起されますね。そうした音に惑わされるな、ゆっくり始めろ、と漫画『ドラゴン桜』に書かれていましたが、久々の試験体験ということもあってやや心を搔き乱されました。

 ただ、(一)を解いていく中で「これはいけそうだ」という感覚が直ぐ芽生えます。よく出題される、仏教や神事などに関連する難読三字熟語などがなく、問題集頻出の問いが続いたからです。

 とは言え、20.「亮陰」は難問でした。20問目に難問が来るというのは半ば慣例のようなもので、「アン」という音読みの存在をしっかり認知していれば書けたかもしれませんが、私の実力では安全策で「りょういん」と書くことしかできません。

 10.「聯珠」が連濁するか否かに惑わされた方も多かったようです。「しゅれん」のイメージもあったかもしれませんね。「聯」は「連」に通じ、ボードゲームの「れんじゅ」も「れんじゅ」の表記があります。漢検の勉強とは別に仕入れた知識も、本番の試験で活きることがありますね。

 16.「按排」も、「あんばい」の語源になった語としてやや有名です。

 音読みで他に悩まされるのは、2種の読み候補が考えられる15.「柏槙」あたり。


 訓読みは25.「摸って」や26.「迄ぶ」あたりがやや難しいでしょうか。「摸る」は試験前1週間程度の復習で覚えたことを記憶しています。

 23.も「さきがけ」か「かしら」かを判別しなければなりません。


 (一)全体に関して言えば、紛らわしい問題もありますが、「亮陰」以外は正解が可能なラインで、『漢検マスター』ベースで9割以上が期待できたと思います。私は1問ミスで29/30でした(自己採点による、以下同じ)。


(二)表外読み

 (一)に比べるとやや難しそうですが、8点を取ることは然程難しくなさそうです。

 私は5.「惨ましくて」を「おぞましくて」と読んで9/10でした。

 8.「白す」は『漢検マスター』では付録の方に記載があります。付録もきっちりと熟しておきましょう。


(三)熟語・一字訓読み

 ここも参考書頻出語句が続きます。9.「卦辞」は見慣れない語で読みも2通りが浮かびますが、それ以外は参考書をしっかりやっていれば問題なさそうです。私は10/10でした。

 この辺りからも、問われているのは「きっちり勉強してきたかどうか」で、それ以上は求めないのが今回の準1級の本旨なのではないかと感じられます。


(四)共通漢字

 とは言え鬼門なのがこの共通漢字。4/10程度取れれば十分、というのがこの設問でのキモだとされます。

 ただ、今回の私はなんと10/10でした。これは明らかにできすぎで、試験後に参考書を改めて眺めても解けない問題が散見されたままだったので、これは私の実力とは大きく乖離した僥倖です。残り15分の時点で3つは空欄でしたしね。


 2.については「煩労」を学習済みで正解。これはネット模試か何かで拾った語句かと思います。

 3.は「所作」「造作」とも一般に使われる語句で、捻られてはいますがなんとか解ける範囲。

 1. 4. 5.は皆目見当が付きませんでしたが、4. 5.は当て塡まりそうな字を何とか選んで正解。「回向」が「かいこう」でなく「えこう」なのに気付いたのは埋めてから大分後でしたから、この辺りも運が味方しています。

(時候の挨拶などの定型句はこの大問によく出てくるため対策が有効になりそうですが、現状ではそうした対策を個人でするのは容易ではなさそうです。また、問題とは直接関係ありませんが、4.「御自愛下さい」5.「御休心ください」と表記揺れが見られるのは何か意図があるのでしょうか……?)


 そして、一番悩ましかったのが1. 。継、雑、能などいろいろ考えますがシックリ来ません。「由」もやはりシックリ来ませんが、上下を引っ繰り返すと「由来」「由縁」と日常語句になります。

 問題作成者の側に立つと、共通漢字や誤字訂正は出題ミスが許されない問題です。読みや書きの別解はそれも正解にすれば良いのですが、共通漢字や誤字訂正ではそうした融通が中々利きません。

 なので、日常語句を逆さにしたに過ぎない「来由」や「縁由」という語句が、実在しないことを確認・証明するのは極めて難しいのではないか、と考え正解することができました。

 あくまで私見ではありますが、「実在しないと断定するのが困難そうな語句」を考えるのも、共通漢字においては正解の緒になり得るように感じます。


(五)書き取り

 ところどころに難問が散りばめられています。

 2.の「タテ」は何を意味するのか読み取り辛い。ただ、旧Twitter等を見る限り、ここで躓いた方はあまりいなかったようです。

 おもてめん屈指の難問が13.の「シュハン指名」。これはどうしようもありません。何を書いたかで個性を測るとか、そういう問題です。正解できた方はスゴイ。

 14.「キョウゲキ」も参考書レベルでは対策困難でしょうか。

 16. 18.の「ソウセイ」は、紛らわしい語句としてチェック済みでした。この問題が視界に入った時には心の中で小さく快哉を叫びましたw

 逆に17.の「ソウセイ」は初見。標準回答は「早世」で、「蚤世」もおそらく認められるでしょうが、「早逝」は果たしてどうなるか。2008年時点で19中6の辞典に載っているとなれば認められる気もしますが、多くの辞書には載っておらず、俗な書き方との指摘もある、と言われれば駄目な気もします。漢検側の御心次第といったところでしょうか。

 19. 20.の「ヌカ」もドキリとする問題。

 参考書頻出の語句を基本としつつ、難問を交えているのが(五)でした。私は13. 14.が解けず(それぞれ「主判」「狭隙」とした)、17.の「早逝」次第で34/40もしくは36/40。拾えるところをきっちり拾えるかが問われていると感じる大問です。


(六)誤字訂正

 易化傾向にあるとはいえ、共通漢字と誤字訂正は話が別。ドチャクソ難しいです。

 1.と5.は準1級頻出語句を覚えているかを問うような問題。とは言え、誤字とされる語句が昭和の小説に出ていたりしたら何も感じずにスルーしちゃいそうです。

 2. 3. 4.が難問。これらは合格を目指すだけなら解けなくて良い問題かと思います。誤字訂正の難易度が、共通漢字に迫りつつある気がしますね。私は4.を何とか拾えて6/10でした。

 2.については「草稿」などから「草」も浮かんだのですが、「クサする」なんて日本語があるだろうかと訝しみ、「創」を思いついて「これだ!」としてしまいました。

 3.は「身証」の胡散臭さには気付きましたが、かと言ってどうすれば良いのかは皆目見当が付きません。運否天賦に頼るならば、まだ正解の確率が高そうな「掛→懸」にしよう、となりました。

 因みに、「上」を「ショウ」と読むのは常用音。「ショウ」を含む語句は中々思い付きませんが、何を想定して常用音に含まれているのでしょうか……? 漢字ペディアでの検索では「身上」の他には「上人」「上下一心」「上下天光」と凡そ一般的でない語句しかヒットせず、益々謎が深まります。


(七)四字熟語

 今回の易化傾向を象徴する大問です。

 準1級のマイナー四字熟語や、下位級配当の難問が1問も出題されませんでした。300程とされる頻出四字熟語さえしっかり押さえておけば、失点は殆どせずに済んだでしょう。私は30/30でした。


(八)対義語・類義語

 示されている語句にやや見慣れないものがありますが、書く方の語群はひらがなと漢字表記が一対一に近いものが多く、やはりそこまで難易度は高くないと思われます。見慣れない語句についても、字面から語義が推測しやすいものが多いですね。

 唯一、6.「仮借」は単語を知らなかった場合に語義が推察し辛い。残る選択肢が「ゆうじょ」で、「宥恕」か「佑助(祐助)」かで迷うことになりそうです。私は、字面と「宥恕を書かせる確率の方が高いだろう」のメタ読みで何とか正解しました(20/20)。

 尚、「しゃ」は字義とは無関係に漢字の音を借りることを指し、漢字について学ぼうとすると頻出する語句です。そうした勉強を真摯に行っていれば、「しゃく」と言う語句も何処かで知っていて然るべきだろう、ということなのかも知れません。多分考え過ぎですが。


(九)故事成語・諺

 ここも、四字熟語と同じように参考書に掲載があるもので固められています。3.「アヤメ」には意表を突かれた感もありますが、やはり参考書に載っています。

 私は1.「タクアン」にかなり混乱してしまいましたが、何とか記憶を手繰り寄せ、ここも20/20と乗り切りました。


(十)文章題

 今回の試験では他にインパクトの強い大問(易化した大問、超難問がある大問)があるためかあまり触れられていない気がしますが、結構語るべき点の多い大問であったようにも思います。

 3.「ムヘンサイ」と4.「セイヘイ」は難問。類推で書けるかどうか、ギリギリのラインで正解できるかを問うてくる曲者でした。

 2.「ママ」や5.「ウヌボれ」も参考書掲載語句ですが、うっかりすると漢字を忘れてしまいそうなラインではないでしょうか。

 コ.「循いては」が個人的には難しかった。「因循姑息」を思い出して、何とか正答に辿り着きました。


 3. 4.には歯が立たず(それぞれ「無偏在」「政弊」とした)、私の(十)は15/20。残りの1点は、ウ.「清々しい」を「さやざやしい」と読む凡ミスで落としました。

 「さやか」という難読に加えて、連濁のセンスを問うてくる難問だな……とか試験中煩悶していたのですが、何のことはない、漢検の勉強をしていなくても解けそうな平易な読みでした。(ただ、「清々/しい」で改行するのはイヤラシイだろ!)


総括

 私の試験結果は、

 29/9/10/10/34or36/6/30/20/20/15 = 183 or 185

 となります。自己採点の結果ではありますが、よほどのことがない限りは160点を割り込むことは無いでしょう。半年近い勉強が実ってよかったです。(まだ早いけど)

 今回の試験について言えば、基本的には参考書をしっかりやれば合格には十分で、それ以上のことをする必要はなかったと思われます。よく取り上げられる『漢検マスター』一冊でも、しっかり仕上げれば170点は十分取れたと思います。

 難化回ではそうもいかないことも予想されますが、今回の私の183点という成績を基にすれば、そこから20点以上下がることはそうそうないと思われるため、一先ず準1級と胸を張って言える程度にはこれを修めることができたかと安堵しています。



準1級に受かるために

参考書

 多くの方が同じことを述べていると思いますが、漢検準1級は参考書をしっかりやれば合格できる試験です。漢検1級のように、辞書を頭から覚えていったり、独自に言葉を渉猟したりする必要はありません。

 ただ、「参考書をしっかりやる」ということはよく言われますが、その中身や具体的な精度については必ずしも明らかではありません。その辺りについての私見を述べます。


1.精度

 参考書を1,2周すれば、ある程度の正答率を出せるようになるでしょう。参考書1冊を「しっかりやった」と言うには、どのくらいの正答率が求められるでしょうか。

 私は97%以上はあった方が良いと思います。多くの参考書には目安となる正解率が付されていますが、それらの目安を満たすだけでは確実に合格できるとは言えません。

 私の場合、検定1週間前ほどの時に『漢検マスター』を改めて1周したのですが、そこでは全体を通してのミスが30問程度、正解率にすると99%程度でした。そのミスを潰してから本試験に挑んだので、本番では100%にかなり近い状態にできていたと思われます。

 勿論、参考書には難問が紛れていたりもしますし、共通漢字などは同じ問題が出ることがまず無いため、解けなくてもあまり頓着する必要はありません。それでも、例えば90%程度の仕上がりだと、本番に向けては不安が残ると言えると思います。

 ※ただし、これは『漢検マスター』を基準とした話です。後述しますが、難しい参考書を使用している場合はこれほどの精度は不要かもしれません。


2.理解度

 参考書と異なる形式で出題されても正解できるようにします。

 対義語・類義語の語句が書き取りで出たり、熟語・一字訓の語句が文章題で出たり、といった具合に大問間を移動したり、読み問題で文脈からは読みが推測しにくい文章に変更されたりしても、正解できるようにします。

 そのためには、漢字一字一字の字義や、熟語の意味を能く理解しておくのが肝要になります。

 尚、読みで出ている漢字を書けるようになる必要はあまりありません。それでは不安だ、という場合は、漢字ペディアで言葉検索してヒットする(=大見出し語である)場合は書けるようにしておくと良いです。

 ただ、大見出し語であっても書きで出すのは難しい語句もありますし、「この語句は書けるようにすべきだろうか」と吟味する作業自体があまり効率的ではありません。こうしたことからも、読み問題を書けるようにすることの重要性は低いと見ます。

 四字熟語は、書き・読み・意味共にできるようにしておきます。書きについては、上が問われても下が問われても大丈夫なようにします。


3.使用する参考書

 準1級受検で必ず取り上げられるのがナツメ社の『漢検マスター』です。別の参考書が駄目だということは決してありませんが、『漢マス』を使用せずに合格した、という方のほうが珍しいと思われるため、まずはこれをきっちり仕上げるのが捷径となります。

 ただ、R6-1のような易化回ならともかく、難化回では『漢マス』1冊では不安なのも事実です。なので、もう1冊は参考書を購入した方が安全です。その際は、『漢マス』よりも難易度が高い参考書で勉強するのがオススメです。参考書の難易度は、あびさんの動画が非常に参考になります。

 私は『漢マス』に加え、高橋書店の『頻出度順』、旺文社の『漢検ポケット出る順』、成美堂出版の『本試験型』をやったので、各々について軽くレビューしておきます。いずれの書籍も1周以上はしています。


・『漢マス』(ナツメ社)

 準1級参考書の白眉たる存在で、問題数が豊富で付録も優秀です。R6-1出題の四字熟語は全てこの参考書に収録されており、その精度にも目を見張るものがありますね。

 敢えて言えばごく一部に1級配当の漢字が紛れているのが難点と言えば難点ですが、他の参考書でも同じようなミスは珍しくないので気にするほどでもありません。


・『頻出度順』(高橋書店)

 難易度は『漢マス』と同程度。ただ、『漢マス』と違って各々の語句の意味が載っていないのが少し残念です。意味を覚えながら勉強できる、他の参考書のサブとして使うと良いかなと個人的には感じました。


・『漢検ポケット出る順』(旺文社)

 文庫本サイズに近い書籍です。同じ旺文社のA5版サイズの書籍とは異なりますが、中身の難易度感は同程度かと思われます。

 難易度は『漢マス』よりも易しく、「ポケット」である為か、ほぼ『漢マス』に内容は包含されています。

 ただ、全ての語句に意味が書かれており、非常に親切です。「準1級受けてみたいけど、本腰を入れるかは分からない」といった方が試しに手に取る本としては丁度よいと感じました。

 他方でポケット版は机に向かって勉強するにはやや不便なので、その際はA5版サイズの購入を検討した方がよさそうです。


・『本試験型』(成美堂出版)

 難しいです。他の参考書を仕上げたうえで、更に知識を上乗せする際に使います。

 『漢マス』のような問題集とは別に、本書のような本試験型の参考書も1冊はやっておいた方がよいでしょう。『漢マス』と本試験型参考書の2冊で挑むのがコスパとしては最も良さそうです。

 『本試験型』(成美堂出版)は、四字熟語が特に難しい一方で共通漢字や誤字訂正は優しいという特徴があります。『漢マス』未収録の難しい四字熟語を覚えるべきかどうかは意見が分かれるところです。(私は8-9割くらいの理解度で本番に挑みました。)

 尚、「難しい」とは言っても共通漢字や誤字訂正で点数をゴリゴリ削られることが無いため、点数を出すのは意外と難しくなかったりします。巷間で流布されているネット模試に比べれば、多くの場合点数を取りやすいです。


ネット上の資料

 参考書以外に、ネットにある資料でも有用なものは多々あります。私がよく利用していたものを挙げます。


・漢字ペディア

 言わずと知れた公式サイトです。漢字の字義や成り立ち、音訓を調べる際に真っ先に利用します。

 ある語句が書きで出題されるかどうか、の目安の一つに「『漢検漢字辞典』の大見出し語かどうか」というのがあるのですが、大見出し語は漢字ペディアの言葉検索で引っかかるようになっているらしいです。参考にしましょう。


・四字熟語辞典オンライン

 漢検で出題される四字熟語は全て網羅されています。四字熟語の意味を網羅した資料をアップしてくださっている方もおられますが、更に詳しい情報を知りたい時などに有用です。


・漢字の送りがな一覧 mojinavi

 送りがなから漢字を検索できます。「さいわ-い」か「よ-い」か「めでた- い」か、といったような、紛らわしい訓を持つ漢字を調べる際に大変重宝しました。同じ訓、似た訓を持つ漢字はこのサイトを使って一覧にしておくと効率が良いです。

 このサイトを使うと、「■らぐ」という出題は事実上「やわ-らぐ」一択であることが分かったりと、姑息なテクニックが身に付いたりもします。


・漢字の音符

 個人の方が作成されているブログですが、同じ音符を持つ漢字について非常によく纏まっています。

 例えば「婁」「屢」「藪」、「揖」「輯」「葺」などのように、同じ音符を持つ漢字でも読みが異なることは珍しくありません。ばらばらに覚えると混乱のもとになりやすいため、こちらのブログを使って紛らわしい漢字は一括で覚えるようにしていました。

 ちなみに、利用の際はGoogle等で「揖 音符 漢字」といった具合に検索すると自然にヒットします。


・単語帳アプリ

 間違えた問題を記録していき、復習できるようにしていきました。アプリの種類は沢山ありますが、「忘却曲線」に適応したアプリを使うと程良いタイミングで復習をすることができ便利です。参考書の8-9割は解けるようになったけど、残りが中々定着しない、といった時に有用です。

 私の場合は、ミスを次々に入力していった結果、最終的に総数700ほどの単語帳が完成しました。


・模擬試験倉庫さんの資料について

 準1級受検で、模擬試験倉庫さんの資料が必要かどうか(特に準1級大見出し語300)、というのが屢話題になります。

 つまるところは個人の自由なわけですが、個人的にはやらなくてもよいんじゃないかな、と思っています。(あびさんの受け売りみたいなところもありますが)

 模擬試験倉庫さんの資料は1級受検者に向けて作成されているもので、準1級受検者は想定されていません。

 なので、準1級受検という視点から見ると、どうしても長鞭馬腹に及ばずの感が否めないように個人的には感じます。一応「準1級大見出し語300」は目を通しましたが、全てを網羅して覚える、というところまでは至りませんでした。(「常用大見出し語500」などは触りませんでした。)

 ただ、この辺りは勉強のモチベ維持などの観点もありますし、準1級範囲を知悉する、という観点では当然有意義でありますから、最終的にはやはり人それぞれ、ということになるでしょう。


ネット模試

 有志の方が作成されている、準1級ネット模試も結構な数があります。

 参考書ベースの勉強で良いとは言っても、そうした勉強ばかりだとやはり飽きが来てしまいます。ネット模試で刺戟を受け、序でに新たな知識も得るというのは悪いものではないと考えます。

 ネット模試などに触れずに合格された方も当然居られますし、難易度の高すぎる模試も合格に向けての効率が高いとは言いがたいですが、ほどほどの難易度の模試であればやって損はないと個人的には思います。

 個人的に良かった模試を2件ほど紹介させていただきます。(一部敬称略、2024年6月時点)
 この他にもnoteや各種ブログ、旧Twitter等にて色々な方が問題を作成されていますので、気になる方はご自身で探してみてください。

しずく模試
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回

 しずくさんの模試が、準1級界隈ではかなり評判が高いのではないかと思います。本番より難しめの難易度が想定されていますが、逆に言えば、ここで160点以上やそれに近い点数が取れれば、本試験での合格も有望ということになります。私は最後の1箇月で第3-7回を解き、5回中4回で160点を越えて本試験に挑み、前述のような結果になりました。

きのこわず模試
第1回  
第2回

 難易度が程よいのも去ることながら、出題者目線での出題意図などが併記されているのが出色です。漢検は漢字との戦いであると同時に出題者との戦いでもあるわけですから、学習の一助になりうるでしょう。

 きのこわずさんのブログには、漢検と関係のない漢字の勉強になる話もあったりして個人的にとても好かったです。


あとがき

 長々と書きましたが、準1級受検に当たって、それまでの勉強や本試験での結果について、書きたいことはあらかた書くことができたかと思います。

 因みに、お読みになる中で感じた方もおられるかと思いますが、本記事は準1級範囲多めでお送りしております。読み辛くなってしまった側面もあるかも知れませんが、その中に拾い上げられる物があれば、一応この記事には最低限得るものがあった、ということになりますからね(笑)

 一部に1級配当漢字が混じっていますが、それを一目で峻別できるぐらいには学習を重ねておきたいところです。


 閑話休題。本記事を通して、何かしら得られるものがあったのであれば、筆者冥利に尽きるとしたものです。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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