ロン・ウィーズリーに学ぶ親友力

イギリスの児童文学書ハリーポッターシリーズには、主人公の親友にロン・ウィーズリーというキャラクターがいます。

彼はイギリスでからかわれる赤毛をもち、家庭は貧乏、5人の兄たちは全員優秀で人気者なので比べられる「超コンプレックス人間」なのです。

そんな、世の中の全員が憎くなっても仕方がないような生い立ちの彼。それでもなお友情に熱く、これこそが親友というものであると、全巻を通して学ばされました。

今回は彼の「仲間を想う気持ち」に軸を置き、彼の魅力に迫っていきたいと思います。


ただのハリーでいられる場所

物語の主人公、ハリー・ポッターは、かつて魔法界を残酷なやり方で支配したヴォルデモート卿が力を失う原因となった、いわば伝説の男の子です。そんなハリーは、魔法界では特別に敬われたり恨まれたり、他の子どもたちとは違った経験をたくさんしてきました。
いつも注目の的であるハリーにとって、唯一ただの男の子になれる居場所こそ、ロンの隣なのです。ロンは初対面でこそ、かの有名なハリーポッターだと驚きますが、有名人と判明した後でもなお、臆することなく対等な態度を続けます。

シリーズ5作目「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」でロンは、政府によって嘘つき少年にでっち上げられたハリーをたった1人でかばい「他にごちゃごちゃ言うやつは?」とその場を一蹴します。

嘘を否定する術を持たない親友のために、全員を一瞬で敵に回す。なかなかできることではありませんよね。


はかされた高下駄を脱げる男、ロン

魔法界には、両親とも魔法族の血を引く「純血」、片方の親のみが魔法使いの「半純血」、そして両親とも魔法族ではない「マグル生まれ」が存在します。そのうちマグル生まれは、魔法界で非常に権力を持つ「純血主義者」によって迫害されてきました。

そんななか、マグル生まれである親友のハーマイオニーに対し、純血主義者のドラコ・マルフォイは「穢れた血め!」というセリフを吐きます。そこで彼女より早く反応し、真っ先に怒りを露わにしたのがロンでした。

ロン自身は純血で、白人であり、男子で、異性愛者で、五体満足で、差別される側にはありません。権力を持つ純血主義者側につくことも選べるはずの彼ですが、生まれによってはかされた高下駄を脱いで親友の立場にたち、ハーマイオニーの代わりに壊れた杖で反撃しました。
結果、魔法は自分にはねかえってしまうのですが、それでも彼が仲間のために戦える勇敢な魔法使いであることには変わりありません。

ロンが持つもの

ロンの根底にあるもの、それは「相手の所属するものではなく、その人自身を見る」ということです。相手がマグルだろうが特別な男の子だろうが、誰の目も気にせず、守りたいものを守ります。
それらはマグルの世界で生きる私たちにとっても大切で、かつ最も難しいことの1つかもしれません。
相手の立場を思い出せなかったとき、私はこの1人の魔法使いをまた尊敬するのでしょう。


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