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【今週のよかったこと】20181103-04

O・お耳に穴をあけてやったぜL・レディ略してOLです。出オチですが、この土日に生まれてはじめてピアス穴をあけたのでその話をします。
高校卒業したての女の子みたいな話題を出す、おのれの経験値の浅さよ。

写真は友達からの誕生日プレゼントだったピアスです。ファーストピアスを外してこのピアスをつけるのがたのしみ。

今週のよかったこと
・ピアスの穴開けた

■ピアスの穴開けた

「ピアス開けると運命が変わるって言うよね」

とうちの母はよく言っていた。ピアスあけようかな、と私が言うと、お母さんも昔開けてたなあと言った後に必ず上記の説を付け足すのである。そして決まって最後はこう締めくくる。

「ピアスつけるのやめてたら、穴が塞がっちゃったんだけどね」

運命が変わる話のオチとしてピアスが塞がったことを告げられてしまっては、運命とやらが変わったかどうかの真否を問えなくなってしまう気がして、私はそれ以上母の運命が変わったかどうかを聞いたことはない。


ピアス穴をあけてくれると言うクリニックに行き、カルテを記入して院内に静かに流れているガールズムービーを眺めていたら、すぐに順番を呼ばれた。

耳に穴開けるなんて、市販のピアッサーを買えば素人にだって出来なくはないくらい簡単なこと、もう何千人にしてきただろう(言い過ぎかも)看護師さんがつらつらと説明してくれるのを聞き、いよいよお医者さんが現れる。

「3、2、1で開けますね~」

それって3、2、1の1であけるの?それとも1って言い終って一拍おいてからあける?と確認する前に私の耳元でバチーン!と大きな音が鳴った。銃声みたいだった。ピアスガンて言うくらいだもんな、と思っていたら今度はもう片方の耳元でバチーン!と鳴る。「はいおしまいです、お疲れ様でした」

ちっとも疲れないままに、私の耳がすべすべのまったいらだった時代は終わり、母が言うところの運命が変わった世界へやってきた。
氷で冷やされていた耳が徐々に体温を取り戻して行って、それといっしょにじくじくとした痛みのような、かゆみのような感覚も打ち寄せてくる。おおむね、ピアスを開けることにビビっていた私に友達が笑って言っていたように痛くはなかった。

決して母の根拠と出典不詳の怪しい言説を信じるわけじゃないけれど、まあ繰り返し聞いてたら、ピアス開けようかなと思うたびに「運命変わるらしいんだよな」と思ってしまわずにはいられない。それで何となくこの歳まで、穴の無いすべすべとした耳朶をさすってみたり、雑貨屋で開いてない穴に可愛いピアスをあてがって、耳元が飾られる様子を夢想してみたりしていたのだったけれど、それももうおしまいである。

バチーン!バチーン!と耳殻に鳴りひびいた、銃声のようなピアスガンの音がしばらく頭の中に留まり続けていた。あんな銃声を浴びたら、一瞬死んだのかしらって気になって、それで運命が変わるような大きな気持ちになるのかもしれない。母が言っていたところの「運命が変わる」っていうのが、結局どんな変化なのかはわからないけど。

この日、どうも世間は大安吉日という日だったらしく、帰路に寄った駅前では宝くじ屋にそこそこの人だかりができていた。ピアス開けると運命変わるらしいし、運試しでもしてみようかしら、いやでもどうしようかな……と悩んだあげく、まっすぐ家に帰った。

拝啓お母さん。ピアス開けたけど、私の生活に大した変化はまだありません、お元気で。敬具。

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