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そよ風大島公園にて


「鬱は二週間で治る」

そんな感じのタイトルの本があるらしい。

健常者が読む本だ。

どうやったらこの生活から抜け出せるのか?

そんなもの、答えなんて誰でも知っている。
考えなくても分かるほど単純で、尚且つ確実な答え。


【一月二十三日】

夜の公園のベンチに腰掛け、
処方された抗うつ剤のシートを取り出す。

プチ、プチ、と一粒ずつ、丁寧に、確実に、手際よく、膝の上に溜めていく。

いやに冷静だった。

(これぐらいでいいかな、)
半分ほど残っている飲みかけのストロング酎ハイを持ち直し、一気に流し込む。

錠剤を飲み込むのは何歳になっても慣れない。
嗚咽を抑えながら喉を通した。

ひと息ついてもう一口酎ハイを口に含んだ。

意外と普通なんだな、と思った。

ここで記憶が一度途切れている。




...




...





....



............



......!


寝てた?
何時間?何分?何秒.....

爪先まで冷えきった身体、早すぎる鼓動。

雨が降っていた。
傘を持ってきていたのかどこかに置いてきたのかもわからない。

酎ハイの缶が見当たらない。
ちゃんとゴミ箱に捨てたっけ?

頭の奥の方が熱くて痛い。
脳が焼き切れそうだ。



そしてまたここで記憶が途切れている。

文章に起こせるほど思い出せたらまた続きを書くことにする。

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